いつのまにか〈うみいろノートNo.44〉
長年にわたって寄り添ってくれる作品は数知れず。
それは毎週テレビで流れる国民的アニメにも言えることだ。
サザエさん、ちびまる子ちゃん、ドラえもん、名探偵コナン。
幼少期から親しんできた作品たちは、あの頃と変わらない輝きを放っている。
国民的アニメ『あたしンち』も例外ではない。
大雑把だが何事にも一生懸命な母、無口でマイペースな父、夢見がちな姉・みかん、クールだけどナイーブな一面も併せ持つ弟・ユズヒコの、タチバナ家の日常をコメディタッチに描いた作品だ。
『あたしンち』のアニメ放送が始まったのは2002年。当時僕は小学生で、放送日である金曜日は家族で夕食を囲んで観ていた。
エンディング曲の「来て来てあたしンち」は癖になるメロディが特徴的で、その歌を口ずさみながら登下校したことを思い出す。
そんな『あたしンち』が今年5月15日からYouTubeの公式チャンネルで過去放送作品を平日に2話ずつ順次配信している。
ドラえもんのように便利な道具も出てこなければ、名探偵コナンのように難事件を推理で解決するわけでもない。
日常に転がっているささやかな幸せや、家族や友人の温かさ。『あたしンち』にはそうした毎日のドラマが変わることなく宿っている。
一人っ子の僕が姉弟の日常を垣間見ては「こんな生活もあるんだなぁ」とぼんやり思っていたことも懐かしい。
当時は随分大人に見えた17歳のみかんと14歳のユズヒコも、今では「学生の時はこんな風だったなぁ」と昔を思い出させてくれる貴重な存在となっている。
いつか家族を持ったら、『あたしンち』の母や父の気持ちも分かる時が来るかもしれない。
いつか子どもを持ったら、『あたしンち』の母や父と同じ言葉を語りかけているかもしれない。
いつのまにか過ぎ去った時間を、その時だけは取り戻すことができる。二人三脚で歩んでくれた道は、ただ過ぎ去っただけでなく心に確かなものを残してくれた。
ここから先は
《リレーマガジン》Writers Lab “Code W”
ボイスブックコンテンツ《Writone》より集まったライターによるリレーマガジン。
皆さんから大事な大事なサポートをいただけた日にゃ、夜通し踊り狂ってしまいます🕺(冗談です。大切に文筆業に活かしたいと思います)