生命の散る訳を

駐輪場の犬が死んだ。駐輪場の番犬が死んだ。

端に悲しく追いやられた犬小屋に花が添えられていた。

いつも、その犬は吠えていた。誰かの優しさを乞うように。

俺の声を聞いてはくれないか。

そんな風に聞こえていたけれど、僕は犬を撫でてやることすらできなかった。風呂にも入れてもらえず、飯もろくにもらえてないように見えていたのに。痩せこけた犬の姿を横目に僕は、いつも駅に急いでいた。後悔しかない。日常に組み込まれた何かが欠けた途端、僕らは一気に不安になる。そこにある当たり前が僕らを奈落に突き落とす。ごめん。痩せた犬よ。生きたいという叫びに耳を傾けなかった僕は柔すぎるな。ごめんよ、ごめんよ。

だから、せめて、僕は君がいた証をここに記すよ。言葉として、刻み込む。忘れてしまっても今に刻めば残り続けると信じて

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