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今、キックボクシングで注目の若手選手たち

「THE MACHI2022」以降、RISEの神童、那須川天心がボクシングに転向し、K-1からは絶対的エースである武尊が契約解除をして去り、そのほかにも木村ミノル、安保瑠輝也、城戸康裕、芦澤竜誠等、有名選手たちがK-1からRIZINに移籍しています。

しかし、2023年7月16日の記者会見で、K-1は中村拓己氏がK-1プロデューサーを退任し、代表が元GLORY日本支部代表のカルロス菊田氏に交代となり、今後は世界や団体の壁を超えて大会を展開することを宣言しており、RISEもコロナ禍が過ぎたこともあり、世界の強豪選手たちを再び招待してトーナメントを行うなど再び盛り上がり始めています。

そんなキックボクシング界で今活躍していて、今後新しいエースとなりそうな若手選手を紹介していきます


1、与座有貴

まずはK-1の選手から紹介していきます。

始めに紹介するのは、K-1 WORLD GPライト級王者、与座有貴です。

多彩で重い蹴り技と固いガードから「全身凶器」異名で呼ばれています。

彼は6歳から空手を始め、19歳の若さで極真会館2017年第6回世界ウエイト制軽量級で優勝し、最年少優勝記録を打ち立てています。

2019年3月にキックボクサーとしてプロデビューすると、7戦全勝(3KO)の快進撃を続けていましたが、2020年2月に鈴木千裕と対戦し初黒星を喫します。

2021年6月に野入正明や武尊が所属しているK-1 GYM SAGAMI-ONO KREST所属となりました。

KRESTの練習はかなり過酷で、スパーリングを経験するとそのまま辞めてしまう選手もいるほどと言われていますが、与座は所属当初から強すぎて誰も手が付けられないと言われていました。

また、奥足へ三日月蹴りを蹴る「与座キック」という独特の蹴りを多用します。

「与座キック」は、与座がオランダに出稽古に行ったときに、危険すぎて使用禁止になるほどの威力を持っています。

2022年2月、K-1東京体育館大会、スーパーファイトで当時K-1ライト級王者・朝久泰央と激突し、K-1初参戦にもかかわらず延長判定で勝利を収めています。

その後も連勝を重ね、2023年3月12日「K'FESTA.6」で朝久の持つベルトに挑む形で再び激突、判定勝利を収め、第6代K-1ライト級王座に輝きました。

6月3日のK-1横浜武道館大会では、スーパーファイトでアーロン・クラークを多彩な蹴りで圧倒して勝利、7月17日のK-1両国大会では元ムエタイ三冠王エークモンコンを三日月蹴り一発で秒殺KO勝利を果たし、衝撃を残しました。

現状、キックボクシング界のライト級の中では与座が負ける姿が全く想像がつかず、強さが頭一つ抜けているように感じます。

彼が今後のK-1の顔の一人になっていくことは間違いないでしょう。

2、斗麗

次にご紹介するのはK-1フェザー級の斗麗(とうま)です。

彼は京都のWIZARDキックボクシングジムに所属し、中学卒業直後にジョーダン・ピケオー等を輩出したオランダの名門、Mike's Gymに出稽古に行っており、異色の新星と呼ばれていす。

現在20歳とまだまだ若いですが、K-1のフェザー級トップの実力を持っており、2022年4月「K'FESTA.5」で行われた試合で、現K-1フェザー級王者である軍司泰斗を延長判定まで追い詰めています。

その後行われたフェザー級世界最強決定トーナメントでは前K-1王者の椿原龍矢、武尊を追い詰めたこともある中国の強豪ワン・ジュングァンを完封勝利で下し、決勝で再び軍司泰斗と激突。

敗れはしたものの、準優勝という結果と才能を見せつけ会場に大きな衝撃を与え、『K-1 AWARDS 2022』では「K-1 NEXT賞」を受賞しています。

2023年3月12日「K'FESTA.6」K-1×RISE対抗戦ではRISE代表の安本晴翔に敗れましたが、7月17日のK-1両国大会で軍司がKO出来なかったヴュー・ペッコウーソンから3RKOを収めています。

現在でも間違いなく、フェザー級トップの実力を持っており、ベルトに一番近づいた選手ですが、まだまだ若さもあって勢いもあり、これからますます強くなっていくことが予想されます。

