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【初心者向けミリタリー】戦車の歴史あらかると/Panzer004【世界最速/スコーピオン軽戦車】について

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皆さんおはようございます。

毎週木曜日は、かけうどんの趣味の【軍事・ミリタリー】に関連する記事を投稿する日にしています。

この『歴代戦車あらかると』シリーズでは、世界各国の歴代戦車を”単品”で取り上げてみたいと思います。

今回は、戦車と言う究極の陸戦兵器を生み出したイギリスが誇る、世界最速の軽戦車『FV101/スコーピオン』について書きたいと思います。

よろしければお付き合いください。

過去のミリタリー関連記事はこちらのマガジンにまとめています。

世界最速の軽戦車【FV101/スコーピオン】


1.概要

FV101/スコーピオン軽戦車は、1960年代に英国のアルヴィス社(現BAEシステムズ・ランド&アーマメンツ社)が設計し、1970年代半ばに英国陸軍に正式に採用された偵察用戦闘車両です。

イギリス軍が1950年代末まで使用していたFV601サラディン装輪装甲偵察車を更新するため、『ARV(Armored Reconnaissance Vehicle/装甲偵察車両)計画』がスタート。1989年1月までに1,200両以上が製造され、最終的に3,000両以上がつくられています。

2.運用・機能など

(1)マルチロールな運用構想

1950年代、イギリス軍では、運用コストが高い『主力戦車』の穴埋め的な装備として、偵察任務や歩兵への火力支援を行い、かつ、対戦車戦闘にも使える安価な装甲戦闘車両を求めていました。

当たり前ですが、『主力戦車』はとても、重たい・高価・希少です。

第3世代のものになると数十トンを超えるものはザラで、最新型のものでは優に70~80トンにもなる戦車もあります。

そんな戦車を遠くの戦場まで輸送するには船舶などで運ぶ必要があります。

そうなると、当たり前に、ものすごい時間とコストがかかります。

戦車は『陸戦の王者』ではありますが、1両あたりのコストが高いだけでなく、運用には大量の燃料が必要だったり、定期的なメンテナンスも必要なことから、『兵站支援の所要』がものすごく大きいのが泣き所でもあります。

陸軍の主役はあくまでも歩兵であることに古今かわりはなく、陸軍の全てを戦車にするほど国防費は無限ではありません。(←イスラエルをのぞく)

このため、数に限りのある戦車をどんなに上手に運用しても、『かゆい場所』は必ず出てくるもので、そんな空白地帯を埋めるべく導入されたのがこのような軽量・小型の多目的戦闘車両だったのです。

(2)機動力

特筆すべきはその速度です。

このスコーピオンと言う戦車は…

最高速度【時速80km/h】!

『世界一速い戦車』としてギネス認定されています。

ただ速く走れる戦車を作るだけなら、実はそんなに難しくはありません。

お金をかければどんなモノでも形にすることは不可能ではないからです。

スコーピオンが凄かったのは、試作車やワンオフものの特別なものではなく、『制式採用された量産型戦車がそのスペックを有している』と言うところでした。

(3)防護力

戦車を航空機でいち早く遠くに運ぶためには、軽量・小型であることは必要不可欠になります。

航空機での輸送を視野に入れて設計された本車は、正面装甲を旧東側兵器の主力火器であった14.5mm級の重機関銃による射撃に耐えられることを最低条件として設定。側面を含むその他は歩兵が装備する7.62mm級小銃弾に耐えられるように設計されています。

その結果、重さが約8tと言う軽さになり、C130ハーキュリーズ輸送機なら2両を運ぶことが可能。大型のヘリコプターで吊り下げて空輸することもできます。

とかく戦車の評価は単純に『重さ』で比べられることが多いのですが、このように、『どんな使い方をするのか?』といった運用上の要求にマッチした性能にするためには、求められるスペックもおのずと変わってきます。

(4)火力

旋回式の砲塔に装備されている76mm砲は、L5A1(旧装備にあたるサラディン装甲車の搭載砲)の軽量化モデルが採用されています。

1980年代には、輸出仕様の90mm低圧砲モデルも開発されていますが、こちらは装備重量の関係から最高速度が80km/h⇒72km/hに低下しています。(それでも十分速いんですが)

後期輸出モデルでは、ディーゼルエンジン仕様やFCS(射撃統制システム)を大幅に性能向上したモデルも存在しています。

3.最後に…

『THE・戦車!』と言えば。

陸戦の王者
万夫不当・一騎当千・戦国無双
向かうところ敵なし!

何となくこんなイメージですが。

いいところばかりではなく、

重い/大きい/お金がかかる

そんなところも避けられません。

第一次世界大戦で膠着状態に陥った戦場の様相を一気に塗り替えてしまった新兵器、『戦車』。

その生みの親であるイギリスが1950年代から1990年代までの間に装備化した主力戦車は、センチュリオン、チーフテン、そしてチャレンジャーと、旧ソ連製戦車に決して引けを取らない決戦兵器として完成度の高いものばかりでした。

第二次世界大戦中から英国は『重たいもの』と『軽いもの』の二系統の戦車を開発・装備化する傾向がありましたが、これって実は戦闘艦艇(弩級戦艦と快速戦艦など)の運用構想にも少し似ているんですよね。



毎度のことながらですが、なにしろ素人が書いている記事です。諸所分かりにくいところもあるかと思いますが、どうかご容赦ください。

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。

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