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日出る処の国、東ティモール


私は今東ティモールという国に来ている。ボランティア活動を志し、こちらに到着して2か月を数えるところだ。
久しぶりにnoteのアカウントで何かを書こうという気になったので、今回は簡単な紹介と感想をこちらに書き起こしていきたい。

Loro-sa'e

東ティモールという国の名前を知ったのはおよそ2年前になる。海外に住んで働きたいという漠然とした思いから「海外協力隊」と検索窓に打ち込んで情報の海を漂っているときだった。当時は東ティモールのことは何も知らずに、ただ自分の経験を適度に生かせそうだという理由で東ティモールの要請に応募した。
東ティモールの国際的な国名はTimor-Leste。Lesteはポルトガル語の「東」で、1975年に独立するまで支配されていたことに由来する。しかしながら時折東ティモール国民はTimor-Loro-sa'eと自国を呼ぶ。loro-sa'eは「日の出」。偶然にも我が母国の名と由来を同じくするということを知ったときに、この小さな島国への愛着と親近感が一気に湧いてきた。

若き国

外務省webサイトより引用

ティモール島は東経125°で標準時刻は日本との時差がない。2002年5月20日(月)にインドネシアからの独立宣言をし、民主共和国となった。なお西側はインドネシア領となっているが、一部飛地(oecusse県)がある。
2023年の調査では人口およそ136万人、平均年齢がなんと20.9歳だという(日本は2022年時点で48.6歳)。人としても国全体としてもかなり若い国であることには違いない。
熱帯モンスーン気候で、雨季と乾季に分かれている。執筆時点の3月では日中は相当な蒸し暑さで、喩えではなく汗が止まらない。東京の夏を思い出すようである。

都市部から少し離れたビーチ

特徴的なものが海であり、特に住民の少ない海浜地帯は相当な美しさを誇っている。市街地部分でも現地の子供たちが遊んでいたり、魚を道端で売っていたりもする。
現地料理では海藻のマリネであるbudu-tasiや魚をバナナの葉で包んで蒸し焼きにしたikan-sabokoなどが知られている。なお技術的に難儀しているところもあって刺身や寿司は数少ない日本食レストランでしか食べられない。

人のよさ

Laran-di'ak(内側の良い=親切な)。およそ2か月過ごしてこの言葉を何度思い出したことだろうか。誰もが持ち合わせている。店で何かを訪ねればすぐにいろいろな人が集まって来て助けてくれる。仕事で何かを運んでいるときは「手伝おうか?」と持ってくれる。気を遣っているという感じがなく、自然と申し出てくれるのだ。
この小さな島国で主に話されている言語はテトゥン語というものだ。文字は英語のアルファベットとほぼ同じでほとんどローマ字読みできる。また文法的にも比較的簡単な言語でもある。それゆえ幾重にも意味を捉えられてしまう時があるが、ティモリーズはいろいろと聞いてくれるし、「ああそういうことね」と察する力もある。多少の間違いがあっても汲んでくれるので心置きなく甘えさせてもらっている。

視覚と嗅覚に訴えかける地球課題

ポイ捨てだけでなく、浸水で集積所からも流されてしまう

発展途上国ゆえ課題は多くあるが、最も大きな問題は環境問題、殊にゴミ関連だ。
道端にゴミがあるのは当たり前、隙を見ては投げ捨てる。せっかく集積所に出しに行っても分別もままならず長期間放置、犬が漁って蝿が集る。さらに雨季には水捌けの悪い道路に大雨の水が流れ込んでゴミが流され、異臭がそこかしこから漂ってくる。
先の海の画像も、遠くをよく見るとゴミが漂っているのがわかる。全てが東ティモールのものとは言えないが、全く責を負ってないとも断言できない。
ポイ捨てをなんとも思わないような習慣になってしまっているのだが、それ以上に国としてこゴミ処理能力がほとんどないのである。今の滞在先のゴミ処理の仕方を聞いたところ「ある程度たまったら火をつけるよ」と返ってきた。

なお、一般企業や個人の方でリサイクル活動を行っているところはあるのだが、それもまだ広く知られているわけではないようだ。

いつか日は沈み、また日は昇る

小さな島国といえど、この国の歴史は相当に壮絶であり、たった2か月で見られたものがほんのひと握りどころかひとつまみにも満たないことだということは承知しているつもりだ。私のこれからのボランティア活動も2年間、長いようできっと短い。
でも目の前の人たちとともに生きて、彼らに自分の何かを伝えていきたいし、ema Timor(ティモール人)とは何かをこのような場を媒介して伝えていきたい。
失敗、挫折、大いにあるだろう。されど時は進む。何をしても太陽を止めることはできない。

日出る処の国の小人として、もう一つの日出る処の国の姿をしかと目に焼き付けたい。

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