彼の今後の活躍にも注目です。



3、岩尾 力

次にご紹介する選手はスーパー・バンタム級の岩尾力です。

岩尾は元スーパー・バンタム級王者、武居由樹等を輩出した名門POWER OF DREAMに所属し、その強さは武居から「マジの天才」と評価されています。

2014年7月からK-1 GROUPに参戦。

亀本勇翔、西京春馬に勝利し、快調なスタートを切りますが、2015年5月に朝久泰央に敗れています。

その試合後にWINDY SUPER FIGHT、蹴拳、Bigbangなどで戦績を積んでいましたが、ここで彼を悲劇が襲います。

バイク事故で大怪我を負ってしまい、医者からは現役不可能を告げられてしいます。

しかし岩尾は懸命なリハビリの末、2022年8月のKrushで約4年半ぶりに試合に復帰します。

小倉尚也に左ボディブローで初回KO勝ちをし、ブランクを感じさせない動きを見せます。

さらに、2023年4月のKrushでも愛瑠斗を1RでKOを収め、7月17日のK-1両国大会でK-1初参戦で、第4代Krushバンタム級王者・晃貴をボディブローで沈め、3連続1RKO勝利という圧倒的な強さを見せつけました。

K-1スーパー・バンタム級は、絶対王者金子晃大、その金子と激闘を繰り広げた玖村将史の2強となっていますが、岩尾が今後、スーパー・バンタム級戦線にどう食い込むかが注目されています。

4、ステファン・ラテスク

続いてご紹介するのはヨーロッパから彗星のように現れたクルーザー級の新世代の選手、ステファン・ラテスクです。

ジュニア時代にISKA世界クルーザー級王座に就き、プロのリングでも東欧を中心に試合を重ねてKO勝ちを連発しています。

21歳という若さですが、その端正なルックスと将来性を感じさせる戦いから、現地では“GOLDEN BOY”とも呼ばれているようです。

K-1初登場となった2022年12月のK-1大阪大会では、K-1無差別級トーナメント王者&Krushクルーザー級王者マハムード・サッタリと対戦。

誰もがサッタリの勝利を予想していた中、ラテスクが強烈なパンチでKO勝利を収め、K-1ファンに大きな衝撃を与えました。

その後も、K-1無差別級トーナメント準優勝の谷川聖哉、元K-1王者K-Jeeを次々とKOで下し、K-1戦績3戦3勝3KOという快進撃を続けています。

まさに今、クルーザー級の台風の目となっているステファン・ラテスク。

今後K-1で海外から重量級の強豪選手が参戦することが予想される中、彼がどのようなド迫力の試合を見せてくれるか目が離せません。

5、横山 朋哉

次にご紹介するのはスーパー・フェザー級の横山朋哉です。

彼は兄・横山巧と共にアマチュア時代から強豪選手として注目を集めていて、2017年のK-1甲子園で準優勝を果たしました。

プロになってからも順調に勝ち星を積み重ね、2020年には中島千博、元K-1甲子園王者&Krushスーパー・フェザー級王者・西京佑馬といった強豪相手に連勝し、Krushスーパー・フェザー級においてトップファイターの地位を確立しました。

2021年3月の「K'FESTA.4~Day.2~」でK-1初登場を果たし、佑典に秒殺KO勝利。

同年10月からスタートした第10代Krushスーパー・フェザー級王座決定トーナメントでは松本涼雅と山本直樹をKOで下しますが、決勝で中島にリベンジを許してしまい、ベルトには手が届きませんでした。

2022年6月のKrush後楽園大会では石田勝希に大差の判定勝利を収めて復活を飾ると、9月11日のK-1横浜アリーナ大会で第5代スーパー・フェザー級王座決定トーナメントに参戦。

1回戦では武尊とも拳を交えたスタウロス・エグザコスティディスを左ハイキック一撃でKOし、会場に衝撃を残しましたが、準決勝で朝久裕貴にKO負けを喫してしまいます。

2023年2月のKrush後楽園大会で元ムエタイ王者のペットサムイ・シムラに判定勝利し再びの復活を遂げると、6月3日、K-1横浜武道館大会でスーパー・フェザー級王座決定トーナメント・ベスト4の大岩龍矢と対戦。

