東京アニメアワードフェスティバル2021(TAAF2021)で観たアニメ感想
2021年3月12日(金)〜15日(月)まで開催される東京アニメアワードフェスティバル2021(TAAF2021)で観たアニメの感想を書いていく。
コンペティション部門短編作品
独断と偏見で5ツ★評価を付けていきます。
いい感じIt’s All Graavy(★★★★☆)
キッチンから始まる日常の中の非日常。皿洗いの途中で排水溝から聞こえてきた音楽から、皿やコップなどの生活用品を楽器にした不思議なセッションがスタートする。それぞれのキャラクターが自宅にいながら姿の見えない相手とコミュニケーションを図る様子は、コロナ禍でのステイホームに重なった。作り手の楽しさが伝わる作品だ。
ローラースケート売っちゃったの? You Sold My Rollerskates?(★★★★☆)
親に裏切られた少年の小さな冒険と成長を描く。タイトルの通り、親に売られてしまったお気に入りのローラースケートを探して奔走する少年。様々な人の助けを借りて取り戻そうとするが、最終的には新たな移動手段、心の拠り所としてスケートボードを手に入れた。大切なものを手放したからこそ、得られるモノがあるというメッセージとも受け取れる。
氷の下で Under the Ice(★★★☆☆)
湖で釣りをしているサギの話。釣果の上がらないうちにブリザードで進退窮まってしまったサギだが、たまたま見つけた無人の漁船に避難してみると船底から大量の魚群が見えたので…。人間の登場人物もセリフも一切ない、思い切ったプロットは短編ならでは、という感じ。時折、実写かと思うほど精緻なCGアニメーションが見どころだ。
ランマニア Runmania(★★☆☆☆)
ランニング中の女性が次々とテンポよく周囲のトラブルを解決していく。童話のようにファンタジーでハッピーな話だった。
似たものどうし Oeil Pour Oeil(★★★☆☆)
海賊の船長が何度も何度も、財宝を手に入れるための冒険に出かけていく。毎回、異なる部下を連れていくが、ことごとく死なせてしまう。海賊たちは勇ましくも見えるものの、もはや蛮勇と言っていい。
長編作品
True North(★★★★★)
北朝鮮の政治犯強制収容所の悲惨すぎる人権侵害から逃れた人たちのドラマを、あえての荒いポリゴンで緩和した傑作アニメドキュメンタリー。ナチスなど戦時中の強制収容所を過去のものとして描く作品は珍しくない。本作の特色は今も現実に、北朝鮮で同様の被害に遭っている人たちが存在すると推定されていることだ。この事実を明るみに出すことが製作上の大きな狙いだった。
両親と2人兄妹で構成される主人公ヨハンの家族のうち、父親が何らかの容疑(具体的に分からない所もリアル)で当局に拉致される。残った3人も着の身着のまま、強制収容所に送られてしまう。まるでドラクエ5の主人公がドレイとして幼少期を過ごしたように、ヨハンは収容所の中で青年になる。
炭鉱労働のキツさ、ろくに与えられない食事、日系という理由で差別される屈辱。様々な苦難を重ね、適応した青年ヨハンは次第に要領よく利己的に立ち回るようになる。彼は囚人を管理し、虐げる立場に回ることで待遇をより良いものにしていくが、母ユリと妹ミヒは食べ物を分け与えるなど利他的な振る舞いを続ける。
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