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【初心者向けミリタリー】対物狙撃銃/対戦車ライフル

(全3,333文字)
皆さんおはようございます。
毎週木曜日は、かけうどんの趣味の軍事・ミリタリーに関連する記事を投稿する日にしています。

アニメやゲームなどで御馴染みの武器・アイテムなどにもつながるので、少なからず需要はあるのかな?とも思うのですが、なるべく初心者向けの記事にしたいので、難しい専門用語やクドイ説明はしないよう、また、ネットでググれば出てくるような情報の羅列にならないようにしたいと思います。

専門的な知識をお持ちの方が見たら「なんじゃこりゃ?」的な所もあるかも知れませんが、素人が書いている記事ですので、ご愛嬌とお許しください。

今日は、対物狙撃銃/対戦車ライフルについて書いてみたいと思います。

↓↓↓過去のミリタリー関連記事はこちらのマガジンにまとめて収録しております。良かったら読んでもらえると嬉しいです。


1.対物狙撃銃/対戦車ライフルとは

ゲームやアニメ、映画などで見かけるようになった『とにかくごっついライフル』、一般的に『対物狙撃銃』や『対物ライフル』と呼ばれる銃。


長くて太い銃身
重機関銃並みの機関部
巨大なボックスマガジン(箱型の弾倉)
重さはだいたい10kg以上

12.7mm重機関銃で使用される50口径クラスの弾丸を使用するライフルなのですが、その歴史は第1次世界大戦末期にさかのぼります。

1916年に戦場に初登場した『戦車』に対抗するため、最初は通常の7.62mm口径のライフル銃の弾を加工して装甲を貫通できるものがつくられたのですが、単純に装甲を貫通しただけでは役に立たないことが分かりました。

そこで、ドイツで対戦車戦闘用の大口径ライフル銃が開発され、後の対戦車ライフルの原型が登場します。

過去記事に記載したサブマシンガンもでしたが、陸戦兵器の開発史において、ドイツを起源とするものが多いのも興味深いところです。

(1)対戦車ライフルの登場

機関銃の登場で従来の歩兵による集団戦術が使えなくなった欧州戦線では、塹壕戦に移行し、長期間の膠着状態が続きました。

そのパワーバランスを一挙に覆す可能性を秘めた『秘密兵器』の『戦車』が戦場に登場し、世界中がビックリ!こぞって戦車開発に取り組むことに。

今でこそ、戦車は陸戦の王様ではありますが、歩兵が手で運べる重さ・大きさの対戦車火器が発達しており、使い捨てのロケット弾から誘導方式のミサイルまで様々な対戦車火器が存在しています。でも、当時は正直『お手上げ状態』だった訳です。

そもそも、機関銃がにらみを利かせていた戦場を走り回るために造られた戦車な訳ですから、歩兵が使用している小銃や機関銃程度ではびくともしません。

そこでドイツで小銃用の弾丸を基に、より貫通力を高めたK弾と言うものが開発され、一定の効果があることは認められたのですが、致命傷を与えるまでには至らなかったのだとか。

(装甲を貫通しても、内部の機関を破損させたり乗員に命中しなければ意味がなかったため)

そこで、更に改良がくわえられ、13mm口径の対戦車用のライフルが考案されます。

簡単に言うと、通常サイズの歩兵用のライフルをスケールアップしたものでしたが、その威力は十分で、後の『対戦車ライフル』の原型になったとも言われています。

マウザー/タンクゲヴェール(Tankgewehr)
M1918/ドイツ
約60mあまりで25mmの装甲を貫通する威力があたっとされる
当時、英国製マーク1戦車に対抗できた唯一の火器
最終的に1万6千丁以上生産された
大戦後世界各国が購入し対戦車ライフル開発時のお手本となった

歩兵用の小銃をそのまま大きくしただけなので、反動がとても大きく、射撃する時は必ず二脚で地面に固定して撃たないといけなかったり、運用面で大きな制約はありました。

ですが、このライフルができるまでは、歩兵が直接戦車に接近して手りゅう弾を車内に投げ込んだり、地雷をキャタピラに取り付けたりしなければならなかったので、歩兵の死傷率がとても高く危険な攻撃方法しかなかった。

