チケゾーに会いに行ったレポ【前編】
2022年10月に日高の馬産地を巡った備忘録です。
準備編はこちら
0日目
見学日に朝から動くため、前日夜に新千歳空港へ飛んだ。
筆者は九州住みなのだが、夜間の直行便がなく、羽田で乗り換える必要があり少し骨が折れた。
夜遅くに新千歳空港へ到着。
ノーザンホースパークやノーザンファーム空港牧場が近いはずなので、着陸前に窓から下を見てみたが、真っ暗でなにも分からなかった。
この日は新千歳空港内のホテルに宿泊。入口をきちんと確認していなかったせいで迷子になりかけた。
爆速で風呂に入り、部屋に備え付けのテレビで英チャンピオンステークスを観戦してから寝た。
アダイヤーおめでとう。バーイードのラストランを観れて良かった。
1日目
新千歳空港→yogiboヴェルサイユリゾートファーム
6:30頃起床。支度を済ませ、ホテルで朝食を頂いた。北海道の芋を4種類くらい食べた。美味しかった。
8時前には空港内のレンタカー窓口に向かい、送迎バスでレンタカーの営業所へ。手続きを行い、恐らく8:40頃に出発した。
運転もしてくれる同行者がレンタカー店のスタッフさんに北海道での運転の注意点(雪で埋まるので停止線などが地面に無いことがある、など)を聞いてくれたので、とても心強い。
出発して割とすぐに広い道路に出た。途中、日高道の無料区間を通ることは聞いていたので、え、もうこれ高速乗った?と軽く混乱。まだ一般道だった。
日高門別ICで高速を降り、下道に入る。
そこはもう馬産地の真っただ中。すぐそこに馬がいっぱいいる。
途中、Twitterでよく見る生産牧場さんの看板もあった。
事前に予習した通り、スピードを落として通った。
yogiboヴェルサイユリゾートファーム
たぶん9:40頃着。
話に聞いていたウッドチップの私道を通り、駐車場へ向かうが、その道のすぐ横には引退馬が放牧されている。
入口すぐがローズキングダム、その奥がタニノギムレットの放牧地だった。
駐車場に車を停め、見学の受付をするべく場内のカフェを目指す。もう既に何組かの見学者の姿があった。
道に迷って厩舎を横切った(※厩舎は見学可、撮影禁止)先で、引き馬体験の仕事をこなすアドマイヤジャパンの姿が。
あまり長く滞在できないので、ともかくカフェで受付と引き馬体験の申し込みをする。
順番が記されたレシートを受け取り、2組ほど待つことに。この時点で5番目あたりだった(多い時は30人くらい乗せるらしい)。
この日は早番アドマイヤジャパン、中番ビービーガルダン、遅番ヒルノダムール、といったシフトのようだ。
順番待ちの間にタニノギムレットとローズキングダムの放牧地へ。GI馬が草を食んでいる所をしばし眺めた。
引き馬体験の場所に戻り、順番を待つ。
スタッフさんの指示に従い、右足を鐙にかけ、アドマイヤジャパンに跨った。
乗馬経験といえば子どもの頃1度乗せてもらっただけのど素人を、落とさずきちんと乗せてくれる。ジャパンは非常に落ち着いていてゆっくりと歩いてくれるのだが、やはり馬上は揺れるもので、バランスを取れているか多少不安だった。
スタッフさんと会話しつつ、ひたすらジャパンの首とふわふわした耳を眺めていたら所定の3周が終わった。
降りた後はお触りタイムもあった。私、アドマイヤジャパンの頭に触れさせて頂きましたわよ。
種牡馬を引退し、そこから乗馬のリトレーニングを受け、この仕事をしっかりこなすアドマイヤジャパンはかっこよかった。
乗せてくれてありがとう。
引き馬体験の後は、カフェでおやつにんじんを購入し、すぐ横の放牧地へ。
柵の近くにまだ灰色の芦毛の馬がいた。オグリキャップの孫のレディアイコちゃんだ。
にんじんはほとんどが彼女の口に吸い込まれていった。他の見学者にもにんじんをたくさんもらっているようだった。
近くにはアニバーサリーさんもいた。
にんじんが尽きたところで再びタニノギムレットの放牧地へ。
