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石川県立図書館 覚え書き。

昨年(2022年)7月に移転開館して以降、新・金沢観光名所としてすっかり定着した感のある石川県立図書館。
わたしも、県外からの書籍関連のお客様をご案内する機会が増えています。
しかし、ご質問を受けてもスッとお答えできないことも多々・・・。
ということで、覚え書きがてら、石川県立図書館について書いてみようと思います。
(記事中の写真はすべて筆者撮影のものです)

中央から北口方面を見通す

石川県立図書館の変遷

初代開館 1912年(明治45年) 兼六園(金沢市丸の内)に開館
  ↓
2代目館   1966年(昭和41年) 本多の森周辺(金沢市本多町)に移転開館
  《課題》・閲覧室が狭く、蔵書の9割が20ヶ所の閉架書庫に分散
      ・駐車スペースは縦列駐車を含めて32台分のみ
      ・耐震基準を満たさず、設備も老朽化
  ↓
現在   2022年7月(令和4年)金沢大学工学部跡地(金沢市小立野)に移転開館

新石川県立図書館基本構想(2017年)に基づくコンセプト

  1. 建物のコンセプト・設計
     環境デザイン研究所(仙田満会長)

『人が集まる建築 環境×デザイン×こどもの研究』仙田満 講談社現代新書 2016年初版
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784062883665
素人にも判りやすいように「遊環構造」について説明されています

2.家具のコンセプト・デザイン監修
  川上デザインルーム(川上元美代表取締役)

用途と気分に合わせて選べる100種以上500席の椅子(筆者撮影)
(詳細は「石川県立図書館 家具ガイド」をご参照ください https://www.library.pref.ishikawa.lg.jp/file/2246.pdf 

3.館内サインのコンセプト・デザイン監修
  廣村デザイン事務所(廣村 正彰氏)

広い館内でも、見上げれば直感的に居場所が判る(筆者撮影)
東京オリンピックのピクトグラムも廣村氏のデザイン
http://www.hiromuradesign.com/

4.配架の特徴
 ビギナーにもマスターにもうれしい図書館

円形の部分=出会い重視
「思いもよらない1冊との出会い」の提供
円形の外側=探しやすさ重視
検索機も数多く設置

5.館内のゾーニング
 「閲覧エリア」「こどもエリア」「文化交流エリア」の3分類
・「文化交流エリア」平日は21時閉館 飲食OK イベントもいろいろ
          自習、リモートワーク、会議、お昼寝(?)などなど

だんだん広場
研修室

※文化交流エリアにはこのほかにも、
 食文化体験スペース(オープンキッチン完備)
 モノづくり体験スペース(3Dプリンターやレーザーカッター完備)
 ラーニングスペース(お弁当の持ち込みもOK)
 ブックリウム(本をテーマにしたプラネタリウム?)

・こどもエリア

こどもって潜り込むよね
お天気のよい日は絵本を持ってお庭にも出られます

・閲覧エリア
 「本との出会いの窓」
  P‘s OFFICE 茂泉ユミ氏演出

緩やかなスロープをのぼりながら出逢っていく
こんな形の新書との出会いもいい
原稿用紙と万年筆が似合う、似合い過ぎる

閲覧エリアの分類別図書コーナー

ホテルのロビーのような上質の空間
茶室のような趣のあるレストルーム
博物館のような楽しみも尽きない
最上階「リング」にもぎっしりと本
見せかけではない人の手が入った本
館内のそこかしこに 工芸の街を感じる展示

学びの場であり、憩いの場であり、胸をときめかす場である。
近くにこんな場所ができて、本当にありがたいと思います。

金沢にお越しの際には、ぜひ、この椅子で本を読んでみませんか。

知へのブリッジ

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