介護とカイロ
最近、ずっとカイロを握りしめている。
両方のポケットにカイロが入っている。
今日、カイロを1つ忘れて、
片手しか温められなくて気付いた。
さみしいんだ。
いい歳した大人が「手がさみしい」なんて言えなくて、まさかそんな性格だなんて自分でも思ってなかったけど。
ただ、とにかく手が寂しいみたい。
認知症の進行がひどくなって
家財道具のほとんどを引き払った引っ越しから、1年が過ぎた。
そこに突然決まった、徒歩圏内のグループホームへの引っ越し。毎日がバタバタしすぎて、自分の心をずっと整理できなかった。
忘れられる前に、とにかく残したいことがあったし、覚えてほしいこともある。
進行を食い止めたくて、ちょっとダメなことも考えた。
止まることなく動いてきた手が1年を過ぎて、「さみしい」を訴えてきた。
カイロを2個も握って、とにかく手を温めて、心を落ち着かせていたみたい。
介護するって、不安を握ってるだけかと思ってたら、握りしめてたのは、寂しさだったみたい。本人が辛いだろうと、思ってたけど、まだまだ子どもだったみたいだ。
まだ寒い季節でよかった。
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