近くに行ってみると、ずっと人間に興味無さそうに草を食べていた彼がのしのしと近づいてきた。
こちらに近づいた彼は柵の間に顔を差し込んだが、人参を持っていないことが分かると、すぐに背を向けた。
ここで柵を蹴られたらやばい。謝りながら、その場を後にした。
彼の蹴り壊した柵は放牧地の周りには1本も見当たらなかった。グッズになるのできちんと回収されているのだろう。
隣のローズキングダムの放牧地へ。
ローズキングダムはひらすら草を食んでいて、人に興味なさげに見えた(しかし、帰りがけに他の見学者にファンサしている姿が見られた)。
お次は一旦道路を抜けてヒルノダムールたちがいる放牧地へ。
まず見えてきたのはロジクライの姿。彼は静かに草を食んでいた。
彼の隣の放牧地はエンパイアペガサス。
エンパイアペガサスの隣にはヒルノダムール。さらに隣にはスイーズドリームスがいた。
ヒルノダムールは両側の2頭にも、見学者にも我関せず、といった感じで、ひたすら草を食べていた。
そろそろ時間がない。カフェに戻る道すがらに目指したのはエタリオウの放牧地だ。
そこで我々はえぐいファンサに見舞われるのだった。
カフェに戻り、グッズを買ってから牧場を後にした。前日に販売開始のハンカチを買いたかったのだが、既に売り切れていた。通販をこまめにチェックするしかない。
時間の都合上駆け足となり、親子馬がいる放牧地の見学はできなかった。もし訪れる場合、親子馬にはにんじんを与えてはいけないので注意が必要だ。
多くの引退馬・預託種牡馬が過ごすyogiboヴェルサイユリゾートファームには非常に勢いを感じた。
比較的札幌方面にも近く、非常に癒されるCM効果もあり、今後ますます発展するのではないだろうか。
次に訪れる時はここに宿泊したい。そしてスカーレットレディをはじめ、今回ゆっくり見学できなかった馬たちを見学したいと思いつつ、次の目的地へ出発した。
yogiboヴェルサイユリゾートファーム→うらかわ優駿ヴィレッジAERU
宿泊地でもある、うらかわ優駿ビレッジAERUを目指す。乗馬体験を予約している関係で、13:00には到着したいところ。
当初の予定を少し押して、10:40頃出発した。
日高道はもう少し先まで続いているが、途中でぷっつりと途切れている。どうやらまだ建設中のようだ。
ナビが示すのは海沿いの国道235号線。優駿浪漫街道の愛称を持つこの道を、ひたすら浦河方面へ走った。
筆者は山育ちなので、海が見えるだけでも楽しいドライブだ。方角的には本州があるはずの水平線だが、少し霞んでいたせいか、よく分からなかった。
海沿いのこの道にもたくさんの牧場があった。
途中、判官館森林公園という広大な森林公園を迂回するように、道がぐるっと曲がっている箇所がある。
ここで「サラブレッド銀座」の看板を目にした(Googleのストリートビューには見当たらない。標識だったかもしれない)。
ここが!と興奮する。明日通る予定なので期待が高まった。
他にも、レ・コード館と道の駅サラブレッドロード新冠、静内エクリプスホテルなど、話に聞くスポットの近くを通り過ぎた。
ウマ娘の等身大パネルの展示も気になるが、今回の旅の目的は別にあるので通過。
特におお!と思ったのはビッグレッドファームの看板だ。急いでレーベンちゃんぬいの写真を撮った。
途中で山の方の道(道道1025号静内浦河線)へ入った。Googleマップを信用した、というのもあるし、海だけではなく山の方、あわよくば牧場に近い場所を通ってみたかったからだ。
この道はジモピーのみなさんご用達の道のようで、同行者が適宜コミュニケーションをとって運転してくれた。
牧場と山の間を進む。途中で綺麗な紅葉も見れた。
到着間近、道を曲がり損ね、遠回りをすることになった。
功労馬の見学や、乗馬体験をする際は、このマップに示す場所(優駿ビレッジアエル 乗馬クラブ)に直行する必要があった。
優駿さくらロードの1つ西側の道で曲がらなければならないのだ。
