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新人セラピスト向け症例検討!しゃがみ動作における膝痛の治療戦略!!


今回は症例検討をご紹介できればと、この記事を書かせていただいております!

というのも・・・


いくらhow to を学んでも、
症例がその通りに事が進んでいかないってこと、
意外とありますよね??(⌒-⌒; )
(教科書って特にそんな感じですよね!?)


なので、
実際セラピストが実際の患者さんに対して行った、

「評価」「考察」「治療アプローチ」


などリアルな臨床をご紹介し、
皆さんの臨床に役立ててもらえればなー♪

と思っています。


あくまでも、今回ご紹介するのも
僕の考え方の一つであって、
これが全てという訳ではないです!


参考になる部分があれば取り入れて頂き、
皆さんの臨床の幅を広げるきっかけになれば
嬉しく思います♪


それではコンテンツどうぞ!!


【症例の基本情報】

まずは簡単な症例の情報から(^^)


・30代女性
・ちっちゃい子供の子育て世代のママさん

・主訴:しゃがむ時に右膝が痛い
・既往歴:学生時代、バスケで足首を良く捻挫
     内科的には特に異常なし


僕も子供いるからわかるんですけど、
ちっちゃい子供いると、
良くしゃがむんですよね😅

おむつ替えたり、
しゃがんで抱っこしたり、
一緒にお風呂入ったり・・・


その度に膝が痛むって、
けっこう辛いと思いますよ(T . T)


【問題となる動作の、構成要素をまずは理解する】

僕はいつも、この
「動作の構成要素」
というのを細かく分けて考えています。


問題となる「しゃがみ動作」を構成する
各関節の動きをざっくり見ていきましょう!


まず、しゃがむという動作は
膝だけが屈曲している訳ではない

というのはわかると思います。


しゃがみ動作における各関節の動きでは

・股関節の屈曲
 (骨盤の後傾+寛骨大腿関節の屈曲)
・膝関節の屈曲

・足関節の背屈

が大まかな構成要素となります。


じゃあ次に何を見るか??


上記に挙げた構成要素の、
各関節の可動域をざっくり診ていきましょう!


【構成要素に関わる可動域を把握する】

シンプルに、しゃがみ動作に関わる
股関節、膝関節、足関節の
可動域を診ていきましょう!

もちろん左右差もくらべて(^^)


膝関節は
回旋ストレスに弱い
構造をしてますので、

大腿骨、脛骨の回旋の状態も把握しながら
股関節・膝・足関節の動きをチェックしましょう!


ただ、本症例では

ベッド上で可動域測定をした際は
明確な可動域の制限もわかりにくかったし、
左右差も分かりにくかったし、
主訴である膝の痛みの訴えもなかった。


のです。
一体どういうことでしょうか??



【OKCとCKCで動作を比べてみる】

まず、OKCとCKC
について復習ですが、

OKC・・・開放的運動連鎖
CKC・・・閉鎖的運動連鎖

要するに、末梢が固定されているかどうか、
という違いですね!


しゃがみ動作において
OKCとCKC
の違いを述べるとすると、

CKCの方が各関節に負荷が強くかかるので
症状が出やすいという点と、
足関節(末梢)が固定されている

という点で違いがありますね!


評価する順序としては、



まずはOKCで各関節の可動域、
左右差をチェックしていき、
明らかな左右差のある部位があれば
そこを治療。

再度対象動作(しゃがみ動作)を行い、
痛みの変化があるか検証!
の繰り返しを行なってください。


明らかな関節の左右差を感じられない場合は、
対象動作を行なっていただき、
痛みの出ている右下肢と、
痛みの出ていない左下肢
何が違うのかしっかり観察しましょう(^^)

CKCではエラーのある関節に
代償動作が出やすくなる為、
観察力が問われてきます。


当たり前ですが今回、
CKC(実際のしゃがみ動作)
にてやはり右膝に痛みが出現しました。


この時、しっかり左右差を確認

しましょう!


