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【初心者向けミリタリー】拳銃の歴史あらかると/『SIG-SAUER-P226』

(全2,222文字)
皆さんおはようございます。

毎週木曜日、初心者向けミリタリー記事を投稿している、かけうどんです。

このシリーズでは、世界各国の歴代の名銃を単品で取り上げてみたいと思います。

今回は、スイスが生んだ世界最高水準の精密さを誇る軍用拳銃のルーツをたどり、その開発・生産過程において大きな結節となった『SIG-SAUER-P226』について書こうと思います。

(SIG-SAUER/シグ・ザウエル、又はザウワー、サワーなど発音によって様々な読み方あり)


1.概要

SIG SAUER P226は、SIG社(←厳密にはこの社名は正しくありません。後述します。)が、P220の後継として開発したセミオートマチック拳銃です。

銃器メーカーや銃の名称として、とても有名なSIG SAUER(シグ・ザウエル)ですが、実はふたつの銃器メーカーの名前だったりします。

①SIG(スイス)とザウエル&ゾーン(ドイツ)の合併企業

②米国現地法人、旧SIGアームズ

スイスには国外への武器輸出に法的制約があったことなどから、SIG社は国外の会社との合併企業を設立したり、米国での現地法人設立と言う形をとったりしていましたが、現在は複数回に及ぶ買収・合併契約などを経て、銃器としての知名度が高い『SIG SAUER』と言う名称は残っているものの、スイスのSIG社そのものは銃器メーカーではなくなっています。

(会社の変遷を書くと、1853年までさかのぼる必要があり、とても長くなるため今回は割愛します。)

2.SIGの系譜

(1)SIG SAUER P210

第二次世界大戦後、スイスのSIG社が軍・警察用に開発したオートマチックピストル。スイス特有の高い精度で製造された軍用銃で、命中精度等が高く、すばらしい銃でした。

ただし、シングルアクション(*1)であったことや、弾丸を込めるマガジンがシングルカラム方式(*2)であったことなどから、次第に時代遅れ感が否めなくなり、後のP220に交代することになります。

(*1)撃鉄/ハンマーを指で起こさないと初弾が発射できない。暴発などを起こさないと言う安全性は高いが即応性に欠ける。ダブルアクション方式では、引き金を引くと自動的にハンマーが起立して撃針を叩く仕組みになっており、現代の軍用銃はダブルアクション式のものが多い。

(*2)弾丸が一列で入るタイプの弾倉で、装弾数が少ない。後に軍用銃は殆どがダブルカラムマガジンという、弾丸が千鳥式に装填されるタイプが主流になり、装弾数がおよそ十数発~二十発弱のものが多い。

(2)SIG SAUER P220

SIG SAUER P220は、スイスのSIG社とドイツのザウエル&ゾーン社が1976年に共同開発した警察・軍用の自動拳銃でした。

当時としては珍しく、手動の安全装置がなく、その代わりに撃鉄/ハンマーを安全に元の位置に戻す『デコッキングレバー』を採用しています。

細かい仕組みの説明は割愛しますが、とても簡単で作動が確実なショートリコイル機構を備えていて、この仕組みは後の自動拳銃開発に大きな影響を与えることになります。(現代軍用銃の機構はこれがほぼ主流)

唯一残念なところは、マガジンリリースボタンがグリップの下部にあったこと。これは非常に操作性が悪く、現代の銃では殆ど見られない形式です。(写真は改善型)

本銃はスイス軍に1975年にP75の名称で、P210の後継装備として正式に採用されています。

(3)SIG SAUER P226

P220は、仕様上シングルマガジンであったため装弾数が他社製品より少ないと言う弱点がありました。そこで、米軍の新型拳銃トライアルに合わせて、ダブルカラムマガジン型のP226が誕生することになります。

(P220と外見上の違いは殆どなく装弾数が9発から15発に増加)

米軍新拳銃トライアルでは、マニュアルセフティ機能がないこと、値段が高いなどの理由で、ベレッタに敗れていますが、この銃が決して性能的に劣っていた訳ではありません。英国陸軍ではブローニングハイパワーの後継装備として本銃を採用していますし、米国海軍特殊部隊(SEALs)やニューヨーク市警でも採用されています。

(個人の見解/マニュアルセーフティは、そもそもP220/P226の設計上の仕組みから言えば必要ないものとも言えますが、米軍がそれを求めた理由として、世界で最も戦争を多く経験していることが背景にあるのではないかと推察されます。)

3.最後に…

個人的意見ですが『SIG SAUER』という名は、銃の世界では超有名な会社名と言うかブランド名のようなものと言っても過言ではないと思います。

ただ、なぜ今回、P220でもなければ、P210でもなく、P226を選んだか?と問われると…特別な理由はありません(笑)

SIG社の歴史を紐解くと、必ずP210が出てきます。そして、P210の後継となるP220は非常に良く出来た拳銃でした。

なので、SIG社製品の記事を書こうと思うと、P210やP220を書くべきだったのかも知れません。ただ、会社の変遷であったり、開発の系譜、市場展開の歴史を紐解いた結果、大きな結節に存在していたのがP226でした。なので、結局はこの3丁の概要を書くことになってしまいましたが(笑)

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。

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