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はんこのデジタル化からオフィスを持たない会社の登場まで

このnoteはある知り合いの就職活動生に向けて話そうとした内容を事前に整理するために書いてみたものです。社会人は戻るを押してください。

今、はんこを押すためだけに出社している人がいる

今日、Twitterで「はんこのデジタル化」がトレンド入りしていました。

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きっかけは昨日のIT相の記者会見。日本のはんこ文化がテレワークの妨げになっているのではないかという問いに対して、「民間企業のことは知らん、勝手によしなにやれよ」という旨の回答したことで話題になっている。

見積書、契約書、請求書。日本の企業間における取引では何でもとにかくはんこは必要です。しかも未だに多くの会社では紙で回ってきた書類に、担当者だけが持っているとても強い権限がありそうな物理的な印鑑をぐっと押し込んではんこを押しています。

会社間の取引における信頼を担保するという意味ではんこ文化が成り立ってきたこと自体は否定しないけれど、このテレワーク推進・移動制限が強く求められる環境下で、少なくない人がオフィスに届いた紙の書類にはんこを押さないといけないがために出社しています。もしくは出社禁止ではんこが押せないがために、契約が、経済活動が、滞っています。

進むはんこのデジタル化

そんなくだらない(はんこのために感染リスクを侵して出社するとか、押せなくてビジネスが止まってるとか、本質的じゃなくてくだらないよね)商習慣を変えていくために、動きの早い企業ははんこのデジタル化やその働きかけを始めています。

・4/8 メルカリが取引先に対して電子契約をお願い
・4/10 電子契約サービスNINJA SIGNがサービスを期間限定無料化
・4/14 大塚商会が企業の「脱・印鑑文化」を支援
・4/15 GMOインターネットグループの電子契約サービスAgreeが「ハンコなし宣言」でサービスを期間限定無料化

本質的に起こっていること

このはんこのデジタル化が進むことが本質的に何を意味するのかというと、「変えたほうが明らかに経済効果があるとわかっていても、取引相手の商習慣に引っ張られたり、社内の業務フローを変えるのが大変だったり、絶対に変えないといけない理由がなかったりしたために、今まで変われなかった日本企業のふるまいが、変わらざるを得ない状況になったことで、一気にあるべき姿に進み始めた」ということ。これをはんこのデジタル化以外に当てはめると、伸びるビジネス、変わるべきビジネスが見えてきます。

ウィズコロナという前提

「変わらざるを得ない状況」というのは、言わずもがな新型コロナウィルスの影響です。影響が短期的なものであれば、大手企業が業務プロセスを変えて対応するほどのことではなくて、一過性の問題で喉元すぎれば熱さ忘れるです。

実際、少し前の感染に対して対岸の火事、楽観的に見ていた間は「アフターコロナ」という言葉で、感染が数ヶ月程度の短期間で収束する前提でその後の世界を多くの人が考えていました。

しかし状況が悪化するに従い、この行動制限がされた状況は1年半〜2年ほど続くのではないか、その前提に立つと「ウィズコロナ」を前提としてビジネスや生活を組み直す必要があるんじゃないかという話が出てきました。

伸びるビジネス、変わるべきビジネス

ウィズコロナを前提とすると、世の中は大きく変わります。伸びるビジネス、変わるべきビジネスを想像すると、就職活動の参考になるかもしれません。

電子契約サービス、ものすごく伸びるよね。それに伴い、電子ファイルを共有できるオンラインストレージやクラウド書類管理サービスはより利用されるよね。紙や製本テープ、封筒は売れなくなるよね。

営業では対面を控えてオンライン商談が主流になるよね。そうするとオンラインミーティングシステムは伸びるよね。ビジネスシューズはほとんど売れなくなるかもしれない。

生活の中の支払いは非接触・キャッシュレスが主流になるよね。感染リスクがある現金はどんどん減って、クレカ決済、○○Pay決済がもっと普及するよね。そうすると決済代行サービスはまだまだ伸びるよね。キャッシュレス専門のお店が増えたら、現金を入れられるレジは売れなくなっていくかもしれない。

フルリモートワークを続ける会社は、もしかしたらオフィスを解約・縮小するかもしれない(実際、感染対策の長期化を見込んで、オフィス解約をした・検討している会社がいくつも出始めている)。仕事はオフィスで行う、オフィスには1人1席といくつかの会議室と共有スペースがある、みたいな誰も疑いもしなかった大前提が崩れるかもしれない。

個人用のデスクとイスは売れるけど、オフィス向けの大きな家具は売れなくなるかもしれない。オフィスビルに強みがあった不動産会社やオフィス内装を手掛けるデザイン会社は厳しくなるかもしれない。書類はデジタルでやり取りすることが前提になっているはずだから、今はオフィスに必ず1台ある複合機は存在価値がなくなるかもしれない。

波に乗ろう

働く場所の選び方はたくさんあるけれど、大前提として、伸びる業界に身を置くこと、伸びる会社を選べること、その中でも伸びる事業に関われることはとても大切。社会に大きな変化が起こるときはしっかり波に乗って見晴らしの良いところにいられるようにしよう。そうすれば仕事はもっと楽しくなる。