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【ビートマニア楽曲評論】RESONATE1794が好きだ。

僕はRESONATE 1794が好きだ。

しかし、読者の人たちもわかっているとは思うが、ビートマニアの曲のエモを言語化することは極めて難しい。

歌詞無くして音楽の批評をすることは難しい。

しかし、この曲に関しては、どうしてもどこかで語らなければならない感じがあった。ので語りたいと思う。

まず、ゲーム版とサントラ版があるが、筆者は断然ゲーム音源派である。

RESONATE 1794におけるテーマは「戦いの悲愴」である。

その戦いは望まれざるものだった。

その戦いは運命であった。

その戦いは避けられなかった。

その戦いはどちらかの破滅を決めるものだった。

その戦いは真に望まれたものではなかった。

だが戦うしか無かった。

私達はどちらかが死ぬまで戦うしか無かった。

何の歌詞も無く、上の文章が実際のRESONATE 1794のテーマなのかはわからない。

だが僕は、RESONATE 1794に上の文章のようなエモを確かに感じた。そしてそれが本物であると直感で理解している。

ゲーム版の「destroy the core」の機械音。ビームの音。高音でけたたましく鳴り響く闘争の音。それら全てがRESONATE 1794における悲愴を盛り上げている。

特に1:30秒からの、飛行機のエンジンのような高音が好きだ。
全てを破壊する機械の音。それがこの曲の中での闘争の引き返せなさを引き立て、このけたたましく鳴る音に僕は涙する。

曲のエモについて語ろうと思う。

最初に左耳主体でシンセのブリブリとした刻む音の中で、ピアノの旋律が、ただただ哀しいエモーションを映し出していく。

エレキギターの重厚感のある音。右耳から聴こえるフワッとしたシンセのリフレイン。そしてその中央に位置する「悲愴」をただ表現するピアノ

ここだけで僕は泣いてしまう。

ピアノの音はまるで生命が終わってしまうように儚げで、今にも消えそうな細い線を保っている。

左耳からは「テケテケテケテケテケテケテケテケ」と細かいリズムを繰り返すシンセと「チキチキチキチキ」と細かいチキチキを繰り返す音。右耳からからは「タン・タンタンタン」のリズムを繰り返すフワッとしたシンセ。

そして何よりベースラインとピアノの調和だ。

ベースラインの的確さ。ピアノの旋律を邪魔する事無く、そこに鎮座するベースの音。

1分20秒の前置きの末に、遂に戦いは始まる。

原曲のベートーヴェンの「悲愴」を聴いてもらえばわかるが(3分からRESONATE 1794 の下り)サビの音階のエモが原曲より爆上がりしている。

原曲が比較的メジャーキー寄りの音階だった部分を、完全にマイナーキーの音階にアレンジ。この判断は凄い。正直。音楽史に残るレベルだと思う。

そこからの音階もマイナーキーを持続させることで、戦いの悲愴を圧倒的に引き立たてくれる。

1分10秒からの音楽批評に戻る。

戦いの鐘を告げるサビが始まる前のピアノの旋律がただただ愛おしい。

それからピアノの音は一度消える。ドンシャリとしたリズムとバイオリンの弦楽器へと悲愴のエモは映る。

ゴーと鳴り響く機械音。もう戦いは戻れない。

1分40秒。曲の最後。戦いの運命を決めるが如く、独特の刻みのリズムが鳴り、ピアノの音が戻ってくる。

勝負は決まったのだ。

そしてピアノの音と「コーン・・・」という旋律の末に「enemy destroyed」と機械が言葉を告げる。

あまりにも美しすぎる。戦いの悲愴を、たったの2分間だけで、完全に映画の如く表現できてしまったのだ。

僕はこの曲を聴くといつもチェンソーマンの9巻の「彼と彼」の戦いを思い出す。

戦うしか無かった。

どちらかが死ぬまで、戦うのは終わらなかった。

誰も望まなかったかもしれない。

でも、やるしか無かったんだ。

RESONATE 1794に込められた曲の意味はわからない。

でも僕は、戦う事の悲愴を、確かにRESONATE 1794から貰ったのだ。

最初に聴いてから16年。この曲のエモを、僕は一生忘れない。

戦いの悲愴を2分で説明した曲、RESONATE 1794の美しさに、読者諸君がもう1度気づく事を願っている。

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