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『羽仁もと子案 家計簿』はどこが違うの? 100年以上多くの人に愛され続ける理由があります

 みなさまこんにちは! カケイプラスです。
 突然ですが、歴史学者・磯田道史さんの著書『武士の家計簿』をご存じですか? 
 収入、支出が仔細に書き残されていた「金沢藩士猪山家文書」という資料から、当時の加賀藩の武士の暮らし・習俗や、江戸末期の藩の統治システムまで、具体的に描かれています。このように、収入、支出を記録し、生活の道筋を立てることは、古くからなされてきたことでしょう。しかし、「家計簿」として、一般に広く記帳されるようになったのは、そう古いことではないのです。
 表紙に大きく「家計簿」と書かれた『羽仁もと子案家計簿』は、婦人之友社の創業者である、羽仁もと子が、1904年(明治37年)に創案。110年を超えて、長い間、多くの方に支持されています。

『羽仁もと子案 家計簿』って、何? 

 そう、思う方も、いらっしゃいますよね。
 羽仁もと子が1904年(明治37年)に創案した家計簿の特徴は「予算のある」こと。

 予算のある家計簿をつけていると、「あとどれくらい使えるかがわかる」「お金の使い方のクセがわかる」「生活の優先順位がわかる」ようになります。
 

そして、「お金の使い方が変わる」「生活を工夫するように変わる」「他人と比べないように変わる」と、生活にも変化が生まれます。
 

さらに、「お金をつかう安心感」「教育費の山も安心」「人生の思いがけないことにも対応できる安心」と、お金にまつわる不安から解放されます。
 『羽仁もと子案 家計簿』が誕生する前年、羽仁夫妻は、第一子(長女・節子)誕生の翌日に、『家庭之友』(のちに『婦人之友』と改題)の創刊号を世に送りだしています。赤ちゃんを抱えながら、もと子自身が、いかに家庭の経済を回していくかの工夫から、この家計簿は生まれました。

 予算の立て方も記帳の仕方も、私の新家庭時代にできるだけの工夫と実験に照らして、だんだんに考案し組織してきたものです。そうして私はこの予算のたて方、記帳の仕方こそ、家庭の経済を健全にするために、真にたしかなものであることを深く信じるようになりました。この「家計簿」が年毎に多くの家庭のお役に立ってゆくことは嬉しいことです。
 『羽仁もと子案 家計簿』より「創案者の言葉」から

 予算生活を基礎にして、費目ごとに支出を記帳していく、家計簿を続けていると、「生活」を問いなおす力がついてくると、私たちは考えます。


これからの時代を、
もっと希望をもって、
もっと丁寧に、
あなたのお金と向き合って、
暮らしていきませんか。

羽仁もと子(*)
1873 年(明治6)、青森県八戸生れ。報知新聞社の校正係から日本人初の女性新聞記者となり、後輩の政治記者・羽仁吉一と1901年に結婚しました。1903年に、同じ境遇の若い家庭にむけて、家庭生活誌『家庭之友』(のちに『婦人之友』と改題)を創刊。翌年に、だれにでもつけやすい『家計簿』を創案し、女性の手に家計運営を奨励しました。

羽仁もと子について、もっと知りたい方はこちら
https://www.fujinnotomo.co.jp/about/life/

雑誌『婦人之友』では2021年1月号より、「羽仁もと子とその時代」を好評連載中。2023年の羽仁もと子生誕150年、『婦人之友(家庭之友)』創刊120年に向けて、今日なお心に響く言葉や思想を生み出した羽仁もと子の歩んだ道を、作家の森まゆみさんがたどります。

婦人之友社について知りたい方はこちら
https://www.fujinnotomo.co.jp/

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