すると、OKCでは確認が難しかった
動作の違いがはっきり確認できました。

足関節の背屈の質に違いがあった

のです。


左足関節はしっかり、真っ直ぐ背屈できているのに対し、
右足関節は外転・外反し、
背屈できずに外側に足先が逃げていくような状態になっていました。

このような足関節の状態のまま
しゃがみ動作をすると・・・

すると上図のように、

足関節は外転・外反
下腿は外旋を伴い、
膝が相対的に内側に入る


いわゆる
「knee in toe out」
という膝にとてもストレスのかかる
状態を呈していました。


という訳で、
足関節の背屈がしっかりとできていないことで膝に負荷がかかっている可能性が高い

と判断されたので

次は足関節を集中的に評価・治療です(^^)



【足関節の評価・治療】

本症例の足関節の状態としては、
腓腹筋やヒラメ筋のタイトネスによる制限
というよりは、


距骨が下腿の下面をしっかりと滑っていっていない


という状態でした。

しっかりと足関節が背屈する為には、
距骨が後方に滑っていく必要があります。


本症例の右足部では、
距骨内側面に硬さがあり、
代償的に足関節は外側へ偏移を伴いながら
背屈していったと考えられます。


では距骨が内側方向へ滑っていかない際の
制限因子とは何なのでしょうか??


いくつか要因があるのですが、
本症例では2箇所にアプローチすることで
改善されました。
(今後、足関節背屈についてもnoteをまとめてみますね!多分😅)


下記はアプローチした二箇所です


①Kager’s fat pad

距骨の後方の脂肪組織。
ここが硬くなると、距骨が内側後方に
滑り込む制限因子になり得る。


アキレス腱の前面、
長母趾屈筋、
踵骨の上縁

から成る三角形の部位に存在
(ざっくり内果後方、脛骨神経の後ろと覚えても良いかも)


アキレス腱も一瞬にリリースすることで、
柔らかくなりやすいです。


②屈筋支帯

内果から踵骨にかけて伸びている支帯。
ここも硬くなりやすい。
この支帯の下を、

 ・長母趾屈筋
 ・長趾屈筋
 ・後脛骨筋

 
などが通っている。

以上、
2点のリリースにより、
しっかりと距骨が後方に滑るようになり、
しっかりと背屈角度を出すことができました。



[リリースの方法については、

fat padはアキレス腱を指でつまんでグリグリして柔軟性を出しても良いですし、

屈筋支帯については、
内果と支帯の接合部を剥がすように、
また踵骨と支帯の接合部を剥がすように
リリースしても良いですし、

内果と踵骨をしっかり把持して、
屈筋支帯を伸張させていっても良いでしょう。
(希望があれば動画も上げますね!)〕



症例の話に戻りますが、
足関節がしっかり背屈できるようになり、
しゃがみ動作の際の膝の捻れ、


knee in toe outのアライメントが修正

膝にかかる負担軽減

膝の痛み軽減


という結果を得ることができました(^^)




【まとめ】

「今回はしゃがみ動作の膝痛」
ということで症例検討いたしましたが、

どのような動作でも、まずは


①問題となる動作の構成要素を洗い出す

②動作に関わる各関節の可動域を確認する

③OKCとCKCで動作を比べてみる

④動作、左右差をしっかり確認する

⑤問題になりそうな箇所があれば治療

⑥治療後、問題の動作を行い、
 再評価・検証を繰り返す


これをやっていきましょう!


膝が痛いといっても、
必ずしも膝が悪い訳ではありません。

なぜ膝にストレスがかかっているのか、
を丁寧に紐解いていきましょう(^^)


経験上ですが、参考までに

OKCで痛みが出る時は膝自体の問題
CKCで痛みが出る時は膝以外の問題

であることが多いです♪


また他にも何か皆様に役立つ症例報告などがあれば、
定期的に発信していきたいと思います!



それでは失礼しますm(_ _)m
最後まで読んでいただき、ありがとうございました😊

#理学療法士
#新人セラピスト
#膝痛
#変形性膝関節症
#症例検討


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