事実上の3位決定戦と言われたこの試合で、激しい打ち合いとダウンの奪い合いを制して判定勝利を収めました。

9月10日のK-1横浜アリーナ大会では、元K-1フェザー級王者・江川優生と対戦すると、テクニックとアウトボクシングで江川の攻撃を寄せ付けず、完封勝利。

現在、スーパー・フェザー級は武尊と命のやり取りと呼ばれた試合をしたことでも有名なレオナ・ぺタスが王座に君臨しています。

横山はレオナの王座を揺るがすことができるのか注目です。

6、黒田 斗真

次にご紹介するのは、現K-1バンタム級王者、黒田斗真です。

黒田は小学3年生の時に格闘技好きの父の影響で、兄の黒田勇斗と共に少林寺拳法を学びました。

その後、K-1ジム心斎橋の前身の隆拳塾に入門し、キックボクシングを始めます。

しかし、中学に入ると遊びに夢中になり格闘技から離れてしまいます。

暴力事件も起こして少年院に入ってしまいますが、「自分には格闘技しかない、もう一回本気で格闘技をやりたい」と思い改心。

この時に兄からの「お前と一緒に格闘技をやりたい」という手紙をもらい本気で格闘技に向き合う決意を固めます。

そして黒田選手は更生して2017年に16歳でプロデビュー。

2021年5月に開催された、K-1横浜武道館大会でのK-1バンタム級日本最強決定トーナメントでは一回戦で池田幸司をKO、準決勝で松本日向から2度のダウンを奪って判定勝利、決勝では壬生狼一輝を秒殺KOで沈め、圧倒的な強さでトーナメント制覇を成し遂げました。

「THE MATCH 2022」ではK-1代表として出場しましたが、那須川天心を追い詰めたRISEの強豪、風音に惜しくも敗れました。

その後、12月のK-1大阪大会で開催された初代K-1バンタム級王座決定トーナメントに出場。

1回戦でヨーシラー・チョー.ハーパヤックと対戦し、左腕を骨折しながらも延長判定3-0でなんとか勝利しました。

左腕の骨折を抱えたまま壬生狼一輝と3度目の対戦に勝利、優勝候補の石井一成を下して初代王者の栄光を掴みました。

2023年6月のK-1横浜武道館大会でK-1王者としての初陣を迎え“アラブの神童”ラマダン・オンダッシュ相手に判定勝利。

12月には、トーナメント決勝でしのぎを削った石井一成とのタイトルマッチが決定しています。


7、田丸辰

ここからはRISEの選手をご紹介します。

RISEフライ級王者である田丸辰です。

田丸はジュニアキックボクシング出身で、サウスポーから繰り出される左ストレートなどのパンチやバランスの良い蹴りが強みです。

プロデビュー後は10戦全勝(2KO)と無敗の快進撃で2018年11月に16歳という若さで初代RISEスーパーフライ級王者に輝き「那須川天心二世」と呼ばれていました。

しかし、 2019年9月の鈴木真彦戦で初の黒星を喫し、さらに左拳を骨折。

翌年の再起戦には勝利したものの、そこから2020年9月の2度目の防衛戦で大崎一貴に敗れて王座陥落。

2021年7月の「RISE DEAD OR ALIVE 2021 -53kgトーナメント」で1回戦で政所仁に敗れ、スランプに陥ってしまいます。

2022年の再起戦の空龍戦はバッティングによるノーコンテストとなり、さらに、鼻の骨折から復帰しての空龍とのリターンマッチは、相手のコロナ感染のために試合が流れてしまいます。

田丸はこの頃のことをどん底を味わい続けていたと言っていました。

ですがここから彼の快進撃が始まります。

2022年に階級を下げて臨んだ「初代RISEフライ級王座決定トーナメント」で優勝し、二階級制覇を達成しました。

さらに「RISE WORLD SERIES 2023 -54kg Tournament」1回戦でペッシラー・ウォー・ウラチャーに衝撃の1RKO勝ち。

準決勝では大崎一貴と額を突き合わせての至近距離での殴り合いの末、執念の判定勝ちを収めリベンジ勝利を果たしました。

試合後のマイクでトーナメント1回戦の後母親が亡くなってしまい、トーナメントを棄権するか迷っていたことを明かしています。

そして決勝戦は、準決勝でRISE世界バンタム級王者である志郎を破ったクマンドーイ・ペッティンディーアカデミーとの対戦が予定されています。

8、政所 仁

次にご紹介する選手はRISEスーパーフライ級ランキング1位の政所仁です。

関西のキックジム、魁塾の選手で「三度の飯より練習が好き」と評される努力家です。

バルカン砲とも評される回転の早い打撃と相手の意表を付く技を武器に、アマチュア大会に参戦し、グローブ空手で優勝7回、ジュニアキックのイベントTOP☆RUNで2階級制覇と輝かしい実績を残しています。

プロ転向後のデビュー後は、RISE、DEEP☆KICK、KNOCK OUT、RIZINなどで活躍して53kgで戦い連勝を重ねます。

2021年7月の「DEAD OR ALIVE 2021 -53kgトーナメント」一回戦で田丸辰に勝利するも、9月の準優勝で風音に判定負け、優勝には届きませんでした。

