スティングの格好良さに気づいたのは大学一年生になってからで、ちょうどソロとしての5thアルバム「TEN SUMMONER’S TALES」が世にでた年だったから、かれこれもう23年前のことになる。 その時には既に彼は大ベテランで、「この歳で!」という感嘆符とともにロックに真っ正面から取り組んでいた。 スティングの哀愁の漂う声と、余白のある楽曲に虜になった。 20代の僕には、40代のスティングが紡ぐ音楽に、どこか禅にも通じるような世界観があるように聴こてえいた。禅のことをそ
遅い夏休みをもらって実家に帰ったので、久し振りに吉野から熊野灘に抜け、和歌山の新宮と本宮へ出掛けてきた。 今から14年前までの、かつて20代半ばを過ごした熊野はもうあの頃とはかなり様相を変えていて、あの輝きは幻だったのだろうかと眩暈に似た戸惑いを常に感じた2日間となった。 吉野や熊野の、渓谷沿いの僅かな平地に建てられた家屋やその集落を車で走り抜けているといつも、この地方の暮らしの礎は石を積み上げ組み上げて土を盛ったり切ったりする技術だったのだろうなという思考を、ハンドルを繰