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80 古民家なればこその事! ③本が出来た

丁度パソコンの無料講習会が
あちこちで行われていた。近所の小学校で参加した。
あてがわれたパソコンで、ほんの、基本を学ぶ。
自分史の会に入っていて、毎月原稿を持参し合評をする。
下手な自筆は読み辛く、パソコンのできる人に頼むのは長文が書けず、いつもコピーでは追いつかず、夫のパソコン借りて、おずおずと、原稿を打つようになった。
丁度高原の古民家を借りたところで、毎日のように大学ノートに日記を書いていた。
珍しい田舎の暮らしは、知らないこと多く、初めて聞いたり見たりの体験をこまめに、記していた。
実家にいる時、友人とカフェに入り、話をしていた折、自分史の会に提出のつもりの原稿を、ヒョイと見せた。"面白いね、本に出来るよ"その一言が妙に頭に残っていた。
自分史の会では、顧問の先生が製本の会も、主催していらして、掛け持ち。
ある時私の原稿が随分な量になったとき、きれいに表紙をつけて、(世界で一冊、貴女の本)と言って手渡して下さった。
私の原稿が、きれいに揃い、きっちり綴じられて、和風の藤色の上品な表紙が付けられている。
手に取るとズシリと中身の楽しさを知っている私にしては、凄い喜びとともに、ひらめきが湧いた。
自分の原稿
で本ができる。人様に作ってもらっていては拉致もあかない。これは一丁腰上げて、本気で取り組もうと、背中を押された気分に、なった。
その気になると私は早い。自費出版の、広告を新聞で見て即行動開始。電話にて申し込み、原稿をパソコンでうち、チェックしながら東京へ送る。
たくさん打っては保存を忘れ、再度やり直したり、あまり一度に大量に打つと、はたと、パソコンの動きがス
トップしたり。
それはそれは苦労した。
編集長の女性は50代後半くらい。バリバリの職業婦人。3度ほど出向いて膝突き合わせての本づくり。
パソコンで難儀するのとは大違い。半年くらいは他の事一切遠慮して、本造りに、励む。
ほんの表紙は夫が撮影した星空を選び、帯は人に頼まず自分で書いた。
[古くて大きな山の家を貸してもらったよ。お金持ちじゃないけれど、身の丈知って足るを知る。楽しむことなら任せておいて。不思議な場所だよ満天荘]
[いいなあ!光と、水と雲に戯れ。いいねえ!芋、豆、菜っ葉。蕎麦にモロコシ。村の人達優しい笑顔、働く姿に惚れ惚れするよ]

満天荘日記は開田高原の家を借りて3年目の生活、一年間の様子を書いたもの。嬉しくて興奮冷めやらず、幸せな自分史として、位置づけた。
病気や苦労話とは違う楽しい自分史のほうが私はスラスラかけた。
それに自分の本が出来て、見ず知らずの人にも読んでもらえるのは、初体験でもあり、書くことが子供のときから好きだった自分には本という形になるなんて夢のような事だった。
2003年2月発行、私の手元には200冊が、前年の12月に届いた。
自分史の会のメンバーには新年会に手渡す。黙ってやったことだから、皆さんあっと驚く。上手ならともかく、大したことない本だけど、はやわざで、とにかく形にした。その行動を驚かれた。友達は出版記念会をしてくれたり、一族郎党は、自分も登場人物なので、まんざらでも無かったみたい。
7年半掛けて、1100冊が捌けた。今は、アマゾンにも在庫なし。

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