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【評価・感想】『コール・オブ・ファレス ガンスリンガー』レビュー

『Call of Juarez Gunslinger』は、2013年に発売されたFPSです。
前作『Call of Juarez The Cartel』では、舞台を現代へと移すという大胆な方針転換がありましたが、今作は、シリーズを再び西部劇FPSへと回帰させた一作です。

あらすじ:1910年、賞金稼ぎのサイラス・グリーブスは、カンザス州アビリーンのとある酒場を訪れる。その酒場で、他の客にせがまれる形で、これまでに始末してきた賞金首たちとの"思い出"を振り返っていく。

※無料公開期間以降は有料になります


西部劇FPS、見事に復活

バグに見えるけど、演出

奇抜なストーリー手法が、とりわけ面白いと感じました。

今作は、”主人公がどこかの町の酒場で他の客に過去の仕事を語る”という形でストーリーが進行していくのですが、”記憶を頼りに話す”ので、色々と曖昧です。

ゲームでは、主人公の語りに合わせて、目の前の地形が変化したり、場面が切り替わったりなど、予想を裏切る展開が細かく用意されています。「目の前に出口があることに気付いた」というような台詞に合わせて、実際に目の前の環境が変化します。

ストーリーにおけるこの曖昧さが、今作をユニークな存在にしています。
Call of Juarez』『Call of Juarez Bound in Blood』と来て、西部劇というテーマはやり尽くした感がありましたが、ストーリーを主人公の回想という形にすることで、表現方法に幅を持たせており、非常に新鮮で、ストーリー体験としても面白いFPSに仕上げています。

加えて、ストーリー自体も面白いです。
ただ昔話をするだけではなく、昔話をする主人公とそれを聞く他の客との間でも、もう一つのストーリーが進行しており、結末が気になって、どんどん遊んでしまったところがありました。

安価なゲームなので、過去作や他の大作シングルプレイFPSのようなリッチさはないのですが、ストーリーやその描き方で、その弱点を見事に補っています。

スロモを駆使した早撃ちも爽快

FPSとしては、テンポの早い西部劇FPSです。
一作目や二作目のようなスローテンポな撃ち合いとは対照的で、今作は、どんどん敵を撃ち倒していけるFPSになっています。(遊んだ限り)どの銃も真っ直ぐ弾が飛んでいくので、素早く敵を倒すことができ、全体的にスピード感ある撃ち合いが展開され、遊んでいて爽快感があります。

また、今作の場合、敵を素早く正確に倒すとスコアに反映されるため、一気に片付けることにメリットがあり、自然とテンポよく遊んでしまうFPSでもありました。良いスコアを残し、経験値を貯めると、スキルアップすることができます。

あとは、スローモーションやイベント的な早撃ちシーンなど、見栄えの良い演出が頻繁に入る点も好印象で、トゥーンレンダリング風の派手なビジュアルも相まって、遊んでいて飽きないゲームでした。

西部劇でお馴染みの決闘…

決闘…決闘も…なかなか良い出来です。
詳しい仕組みは実際に遊んだときに確認してもらうとして、私が面白いと感じたのは、"相手が銃を抜く前に倒してしまってもアリ"としている点です。その場合は"不名誉"と判定されるのですが、決闘が苦手でも先に進められるようにしているのは、気が利いているなと思いました。過去作を遊んだとき、決闘で何度も倒されてウンザリした時があったので特に。

加えて、始動に失敗しても左右に体をそらして弾を避けることが出来る点も良くて、決闘で不利になっても、その中でリカバリーできるので、非常に遊びやすく感じました。

総評

今作は、西部劇FPSの傑作です。
西部劇という定番ネタを奇抜な手法で描くストーリーと、テンポの良い堅実なガンファイトが合わさった一作になり、非常に完成度の高い西部劇FPSになっています。あの時代の有名人や有名な出来事への言及も興味深く、かつ一種のデータベースになっている収集物のカードも、西部劇ファン的には嬉しいオマケです。

西部劇に興味がある人には、強くお勧めできる一作です。

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