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ロマとエーブリエタースの詞【Bloodborne・二次創作】


ロマとエーブリエタースの詞


嘗て外宇宙が青銅色に染まり  星の娘降臨せし時

人類は其の瞳に  焦がれた創造主の痕を見た

深美なる来訪者へ  極上の献上物を捧げよと

叡智を模索し人の子ら  何処へとも駆け


その手神秘の血に塗れたるは

ああ、かつての仲介者ロマの聖体

人自身により引き千切られ  毟り取られたのだ

幼く拙い地上の者よ  哀れなる子供らよ

エーブリエタースは  星の涙を溢した

青緑たるその雫  滴り、ロマの聖体を覆い

惑星の光苔は  弔いの後光を湛えた


美しい娘よ  泣いているのだろうか

ことばを読み誤り  因果に堕つる人類の愚かさを

美しい娘よ  祝福してくれるだろうか

生気に満ちた赤子の  柔く甘やかな芳香を




=補記・設定=


 この地を訪れた星の娘エーブリエタースをもてなすため、ビルゲンワースの学徒らは献上品として、当時上位者と交信が可能とされていた一人、ロマの後体部外殻を捧げた。
 ロマとは人類の到達しうる最高峰の交信者であったが、当時は既にその役目を終え(※)黙するのみの傀儡と化していた。この事件は星の仲介者としての交信も稀であったロマを、廃人と決定づけた一因とも言われている。

 ※注:と一般には評されている。しかしロマの資質については未知の部分も多く、上位者との交信以外にもまだ学ぶものがあったはずだとする教会研究者の意見もある。


 かつてロマとも交信の機会があったエーブリエタースは、献上されたロマの変わり果てた姿を目にすると涙を流したと言われている。

 ビルゲンワース学長のウィレームは学徒の浅慮を恥じ、あらゆる者にエーブリエタースとの面会・献上品の贈呈・交信の儀の一切を禁じた。
 またロマの献上について知る者のほとんどを、処罰及び医療処置の対象とした。その際、口の固い処置済二者を選出しエーブリエタース幽閉の番兵とした。

 その上でロマの遺された聖体(頭部及び後体部の残りを指す)もまた、湖の底に隠したとされている。


 医療教会史中期に製造されたロスマリヌスの一部型番(※)には、汎用カレルにて「美しい娘よ、泣いているのだろうか」と刻印されていた。

 ※注:現在この型番について保管、所蔵等はされていない。上記の刻印はビルゲンワース文書室にて保管された詞節の引用とされているが、誰がどのような意図をもって記したのかは定かでない。

 上記詩節について、現在文書室にて判読可能な書籍には掲載されておらず、未解読カレルの分類にて近しい記述のものが登録されている。ロスマリヌスの刻印についても、この文書の記述から引用されたと推測される。

 当該未解読記述については、上記一節「美しい娘よ、泣いているのだろうか」のみが汎用カレルで記載されており、その他の文字は謎のカレル文字にて記述されている。学長と一部学徒に共有されたウィレームカレル、及び未解読記述の原記者による独自のカレルとの混合記法と思われる。

 余談だが、エーブリエタースの来訪に近い時期にビルゲンワース学徒の間では「独自カレル(暗号カレル)」と呼ばれた筆記法が流行した。未解読文書の何割かはこの独自カレルであるが、大概の内容は取るに足らない内容のものとして解読されず、保管されるままとなっている。


 狩人が夢で会うことのできるロマは既に後体部外殻を取り去られた姿であり、金糸状の産毛は元々視神経をはじめとした神経線維の名残である。




※筆者の妄想、解釈によるものです。本来のゲーム設定と齟齬がある場合があります。