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補助金とは、どのようなものなのか?


事業を経営している方であれば、大なり小なり補助金に触れる機会があると思います。でも、補助金とはどのようなものなのかを、しっかりと認識している方は、そんなに多くないという印象があります。

確かにネットで検索してもいろいろな情報が飛び交っているので、情報収集からしてわかりにくいところがあります。


また、お役所への提出書類なども多々ありますし、事業計画の策定が必要になるなど、面倒くさいことも多くいので、なかなか使いにくいものになっていることも確かです。

でも、しっかりと理解して活用すれば資金面でも事業面でも有利になるものでもあります。そこで、今回は補助金のとはなにか? について少しだけ深く考えてみます。


1・補助金と助成金の違いは?

ときに、補助金と助成金の違いが判る方はいらっしゃいますか?
ネットで検索すると、補助金は経産省、助成金は厚労省、という記事が出てきたりしていませんか?

もちろん正しく書かれている記事もたくさんありますが、補助金は経産省、助成金は厚労省という認識である方も少なくありません。そこで、補助金の定義について、しっかりと確認してみます。

じつは補助金と助成金に、違いはありません。単なる用語の違いだけなのです。

goo辞書によれば、
――――――――――――――――――――――――――――――――――
1 不足を補うために出す金銭。
2 国または地方公共団体が、特定の事業・産業や研究の育成・助長など行政上の目的・効果を達成するために、公共団体・企業・私人などに交付する金銭。補給金・助成金・奨励金・交付金などの名称がある。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
となっていますから、goo辞書としては、補助金の中の名称として助成金や給付金があることになります。他の辞書でも似たり寄ったりで、補助金と助成金の定義を明確に区分しているものはありませんし、助成金で検索すると補助金が出てくくることも多いです。したがいまして、補助金と助成金の違いは用語の違いだけであり、本質はなにも変わりません。


2・補助金の目的とはなにか?
先ほどのgoo辞書の太字にしたところ、
――――――――――――――――――――――――――――――――――
1 不足を補うために出す金銭。
2 国または地方公共団体が、特定の事業・産業や研究の育成・助長など行政上の目的・効果を達成するために、公共団体・企業・私人などに交付する金銭。補給金・助成金・奨励金・交付金などの名称がある。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
 に注目してください。補助金とは、行政が一般市民に配布する給付金とは異なり、行政上の効果・目的を達成するために交付するものなのです。

経済を活性化さることが目的だとしたら、起業を考えている人には創業資金の融資を受けたときの金利や信用保証料を自治体が負担するという補助金の交付もありますし、展示会などへの出展や主催者に対して補助金の交付があったりします。

社会福祉の向上が目的だとしたら、不足している社会福祉施設設立に対して補助金の交付がありますし、地域環境の向上が目的だとしたら、環境活動を行う団体に対して補助金の交付があります。

行政活動は多様多岐にわたりますから、それぞれの地域の特性に応じた行政活動がありますし、目的・効果を達成するためのものとして、さまざまな補助金があります。

とは言うものの、税金などの公的な性格のものが資金になっていますので、当然のことながら公平性が求められますから、各自治体が出している補助金も似たようなものになってしまうという傾向にはあります。


3・補助金と融資の違いは?
補助金と融資の違いについては多くの事業者がご存じですが、念のために再確認をしてみます。

補助金は申請して採択されていれば、申請書とは異なる事業をしたり認められない経費を計上したりさえしなければ、たとえ事業に失敗したとしても、採択書に記載されている金額はもらえますし返済する必要もありません。

一方の融資も申請して認められれば、金融機関が判断した金額の融資があります。こちらのほうは、事業計画書の通りに使う必要もありませんし、使い道を禁じられている経費もありませんが、万が一、事業に失敗したとしても融資された金額は返済する必要があります。

簡単にまとめると、返済の必要はないけど使い道が限定されているのが補助金であり、使い道は限定されていないけど返済の必要があるのが補助金ということになります。

ちなみに、補助金が採択された事業は、融資も受けやすくなる傾向にありますので、資金繰りを有利にする目的で利用することも方法の一つです。


4・補助金を受けるためには?
補助金の定義は、「特定の事業・産業や研究の育成・助長など行政上の目的・効果を達成するために、公共団体・企業・私人などに交付する金銭。」です。

このことから、行政も現状の目的・効果に満足しているわけではないからこそ、補助金を交付すると考えることができます。ですから、今の自分の事業をそのまま継続することで受けられる補助金は、ほとんどないといえるでしょう。

例えば、居酒屋さんがお酒と食事を提供するのではあたり前でのことで、そこに補助金を交付していたら居酒屋に限らずほとんどの事業者が補助金を受けることができなければ不公平になりますし、それでは行政の財政が破綻する可能性が高いです。したがいまして、補助金を受けるためには今の事業を変えていく必要が、大なり小なり生じてきます。

居酒屋の例で言えば、4~5人のテーブルを増やして子供向けの食事メニューを増やして家族が団らんできる居酒屋とか、子ども食堂のような機能を持たせて地域のコミュニティに役立つ居酒屋とか、そういった特徴をある事業を考えていかなければ、補助金を受けることは厳しいかもしれません。

また、社会のニーズと自分たちの事業を合わせていくと、一度の補助金で経済活性化の目的と社会福祉充実の目的という2つの目的・効果が達成でいる可能性があるので、補助金が獲得しやすくもなる傾向があります。

今ある事業の何かを変えていくこと、新しい事業を考えていくことが、補助金を得るために考えていかなければならないことです。今の事業に対して出される補助金は、災害時や感染症が流行している時期など、特別な事情がないと行われないものですから、期待はしないほうが良いものですし、マイナスは補えてもプラスは生み出さない、そのようなものであると考えておくほうが無難です。


5・補助金の魅力とは?
2020年9月現在、COVID-19による大きな社会変化の中で、これからは感染症対策も考えていかなければならない時代になりました。

混乱する社会の中で、人の動きが停滞し経済が縮小し景気が悪化していく社会の中で、感染症対策や事業維持のための資金繰りなどの業務に追われてしまい、事業を振り返ることができないという事業者も多いことでしょう。

ですが、補助金は、申請する段階で自らの事業を見直すというきっかけにもなりますし、事業計画を作成するきっかけにもなります。自分たちの事業の新しい魅力の発見や社会的役割の確認など、これからの事業展開を考えるきっかけとして活用していくことがでるものです。

お金がもらえるかもしれないということをきっかけにして、多くのかたの事業が、補助金を申請することで新しい魅力につながり、その新しい事業が社会の活性化にもつながって、多くの人が幸せになることを願っています。

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