【評価・感想】『ジャストコーズ4』レビュー
『Just Cause 4』は、2018年に発売されたシリーズの四作目です。
前作『Just Cause 3』をベースに、様々な追加要素を盛り込んだ意欲作ですが、シリーズのウリの部分にも手を加えたことで、批判的に語られることも多い一作です。
あらすじ:南米の国"ソリス"。亡き父が傭兵集団"ブラック・ハンド"に協力していた過去を知った主人公は、答えを求めて、彼らの本拠地であるソリスへとやってくる。
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"Just Causeらしさ"行方不明
正直、不満点が次々と出てくるゲームなのですが、その中でも、もっとも致命的だと感じるのは、前作『Just Cause 3』まで存在したサンドボックス的な要素がどこかへ消えてしまったことです。
これまでは、ストーリーに沿って遊ぶメインミッションと、好き勝手に破壊が楽しめる制圧ミッションの二つがあり、後者がこのゲームのメインディッシュと言っても良い要素でした。
舞台となる制圧可能なエリアは、マップの至る所にあり、そこでは、様々な兵器を駆使して、自由に破壊を楽しむことができました。
どこに行き、何をするか決まっている、あえて言えば"不自由な"メインミッションと、どこに行って、何をしても良い"自由な制圧ミッション"があり、その二つがゲームプレイに幅を生んでいました。
しかし今作では、そうした従来の制圧ミッションが廃止されました。
制圧ミッションは、30個ほどまで削減され、その内容も、メインミッションと同じように、タスクを消化していくことに重きを置く窮屈なものに置き換わっています。
今作の制圧ミッションは、仲間を護衛したり、制限時間内にお使いを済ませたりなど、"普通のミッション"になっていて、プレイヤー側が介入できる余地が極端に少なくなっています。ミッション中に、こちら側でやれるのは、敵の武器や車両を奪うことくらいです。
その上で、基地の完全破壊がクリア条件に含まれていないため、淡々と敵と戦い、淡々とタスクを消化していく遊び方になりがちで、これまでのようなカオスさにも欠けるところがあります。
要するに、制圧ミッションの仕様変更により、"好き勝手に暴れまわる"というこのシリーズの魅力が薄れてしまっており、遊んでいて、”Just Causeらしさ”があまり感じられなくなっています。
あとは、単純に今作の制圧ミッションは内容が良くないです。
「制限時間内に複数のタスクをこなす」「敵に破壊されないように対象物を守る」と言ったミッションばかりで、これを各地で繰り返すのは、キツイものがありました。もっと言えば、対象物を守るにしても、人間は非常に耐久性が高いのに、オブジェクトはすぐに破壊されると言ったことや、ナビゲーションが悪くてどこにお目当てのオブジェクトがあるのか分からないと言ったこともあり、全体的に作りが粗っぽいのも気になりました。
たしかに、従来の制圧ミッションもほぼコピペと言って良い作りでしたが、自由に遊べる分、毎回味を変えて遊ぶことができ、楽しい繰り返しでした。
今作を単体のゲームとして見れば、これまでに挙げた点は気にならないのかも知れませんが、私の場合は、前作をクリアした直後に遊んだということもあり、それと比較して、遊びの部分で物足りなさを感じました。
オープンワールドゲームとしては
オープンワールドゲームとしては、シリーズ恒例の広大すぎるオープンワールドを持っている点が特徴です。
正直、オープンワールド部分は、改めて説明することはないのですが、マップの環境が『Just Cause 2』に近く、そこは明確に優れた点です。雪山やジャングルなど、様々なロケーションが用意されており、見栄えの良いマップが用意されています。
一応、コンテンツ面にも触れておくと、オープンワールドには、メインミッションのほかに、サイドミッションを始めとした寄り道も用意されており、並のオープンワールドゲームくらいのものは用意されています。
ちなみに、前作『Just Cause 3』で賛否両論だったチャレンジは、全体的にイージー化されており、(個人的には)挑戦しやすいバランスで、遊びやすく感じました。
"ロケーションが実に多彩なスタンダード的な作りのオープンワールドゲーム"と言えます。
総評
今作は、「Just Cause」としては決め手に欠ける一作でした。
ほどほどにカオスなゲームプレイや気軽に遊べる寄り道要素など、楽しく遊べた部分もあるのですが、前作『Just Cause 3』の自由さ、好き勝手に遊べる部分に惹かれた者からすると、その部分が弱くなっている点が受け入れ難く、繰り返しのミッションも面白くなく、最後まで前作を超えることはありませんでした。
光る部分も多いだけに、惜しい一作です。
ちなみに、今作は「人工的な災害」が目玉要素になっていますが、一部のメインミッション以外では、全く絡んで来ませんでした。
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