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丁寧と不安
とあるサークルで、初めて喋ったすごく誠実で真っ直ぐでエネルギッシュなイケメンに、褒められた。
「説明がすごく丁寧で分かりやすいね」
とても嬉しい。
でも同時に、ちょっと落ち込む。
「またダラダラ喋ってしまった・・・」
僕の話は、いつも長い。
余計なことを喋ってるわけではないと思う。文字に起こせば、それなりに過不足なく、読めば誰でもある程度伝えたいことが正確に伝わるような構成になってると思う。
ただ、視点を変えると、これは良いとばかりは言えないと感じる。
僕の喋りには「余白」がないのだ。
聞き手が自由に解釈したり、自由なイメージや発想を喚起するような「曖昧さ」「隙」「ツッコミどころ」があまり残されてないのだ。
と言うか、そういう部分を無意識のうちに極力削り落としながら、ビクビクしながら喋ってるんだ。
だから、僕の話は長い。
だから、僕の話は、僕が話し終えたところで完結してしまう。会話が広がりにくい。
「なるほどね」・・・終了
これは、僕自身の不安の強さに根ざしていると思う。間違ってたり、誤解されたり、突っ込まれたりするのが怖いのだ。
思いつくままに、感情の赴くままに、浮かんだことをオンタイムで言葉に置き換えて、そのまま外に放つことが怖いのだ。
頭の中で一度、書き言葉に起こして、編集して、チェックしてから、外に放つ。それが習慣化されている。
曖昧な部分は、脳内に保留する。
これを「保全」と呼ぶ。
もっと自由に、なめらかに喋れるようになりたいと思う。
分かりにくいことを分かりにくいまま
曖昧なことを曖昧なまま
偏ったことを偏ったまま
書き言葉ではなく、喋り言葉あるいは感情やイメージで喋れるようになりたいと思う。
自分一人で完結するのではなく、そこにいるメンバーとの自由なやりとり、インタラクションによって変幻自在に形を変える、予測不能な対話を楽しめるようになりたいと思う。
400字詰め原稿用紙を、改行もカギ括弧もなくひたすら文字で埋め尽くすような喋り方ではなく
一行の言葉に、三行の脚注が付くような喋り方ではなく
ど真ん中に一行、キャッチーなフレーズをぶっとい筆で殴り書きしたり
イラストや吹き出しを散らしたポップなグラコレを描いたり
好きなイラストや写真やテキスタイルを切り抜き、コラージュ的に思いのままに切り貼りしたり
そんな風に喋れるようになりたい
それを楽しいと感じられるようになりたい
不安ゆえのリミッターを解除したい
※写真は作家・中上健次さんの原稿用紙。これはもう異次元ww
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