見出し画像

コロナ禍でも鉄の旅は変わらない(ひたすら乗るだけ)

 コロナ禍のため、春休みに計画していた1泊の鉄旅もキャンセル、それから「見る鉄」「(3密避けての)撮る鉄」「時刻表鉄」「妄想路線図作成」等々にいそしんでいた子鉄の息子(鉄は暇つぶしが得意!)ですが、感染症対策で気をつけるべきこともだいたい見えてきたので、短い夏休みの最終日に久しぶりに乗り鉄に出かけることにしました。

 その頃、私達が住む東京では感染者数が増加していたこともあり、今回は感染拡大予防を意識して日帰りの鉄旅です。「何線に乗りたい?」と息子に聞くと、返ってきた答えは「日光線と烏山線」。どちらも、終点が他路線に接続していない盲腸線。私はもうちょっと近場の、せめて埼玉とか茨木の電車をイメージしていたのですが、栃木ですか・・・一応、JR全線完乗を目指しているので、盲腸線は乗れるときに乗っておきたい、ということらしいです。

 交通費を安くあげるため、「休日おでかけパス」(大人2720円、子供1360円)を使い、適用範囲外は差額分を払うことにしました。「休日おでかけパス」はその分の料金を払えば、グリーン車や特急、新幹線(東海道新幹線は除く)にも乗れるので、くたびれ果てて普通列車で帰るのがきつい時でも、いざとなれば楽できます(私はよほどでなければ普通で帰りますが)。「休日おでかけパス」の利用法については、こちら が詳しいです。

日光線・烏山線日帰りの旅(スケジュール)

7:55 東京発(東北本線宇都宮線 快速ラビット利用)→9:30 宇都宮着

10:20 宇都宮発(日光線)→11:04 日光着/11:24 日光発(日光線)→12:05 宇都宮着

12:34 宇都宮発(烏山線)→13:22 烏山着/13:39 烏山発(烏山線)→14:26 宇都宮着 

 調べると、ちょっと早起きすれば、意外と効率よく回れることがわかりました。このまま東京に向かえば16時過ぎには池袋に到着できます。私はそれでもよかったのですが、「せっかくならもう少し乗りたい」という息子と寄り道プランを考えてみました。どちらも、まだ未乗車の路線です。

14:36 宇都宮発(東北本線宇都宮線)→15:03 小山着 

1.両毛線から高崎線コース

16:02 小山発(両毛線)→17:56 高崎着/18:14 高崎発(高崎線)→19:59 池袋

2.水戸線から常磐線コース

15:36 小山発(水戸線)→16:40 友部着/16:46 友部発(常磐線)→18:41 上野着

 とりあえず電車の時間だけ把握しておき、宇都宮に戻った時点で決めることにしました。前日にここまで計画を立て、当日は朝ごはんをコンビニで調達し、いざ出発。普段の荷物の他、予備のマスクとアルコールジェル、ウェットティッシュも持参です。

画像1

 宇都宮線は前後にクロスシート座席があるので、混んでいなければ、あまり気兼ねなく車内で飲食できます。反抗期に突入した息子とは一緒にいてもほぼ会話なしではありますが、飛沫防止のため、飲食時以外は車内ではマスク着用

 宇都宮で日光線に乗り換え。トイレの手洗いに石鹸がなかったので、流水でいつもより念入りに洗い、さらにアルコールジェルを使用。宇都宮駅は、駅ビルは充実しているようですが、その分、駅ナカはコンビニと駅弁屋、土産物屋と自販機しかありません。眠気覚ましに、駅ナカコンビニでコーヒーを買って、コンコースのベンチでしばし一服。

画像2

 レトロを演出した日光線の乗車ホーム。待合室には、特産の工芸品の展示や見どころスポットを上映するビデオがありました。ホームにはちらほら観光客らしき人々の姿も見え、「そうか、東京じゃないからGoToキャンペーンを使う人もいるんだな」と今さらながら、思う私たち。

画像3

 乗り込んだのは「いろは」。日光線130周年記念車両です。内装は木目調プリントを貼っただけなどコストをかけずに雰囲気を出そうとがんばった感じですが、網棚上の車内広告がある場所に伊藤若冲の絵のポスターがあったり、昔の日光の地図の展示があったり、よく見ると、興味深い仕掛けもあります。もう少しちゃんとアピールすればいいのに・・・。とはいえ、クロスシート(リクライニングなし)で、旅気分がちょっと上がります。

画像4

 お、これが日光の杉か?という並木が見えてしばらくすると日光駅に到着。テレビで鉄道番組をやると、必ず沿線グルメや観光スポットが取り上げられますが、少なくとも我が家の子鉄はそういうの、まったく眼中にありません。ひたすら乗り、車両の写真を撮り、沿線ですれ違う列車や鉄道基地にカメラを向ける。本当に、ただそれだけ! それで十分楽しいらしいので、まあいいんですけどね。日光でも駅から動かず、ホームの向こうに走る東武鉄道をみつけては写真を撮っていました。

画像5

 乗ってきた「いろは」に再び乗り込み、宇都宮駅に戻ります。駅弁を買うつもりでしたが、なんとなくそういう気分になれず、コンビニのサンドイッチで軽くすませました。

 さて、今度は烏山線。この路線、明治時代から沿線住民が熱望しながら日露戦争で資金不足に陥った政府の建設許可がなかなかおりず、第一次世界大戦の好景気でようやく実現した路線だそうです。沿線で七福神めぐりができるので、のんびり途中下車しながら乗るのも良さそうですね。烏山線は非電化路線ですが、現在はディーゼルではなく電池で走るACCUMという車両で運行されています。終点烏山駅でパンタグラフを上げ、充電するシステムです。駅に改札がない(烏山駅にはあり)ため、車内精算、交通系ICカードは使用不可。

画像6

 ここでも、乗ってきた車両に再び乗り込み、3度目の宇都宮へ。東北本線(宇都宮)で小山まで戻ります。熱海行の表示に、ふと「このまま終点まで行って温泉入りたい」と妄想・・・。

 小山駅は宇都宮駅より駅ナカが充実しており、トイレもきれい(手洗い場に石鹸あり)、吉野家などイートインできるお店も複数、時間に余裕があれば、ご飯はここで食べるというのもアリですね。待合いスペースにはテレビもありました。ホームには駅そばも!

画像7

 さて、ここで1の両毛線・高崎線コースにするか、2の水戸線・常磐線コースにするか、決めなければなりません。さすがに疲れ気味の私達は今回は2のコースを取ることにしました。

画像8

 水戸線でもクロスシートに座り、沿線に広がるのどかな光景を眺めます。本当はこの日は雨の予報だったのですが、よく晴れて、田んぼに実る稲穂が秋の気配を感じさせてくれました。遠くには筑波山。鉄道の旅は車窓の景色を見ているだけで過ぎていく時間が、なんとも贅沢です。いつも時間つぶし用にキンドルを持っていくのですが、結局出番がないんですよね。

画像9

 友部からは常磐線で上野を目指します。ホームにやってきた電車の向こうに虹が見えました。

 今回乗車したどの電車も窓を開けて換気していましたし、空いていれば、口数少なめ&少人数での乗り鉄の旅はコロナ禍でも比較的リスクを抑えられる旅だと思います。ただ、交通費以外にほとんどお金を使わないので(せいぜいお土産と鉄道グッズぐらい?)、観光振興にはあんまりつながらないかも(苦笑)。廃線危機の鉄道も少なくないご時世、コロナ禍でも行ける範囲で乗りに行きたいと思っています。




読んでいただいて、ありがとうございます!