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ノーガードーつれづれ起承転結(5)

暇つぶしにテレビをつけると、出川哲朗さんの笑顔がアップで映し出された。NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』という番組だった。見入ってしまった。

出川さんの笑顔はスゴイ。

アホな男子が予想外のタイミングで、予想外のことで褒められたときみたいな、照れと驚きと喜びがない混ぜになったような笑顔。

お爺ちゃんが生まれたばかりの孫に初めてご対面したときみたいな、目は優しく細り、他の表情筋も緩みきった、慈愛に満ちた笑顔。

その両方が一つの表情のなかに同居している。そんな奇跡的な笑顔を、出川さんはごく自然に、瞬間的に立ち上げる。

「ボクはアナタの味方」
「危害を加える可能性はゼロだよ」
「ボクはバカだからアナタの助けが必要なんだ」

そんなメッセージを全身からごく自然に発し、一瞬で相手に染み込ませる。周りにいる者の緊張は自然に解け、安心安全の感覚が立ち上がる。その場にいる者が自然とつなぎ合わさるような空気感がつくりだされる。

少し前に読んだ北野唯我さんの本『天才を殺す凡人』に、印象的なセリフがあった。悩める主人公の前にメンターとして現れる関西弁を喋る犬・ケンの言葉だ。

「オラたち『犬の才能』はなんやと思う?」

「犬が愛される要素は三つあるんや。それは、小さくて、丸くて、ちょっとバカや」

「人は完璧やから愛されるんちゃう。むしろ逆や。弱点をさらけ出すからこそ愛されるんや(中略)こんな格言がある、『困ったら、おなかとチンチン見せとけ』ってな」

出川さんは、その在り方だけで「愛」という概念を体現している。

すごい。なんでこんなことができるのか?

出川さんの言葉を拾ってみる。

「好きなことをブレずにやりつづけること」

「母親がね"なんであれ日本一ってのはスゴイことなんだよ。胸を張りなさい"って言ってくれたんです」
(雑誌のランキングで抱かれたくない男性第一位に選ばれたことを、母親に謝った時のエピソード)

「何いろいろ考えちゃってんだって。ただ笑ってもらえればいいんです。それが僕は嬉しいんです。こっちは何も求めてないんですよ」

「人を笑顔にする」というミッションを、ただただ一生懸命に遂行しつづける。試行錯誤しつづける。

飾らず、てらわず、生身の自分で周囲に働きかけつづける。どんな状況でも、余計なことは考えず、ありのままに、ただ自然体でリアクションしつづける。

相当に辛く苦しい時期もあったみたいだけど、周りの理解者たちの支えをもらいつう、そんなシンプルだけどとっても難しいことをやり続けた先に生まれたのが、あの笑顔なんだなと、感動した。

出川さんは自分の強みを「ノーガードであること」とも言っていた。

ノーガード、、、僕も含めて多くの人が怖くてできないことだ。でもある意味、それこそが究極のガードである「愛あるつながり」をもたらしてくれるのかもなと、思った。

出川哲朗さん、めちゃリスペクト。

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