それを考えると、離れたところから戦車に攻撃できる手段ができたのはとても大きかったと言われています。

実用化されたのが第1次世界大戦末期ということもあって、英国戦車の損耗のうち、M1918によるものは1%もなかったと言われています。

第二次世界大戦後も、対戦車ライフルは世界各国で各種口径のものが開発されましたが、戦車の装甲技術の向上によって、対戦車火器としての性能が満たせず陳腐化し、その座を使い捨てロケットランチャーや携帯式の対戦車ミサイルに譲ることに。

ただし、大口径・長射程・精密射撃が可能という特性や利点、遠距離での狙撃に適していることから、現代の『対物狙撃銃』という新しいカテゴリーの武器に生まれ変わります。

(2)対物狙撃銃

対物狙撃銃は、第1次世界大戦末期~第2次世界大戦までの間に使用されていた対戦車ライフルを起源とするものですが、大口径の銃弾を使用する狙撃用のライフル全般を言います。

弾丸が大きく重たいので、通常の小銃用の弾薬に比較して、超長距離での狙撃の性能が、通常の狙撃銃に比較して高い。しかしながら、大型で重く、射撃時の反動がとてつもなく強いので、バイポッド(銃を固定するための2脚)などで固定し、安定した状態で射撃する必要があります。

2017年にカナダ軍特殊部隊で、TAC50と言う銃を使用して、3.5kmの狙撃に成功した例があり、狙撃成功の世界最長記録とされています。

この種類の火器で最もポピュラーなもので実績が高いとされる、バレットM82があり、スウェーデン軍では地雷やIED(仕掛け式の簡易爆弾)除去の目的で『対物銃』として納品されたこともあり、同クラスの弾丸を使うライフルを対物狙撃銃と呼ばれるようにもなりました。

2.バレットM82

対物狙撃銃の代名詞のような銃。ブローニングM2重機関銃に使用される12.7mmNATO弾(.50BMG弾)を使用。

バレットM82/米
1982年製
米国を中心に世界各国軍で使用

【開発秘話】
設計者のロニー・バレット氏はもともと写真家で、仕事で依頼を受けた哨戒艇の重機関銃の射撃を取材した時、ブローニングM2重機関銃に感銘を受けたそうです。

また、氏はもともと趣味で長距離狙撃の射撃をよくやっていたそうなのですが、当時は大口径の狙撃銃は無く、大戦中の対戦車ライフル(言うなれば骨董品や超高価なカスタムガン)しかなかったので、一部の愛好家向けにそんな銃があればなぁ…と考えていたそうです。

もともと絵を描くのが上手かったのもあり、自宅のダイニングキッチンのテーブルの上で、この銃の設計図の素案を引いたそうです。

その後、床板も張っていない自宅の質素なガレージの中で試作品を手作りで制作したそうです。

氏は、この銃の開発と販売のために、バレット・ファイアーアームズ社を設立し、今では世界中の軍隊で使用されるベストセラー銃になりました。

3.最後に…

(1)ハーグ陸戦条約

対物狙撃銃による狙撃は、「不必要な苦痛を与える兵器」に該当するとの説があります。一説では、諸条約に該当している部分は無いともされていますが、戦時においての対物ライフルでの対人狙撃は禁止されるのが通例のようでもあります。

さく裂弾(命中後内部の火薬が破裂して対象を破壊する弾丸)の使用を禁止した、サンクトペテルブルク宣言に抵触するとされるものの、対物攻撃との区別が難しいため、規制に至っていないのが現状のようです。

(2)主な登場作品

バレットM82を参考に記載しましたが、これが登場する有名な作品など、あくまでも一例です。

(ゲーム)
メタルギアソリッド
バイオハザード

(映画)
トランスフォーマーリベンジ
ネイビーシールズ
プレデター2
山猫は眠らない3

私が知らないだけ、または書きそびれただけで、他にも多数の作品に登場していたと思います。もちろんですが、漫画作品でも多数登場しています。

映画やアニメ、漫画で登場する『対物狙撃銃』ですが、少々マイナーな領域にある本武器の背景や歴史について、今回は少し書いてみました。

なにしろ素人が書いた記事ですのでご容赦ください。

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。


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