米国商標の使用見本の審査基準!
こんにちは、米国特許弁護士のかきぴぃです。
パテサロのもっとAvent Calemder2022の記事です。これが最初の投稿!
米国商標において、多くの商標権者を悩ます使用見本の提出。なんといっても米国商標法は「使用主義」だから、商標は指定した商品・役務とともに実際に米国市場で使用していなければならければ、原則登録を得られないし*、その後も登録を維持できない。(*米国直接出願の場合。マドプロとパリ経由の場合は登録前の使用証明は不要。)
出願して審査で問題がなければ登録になる日本や他の外国の商標法制度とはそこが大きく異なるのである。
使用見本が必要になるタイミングとしては:
(1)直接出願の場合
使用に基づく出願(Section 1(a))==> 出願時~拒絶通知応答期限および5~6年後、9~10年後、その後10年ごと
使用意思に基づく出願(Section 1(b))==> 公開ののち、許可後36か月以内および5~6年後、9~10年後、その後10年ごと
(2)マドプロ、パリ経由の場合(Sections 66(a), 44(e), 44(d) )==>5~6年後、9~10年後、その後10年ごと
しかし、企業のなかの商標の扱いって登録後はもう維持費を払うだけのレベルで放置状態が結構多いみたい。で、登録から5~6年後とか9~10年後になったときに、「あれっ、あの商標もう使ってないかも?」「登録当初とかなりデザイン変わってるかも?」なんてことが発覚して社内の商標担当者が慌てふためくわけである。そして何とかかろうじて商標が載っている古いカタログやらウェブサイト画面を見つけて、使用見本として現地代理人に送るがダメ出しがでるのである。かくいうかきぴぃも現地代理人として涙をのみつつ使用見本のダメ出しを連発することもよくある。
後悔先に立たず。米国商標法制度の基本を知って将来的に会社のブランドたる商標をキープしなきゃ。商標が登録になったからといって、安心しているそこのアナタ。商標を使っていないと取り消しになっちゃう可能性があるから、長期ビジネスプランの一環として計画的に使って使って頂戴。
社内で一年おきとか定期的に使用状況を確認したりすることも大切ですよ!
<基本的な確認事項>
「登録と同じ文字やデザイン、レイアウトの商標を使ってますか?」
「登録で指定した商品や役務について使ってますか?」
「登録を示すⓇを付けていますか?」
使用見本は使用宣誓書と一緒に提出するのだが、一区分に最低1点提出すれば足りる。但し、使用宣誓書には「指定した商品・役務すべてに関して商標を米国市場で継続使用している」旨を罰則付きで宣誓するので、もしもう販売していない商品や提供停止した役務があるのならそれは宣誓書を提出する前に削除しなければならないんよ。ここで、ウソついたらあかん。商標を米国で使用していないのに「使用してます」って宣誓して後日、米国特許庁(USPTO)にバレたあかつきには、登録全部が無効になるというお仕置きがあるので要注意なのだ。米国特許庁はランダムに使用確認にくるし、取消訴訟が起きた場合には一番狙われやすい論点だ。
まあその辺を注意して使用見本と使用宣誓書を出すこと。
どんな使用見本が適切かについては、米国商標審査マニュアル(TMEP)にある程度詳しく示されている。そこで今回かきぴぃはTMEPの中でも使用見本の適否について書かれているSection 904.03を和訳してみることにした。このセクションをざっと読めば、使用見本として許容される内容がわかるというご利益があります! ↓↓↓ 頑張って読んでね! ↓↓↓
さらなる米国商標ネタはまた次回に!お楽しみに~