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351 80歳の暮らしから

(9)解く

 午後から予定があるので、午前中に一仕事やることにした。
10ヶ月も前になるか、古い真綿の半纏を、作り直してもらおうと思い立つ。
心当たりに頼んでおいたが、忙しい方なので、無理は言えず、待っていた。
昨年末に、寒い日が続き、そうそう、お願いしてたけど、今年の冬には間に合わないかなぁと、様子をそれとなく聞くと、やはり、暇はできそうにない。
年を越し、さらに寒さが増してきて、ああ、この軽い半纏なんとかならないかなぁと、ボロボロになっているが、羽織ってみる。
軽い!あったかい!これにまさる保温着はない。
母から譲り受けた物。お洒落な母は、昔からある懐かしい形の半纏を好むような人ではない。
私は古いものでも、実際の暖かさや着心地重視、ありがたくもらって愛用した。
えりもボロボロ、袖口は当然、裾などゾロリと。
よくよく離さず着込んだものだ。我ながら呆れるほどの使い込みよう。
さてと、いえば作ってくれる心当たりもあったが、コロナなしのせいでなんとなく、わざわざ話にも行く気がしない。
さりとて、いつまでもボロボロを見てるのも苦になる。
今日お昼前に解体しようと思い立つ。裁縫箱を出してきて、ハサミを取り出し。
順番にきれいに解けば布もキレイに収まるはず、長年食い込んだ糸を端の方から解しだす。
絡まったり、こんがらがることもなく、割とスイスイ糸が解けた。
文様は絣だが、紬のようでもあり、とにかく丈夫に長持ちした物だ。
中の綿は形のママ、澄ましている。表を変えればすっかり美しく変身間違いなし。
それにしても、新しい素材で、はじめからキレイに縫えば、申し分ないのだが、古いものを再生しようというのは、手間暇かかる。
自分でやるのが本来だが、あいにく和裁の技はない。
暫くこのままにして、何方か、物好きな方でもいないか、探してみることにする。
心当たりが無いわけでもないが、いつになるやらならぬやら。
2月3月、目のメンテナンスでいそがしい、今年の寒は、半纏なし。娘からのプレゼントの今風の軽いコートを有り難く使うことにする。

#使い込まれた暖かさ
#価値がある

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