その後、RIZIN.34大阪大会に参戦すると再び佐藤執斗と対戦しましたがノーコンテスト、花岡竜にはTKO負けと勝ちから遠ざかりましたが、2022年12月に滉大から判定勝ちで復活を遂げます。

2022年7月にリザーブファイトで風音と再戦。

延長にまでもつれますが判定は2-0で政所の勝利。

リベンジを果たすと共に、54kgトーナメントのリザーバーの権利を勝ち取りランキング1位に上り詰めます。

両者は自他共に認める親友同士で試合後、笑顔で抱き合い、会場を感動させました。

2023年08月に行われた「RISE WORLD SERIES 2023 2nd Round」では志郎がKOすることができなかったルベン・セオアネを2Rで衝撃的なKO勝利を収めます。

現在、田丸辰や志郎と肩を並べるほどのパフォーマンスを発揮する政所が今後どのような活躍をするのか期待されます。

9、松本天志

続いてご紹介するのはRISEフライ級2位の松本天志です。

松本は天才サウスポーと呼ばれている選手で倒せる攻撃、爆発力を兼ね備えていて、過去には圧巻の左ストレートを炸裂させてのKO勝利もあります。

そんな彼が注目されるようになったのはRISE NEW WARRIORS フライ級(51.5kg)トーナメントです。

このトーナメントは参加選手が全員高校生であることや、那須川天心の弟・那須川龍心らが登場することで注目されていました。

トーナメントは1試合目から優勝候補の那須川龍心が塚本望夢に判定で敗れる波乱の幕開けとなります。

この時、松本はあまり注目されていませんでしたが、当時RISEフライ級2位の空龍と一進一退の攻防を繰り広げ判定勝利を収めます。

迎えた決勝戦で、那須川龍心を下した塚本望夢と対峙します。

両者とも3Rの激戦を制しての決勝戦でしたが、そうとは思えないアグレッシブな戦いを繰り広げます。

試合が動いたのは2R、松本が右フックでダウンを奪います。塚本は立ち上がりますが松本がさらにパンチのラッシュを仕掛け2度目のダウン。

さらに3Rで松本のパンチの連打で塚本が崩れかけたところでレフェリーが試合を止め、KO勝利。

ダークホースながらトーナメント優勝を果たし、その名をとどろかせることになります。

この試合後、試合を観戦していた那須川天心から実力を認められ、金の指輪をプレゼントされており、RISE代表の伊藤会長も、松本について「初期のころの那須川天心に似ている。」と評価しました。

続く2023年7月30日に開催された「RISE 170」では弾丸風太と対決。

1R58秒という秒殺KOで圧倒的な強さを見せつけ6連勝と勢いに乗ります。

しかし、RISE 172の第2代RISEフライ級王座決定戦でランキング1位の数島大陸に判定負けを喫してしまいます。

惜しくも王座を逃した松本ですが、まだ19歳で勢いもある選手です。

今後ここから彼がどのように這い上がっていくのか注目です。

10、安本晴翔

続いてご紹介するのはRISEフェザー級5位の安本晴翔です。

安本は30年以上も王者を輩出し続けている橋本敏彦師範が運営する橋本道場に7歳から入門。

橋本師範に絶対的な信望を寄せており、周囲から息子と間違われるほどの愛弟子と言われるほどで、道場の最高傑作といって差し支えない選手です。

多彩な蹴り技と強打のパンチを武器に、これまでにM-1、MA、イノベーション、藤原杯など各団体のジュニア大会を次々と制覇し、アマチュア160戦、勝率9割以上、獲得したタイトルはなんと24本。

2016年春に高校進学を果たし、6月に16歳でプロデビュー。

REBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王座、INNOVATIONスーパーバンタム級王座、WPMF世界フェザー級暫定王座、WBCムエタイ日本統一フェザー級王座にと次々と王座を戴冠していきます。

2022年からRISEデビューを果たし、2023年3月12日「K'FESTA.6」K-1×RISE対抗戦ではK-1代表の斗麗と対戦し、激闘の末判定勝利を収めています。

しかし、2023年5月21日の髙橋聖人戦で足を負傷し、8月の復帰戦でSB日本フェザー級2位、魁斗に判定で敗れるなど調子を落としていまましたが、11月に澤谷大樹に判定勝利し、調子を取り戻しています。

RISEの中で、現フェザー級王者は門口佳佑ですが、頭一つ抜けている選手はあまりいない印象です。

ですが、2023年安本の戦績やポテンシャルを見ると、このままの調子で勝ち進めれば頭一つ抜けるのではないかと考えています。

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