【評価・感想】『初代フォールアウト』レビュー
本作は、1997年に発売された「フォールアウト」シリーズの一作目です。
あらすじ:2161年、核戦争によって荒廃した世界。一部の人々は「Vault」 と呼ばれるシェルターの中で、外の世界を知らずに生活を送っていたが、そのうちの一つ「Vault 13」で浄水装置が故障するというトラブルが発生する。「Vault 13」の住民である主人公は、皆を救うべく、外の世界へと繰り出す。
※無料公開期間以降は有料になります
今とは色々と勝手が違うけれど
今でこそ「フォールアウト」は、オープンワールドRPGとして広く認知されていますが、その始まりである本作は、アイソメトリックなCRPGです。
"Interplay版フォールアウト"とも呼ばれる本作は、見下ろし視点で世界を冒険し、戦闘になればターン制に移行するゲームになり、現在の”ベセスダ版”とは、色々と勝手が違います。
アイテムの用途をはじめ、ベセスダ版の知識が応用できる時もあるのですが、プレイ部分は、イチから覚え直していくと思った方が良いくらい違います。
しかし、そうしたCRPG的な部分を乗り越えると、ちゃんと”今のファンも知っているフォールアウト”になっていて、決して別ゲーではないです。
過酷な「ウェイストランド」を舞台にした一癖も二癖もあるクエストや、ゲーム全体を通して用意された選択肢の数々、そして、オールディーズの音楽がよく似合うレトロフィーチャーなアメリカなど、「フォールアウト」のコアとなる部分は、ベセスダ版のファンもよく知る「フォールアウト」そのものです。ゲーム世界を物語るランダムなエンカウントも、ベセスダ版が得意とする環境ストーリーテリング的なものだと言えると思います。
ベセスダ版が初期作の特徴を上手く抽出したゲームゆえに、本作の中にも、今の「フォールアウト」と共通する面白さを見つけることができ、”CRPG的な部分を乗り越えることができれば”、ベセスダ版に慣れ親しんだ人でも、意外と違和感なく、遊べるであろうゲームになっています。
プレイ部分をもう少し詳しく
もう少し詳しく、プレイ部分を見ていきます。
まず、ゲーム世界は、2Dの全体マップで表現されており、その上を移動していきます。ゲーム世界はかなり広く、移動すると、世界の広さを実感できるほどです。そして、移動中は、ランダムなエンカウントが発生し、ユニークな光景を目にしたり、レイダーに襲われたりなどします。
無事に町や村などに到着すると、見下ろし視点に切り替わり、自由な探索が始まります。
町や村は、ストーリーやクエストを進める場所になっており、そこの顔役や住民と会話して、新しい場所の位置を教えてもらったり、クエストを受け付けたりなどします。
その際、様々な選択肢が用意されており、選択とその結果は、ゲーム世界に細かく反映されます。
ストーリーの大枠は変わりませんが、クエストの展開やキャラクターの生死などは、プレイヤーの選択によって変化し、クリアする頃には、自分だけのストーリーが出来上がっています。
CRPGらしく、テキストと選択肢の多様さには力が入っています。
話術だけではどうしようもない時は、当然、力で”分からせる”ことになります。この世界には、獰猛なミュータントに混じって、言葉が通じない凶暴な人間もいます。
本作では、アクションポイントを中心にしたターン制のバトルが採用されています。
最大10あるアクションポイントは、銃の使用で6、リロードで2というように、アクションごとに消費されるので、そのポイントを上手く使って、敵を効率的に倒していきます。アクションポイントはターンごとに回復するので、そこまで神経質になる必要はありませんが、適当に遊んでいると、割りとサクッと倒されてしまいます。
当然、FPSやTPSのような派手さはないのですが、シンプルで、程よく緊張感があり、「フォールアウト」らしいゴア表現も良いアクセントになっており、これはこれで面白いです。個人的には、繰り返し遊んでも飽きない戦闘でした。
ただ、これらを楽しもうと思うと、主人公の育成はじっくり時間を掛けて、考えないといけません。
「Intelligence」が低いと、会話がままならないので、クエストを受けることができない、「Agility」が低いと、利用できるアクションポイントが少なくて、戦闘時に苦戦することになるなど、ゲームを進めるのが困難になります。
スキルを吟味する面白さがあると言えますが、まあまあ容赦のないゲームになっており、ここは注意点として、挙げておきます。逆にちゃんとやれば、結構余裕を持ってクリアできます。
一応、私のキャラクターの能力を貼っておきます。
総評
私は先にベセスダ版を遊んでいたのですが、それでも面白い一作でした。
ユニークなクエストや意味のある選択、シンプルさと戦術性を両立させた戦闘など、いま遊んでも面白さは色褪せておらず、「あのフォールアウトの一作目だから」ではなく、単体のゲームとして、非常に面白い一作です。一周が比較的短く、どんどん効率化できるので、周回プレイに挑戦しやすいのも良いです。
古いCRPGなので、「もっと直感的にメニュー画面を操作したい」とか「もっと自由にカメラを動かしたい」とか、細かな不満はあるのですが、どれも十分許容できる範囲のもので、プレイの邪魔をするものではありませんでした。
CRPG界隈での高い評価も納得の一作です。
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