供述-6
あいつのことを聞くくせ、探すのは僕なんだ。わっかんないなぁ。
さて? 探している以上は僕になにか聞きたいことでもあるんじゃないの?
僕が誰がとか。あいつとどういう関係なのかとか。
なぁんて、聞かれなくても言うよ。今日はそういう気分なんだ。
端的に言うとあいつと僕はまったくの無関係だよ。ああ、でも『体を借りてる』から無関係は言い過ぎかな?
因縁なんてものは……ないよ。少なくともあいつにとってはね。
前にも言ったでしょ、あいつはうつろう存在だって。
言葉、言の葉。そういうものに引き寄せられては消えるもの。
だから本当はとっくの昔に消えても仕方のなかったものなのに、どうしてか、誰だかの願いでずうっと形を保ってる。
憎らしいよねぇ。本当は僕が……。それはまぁ、いいや。
それを間借りしているのが僕で、声が一緒なのもあいつのイメージに引きずられてるから。
これでいい? はい、おしまい。
……何で間借りしてるかって、そりゃ神サマが直々に降臨なんてできるわけないでしょ。
はは。信じてないな、その顔。
僕ねぇ、こう見えて結構な怨霊なのよ。神サマ扱いされるくらいの。
信じられない? そりゃそうだね。
じゃあそうだ、今ここで本屋も、お前も、全部滅茶苦茶にしてやろうか。
そうしたらあいつびっくりするだろうなぁ、大事な客と店が――……。
……は?
……。生意気だな。
萎えた。今日はここまでにするよ。
またね。また。
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