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シュール〈うみいろノートNo.47〉

王道と呼ばれるものではなく、むしろそれから逸れたものを応援したくなるのは人の性分なのだろうか。

最近好きになったお笑いにおいても同じことが言える。
それは客席をバンバン笑わせる漫才ではなく、クスッと人を笑わせる芸のことだ。

ピース・又吉直樹の公式YouTubeチャンネル【渦】。
それはまさに王道とは程遠い、異色なお笑いを表現している。

自ら紹介しているにも関わらず、このチャンネルの魅力を語るのは容易ではない。
それは魅力がないという意味ではなく、適した言葉がパッと思いつかないことが原因だ。強いて言うなら、ありがちなフレーズではあるが「シュールさ」がその魅力なのだろう。

例えば【渦】の二本目の動画では、後輩芸人たちを集めて、ひたすら長年の夢らしい「山に顔を作るための会議」をしている。


最初は会議風のコントなのかとも思ったが、どうやら彼は本気らしい。
詳しくは動画を観てほしいが、視聴した僕でも彼が熱を入れて話す「山に顔を作りたい」動機をちっとも理解できない。
しかし、観ている最中は不思議と笑っている。大きく口を開けることはないがクスッと。最近はそんな笑いがなんだか心地よい。

どこか力が抜けているように見えても、内に秘める屈折した想いを小説やお笑いに昇華させている。
彼の織りなす文章もファンだが、こうしてお笑いに携わる又吉直樹も僕は好きなのだろう。

異端でありながらも、結局は才覚ある人がマイノリティに所属しながら奮闘する姿に心打たれているのかもしれない。
途方のない時間がかかったとしても、そうしたオリジナリティにいつかなりたいなと、人知れず夢を抱いている。

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