うらかわ優駿ビレッジAERU①到着〜乗馬体験
前述の通り乗馬クラブの場所に直行しなければならなかったのだが、遠回りをした我々はさらに宿泊施設の方に車を走らせてしまう。
この時点で12:50分頃。
ホテルの人に乗馬クラブの場所を教えて貰い、再び車に乗る。
敷地内にはサッカーコートなんかもあって、子どもたちが試合をしているようだった。あまりにも広い。
一旦場外に出て優駿さくらロードを通り、乗馬の場所に移動していると、――いた。
黒鹿毛の馬体。ウイニングチケットだ。
そして駐車場側にはスズカフェニックスの姿が。
あれが……と目で追いつつ、車を降りて乗馬の受付場所に向かった。
13:30からの予約なのだが、13:10分までに受付を済ませるように言われていた。
何とか時間に間に合い、洗い場のある厩舎(センター厩舎)の向かいにある、小さな建物で受付を済ませた。
ここから我々はほぼ人生初めての乗馬体験に望むことになった。乗馬体験を問われて「午前中にアドマイヤジャパンに乗せてもらいました」と答える気恥しさよ……
スタッフさんの指示に従い、センター厩舎内の部屋で装具を身につける。
ブーツ、チャップス(ふくらはぎを覆う道具)、ベスト、ヘルメット、グローブ。それぞれの身につけ方を教えてもらい、荷物をロッカーに仕舞って準備を整える。
道具は500円でレンタルできるが、AERU宿泊者のため無料だった。
今回乗せてくれるのは、ラッチ(牝/26歳/半血種)と、あいちゃん(牝/24歳/ドサンコ)。
ベテランのおばあちゃんズだ。あいちゃんは今年の6月にAERUに来たばかりで、まだ公式ホームページに載ってなかったりする。気になる方はTwitterをチェックしてみよう。
予約していたのは初心者向けの45分コース。
ひとまず背中に乗せてもらった後、スタッフさんに基本的な乗馬の姿勢や操作を教えてもらった。
一通り練習が済んだところで、いよいよAERUの敷地内に繰り出した。
広大な敷地内を馬に乗せてもらい巡っていく。
背筋を伸ばすと、雄大な山々が見え、非常に気持ちが良かった。
乗馬体験となっているものの、馬たちにとって慣れた道であり、スタッフさんの指示をよく聞いてくれているので、こちらがおぼつかなくても大丈夫だった。
スタッフさん曰くその日によってやる気があったりなかったりするらしい。人間と一緒だね……
あいちゃんはとても熱心に歩いてくれていた。後半、スタッフさんに教えてもらって、手綱を少し引いて合図すると、少し落ち着いてくれたようだった。
二頭ともだが、特にラッチは道に生えているおいしそうな草の誘惑と戦いながらのお散歩となった。
折り返し地点でモグモグタイムもあった。
体験が終わり、下馬すると、普段使わない脚の筋肉を使った感じがすごかった。
最後にラッチとあいちゃんと記念撮影をしてもらった。
乗せてくれてありがとう。スタッフさんありがとうございます。
うらかわ優駿ビレッジAERU②功労馬見学(厩舎にて)
乗馬体験を終え、記念撮影や用具の返却なども終えたのは14時30分くらいのはずだが、空気が夕方に近づき、気温も下がってきたように思う。
洗い場がある厩舎から、チケゾーたちの放牧地へと向かっていたその時、スタッフさんに曳かれた立派な栗毛の馬体の馬がこちらへ歩いてきた。
急なスズカフェニックスとのエンカウントに語彙力を失いつつ、道のわきで通り過ぎるのを見守った。
そして続いて放牧地のほうからやってきたのはウイニングチケット。
比較的まだ若く、立派な馬体のスズカフェニックスを見た直後というのもあり、ほんの少し年齢を感じたというのが正直な感想だ。
だが、本当に美しく、威厳があり、神々しい。
こうしてちょうど集牧の時間に居合わせた我々は、二頭の後を追い、センター厩舎に戻った。
スタッフさんの許可を得て、洗い場の外側からお手入れの様子を見学させてもらった。
残念ながら写真や動画は一枚も残っていない(肉眼で見るのに必死だったため)。
