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Time Travel〈うみいろノートNo.41〉

興奮冷めやらぬ、とはこのことなのか。

前回と前々回の金曜ロードショー。
昔の僕が設定した自動録画機能は、世界的にも有名な作品をHDDに記録させていた。

もちろん名前は聞いたこともあるし、その世界観をこよなく愛している人にも出会ったこともある。
しかし、今まで観たことはなかった。あまりにも名作として名高いと、観なくともどうせ面白いんだろう、と心のどこかで思ってしまっていたのだ。

でもやっぱり、タダには敵わない。
わざわざ料金を払わなくても済むテレビの放映は、天邪鬼すら飲み込んでしまう魅力があった。

録画の再生ボタンを押すと、瞬く間に進むストーリーに引き込まれた。そしていつの間にか、久々に高鳴る胸を抑えることに必死になっていた。
頭の中で想像する作品の価値は、いつだって僕の役に立ったことはない。

もし少年の頃に観ていたら、タイム・マシーンを完成させたブラウン博士(通称・ドク)の影響を受けて、学校の文集に「将来はドクみたいな科学者になりたい」と記していただろう。
もしくは、圧倒的に不利な状況でも敵に「腰抜け(チキン)」と言われると必ず喧嘩を買ってしまう主人公・マーティに憧れて、「マーティのような勇敢な大人になりたい」と書いたかもしれない。

そして、今晩の金曜ロードショー。
シリーズ最終作のBack to the Future Part IIIが放映される。

気分は新作映画を待ちわびる子どものようだ。
そういえば、Back to the Future Part Ⅱには、およそ30年前に描かれた2015年の世界が映っていた。今、2050年を描いたとしたら未来の人たちにはどんな風に映るのだろう。

マーティやドクのように、その様子を見にタイムトラベルすることはできないだろうか。少年のような期待が心に棲みついて離れそうにない。

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進藤海/六月雨音/ようじろう/小宮千明/モグ。4人のライターがそれぞれの担当曜日に、ジャンル問わずそれぞれの“書きたいこと”を発信。

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