愛嬌のある表情や動きをするスズカフェニックス。
前足でなにやら主張しているチケゾーの迫力。
すみずみまで丁寧に、手際よく手入れをされるスタッフさんたち。
圧倒されながら夢中見た。
チケゾーのピカピカの馬体は、こうやって日々お手入れされて生まれているんだな、と感慨深かった。
とても貴重なものを見せてもらえた。
センター厩舎には乗馬として働いている馬たちが暮らしている。
手入れをしている時以外は厩舎内も見学が可能のようだ。
にんじんも売っていて、チケゾーたち功労馬にはあげられないが、こちらの厩舎や放牧地にいる乗用馬にはあげられる。
仕事を終えたあいちゃんとラッチににんじんを食べてもらった。嬉しかった。
チケゾーたちはお手入れの後どこに行ったのかというと、センター厩舎に向かって左隣にある、再現厩舎という場所だ。
チケゾーは馬房に帰ってきてから、ひたすらにご飯を食べていた。すごい食欲だ。
再現厩舎には、長年AERUで乗馬として働いてきたヒンナさんという馬もいた。
今は乗馬は引退されてるらしい。
チケゾーたちをはじめ、馬房に下げられたお守りに、ファンの愛を感じた。
AERUのスタッフさんたちは、皆さん本当に真摯に仕事をされていて、馬が好きなんだな、ということがとても伝わってきた。
とても良いところだと思った。
JRA日高育成牧場
AERUから優駿桜ロードを通った先に、JRA日高育成牧場がある。
名前の通り、競走馬の育成に使用されている施設だ。生産もやっているもよう。
訪れた当時は、施設を一望できる展望台と、メモリアルホールは見学可となっていた(11月~3月は冬季閉館)。
16時までの時間ギリギリではあったが、展望台のみ見学することができた。とても広くて立派な施設だった。
(余談だが、この時ちょうど秋華賞のレース時刻前後だった。すっかり夕方の空気だったため、終わったものと思いこんで、見逃してしまった)
うらかわ優駿ビレッジAERU③ホースギャラリー・チケゾー部屋ほか
三度車を走らせ、AERUに戻って来た。
なんだかんだチェックインはこれからである。
チェックインしていよいよチケゾー部屋へ。
部屋のどこを見てもチケゾーがいるという最高の空間だった。
一通り部屋を満喫した後、ご飯の時間までまで時間があったので、ホースギャラリーへ。
ホースギャラリーではAERUで繋養された名馬たちにまつわる品や写真が展示されている。
肉眼で見るのに必死だったので、残念ながら写真が残っていなかった。ネットで検索すると写真で紹介しているサイトがあったりします。
現在のAERUには競走馬として活躍した功労馬としてはチケゾーとスズフェニさんの2頭がいるが、過去にはサニーブライアンやダイユウサク、ニッポーテイオーも繋養されていたことをここで初めて知った。
展示されている写真は、どれもとても良いものばかりだった。
チケゾーとヒシマサルがとても仲良しだったということも知れて良かった。
ご飯の前にお土産売り場も覗いた。
チケゾーたち功労馬だけでなく、あいちゃんやラッチたち乗用馬のグッズも売っていた。
その後は美味しいご飯を食べ、お風呂に入り、部屋のテレビ(YouTubeが見れる)でチケゾーたちのレース映像を見たりした。
ご飯は特にお刺身が美味しかった。
卓球台があるとかないとか、ネットに書いてあったが、発見できなかった。
チケゾー部屋プランのご飯は値段相応にボリュームがあり、食べきれなかった。その旨をレストランの人に伝えると、パックやお盆を渡してくれ、部屋に持ち帰ることができた。
次の日は朝からチケゾーたちを放牧地で見学したかったので、朝ごはんを一番早い時間に予約した。
チケゾーに囲まれながら就寝。
前編は以上になります。
後編の公開までしばらく時間をいただきます。
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