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創る理由〈うみいろノートNo.33〉

今回はいつもより少しばかり熱を上げて語りたいと思う。

新海誠監督の作品に出会ってからというもの、僕は今なお強烈に惹かれ続けている。
新海監督といえば、2016年公開『君の名は。』(もう4年前!?)の大ヒットにより、一躍時の人となったアニメーション監督だが、実は僕は2007年公開『秒速5センチメートル』からのファンだった。

今でも鮮明に覚えている。偶然手にした単館映画のチラシには名前の知らない監督名と『秒速5センチメートル』の映画タイトルが躍っていた。

暇つぶしのつもりで鑑賞した映画は、今の僕に計り知れないほどの意味を与えてくれた。

それ以降、新海監督が描き出す世界観をもっともっと知りたくて、関連書籍を買い漁っては読みふけったこともあった。
そこでたくさんのことを知った。長野県の小さな町で生まれ育ち、その場所で培った感性と卓越した絵描きの腕はやがて世界を驚かせることになる。
やがて大学に進学し国文学を専攻。のちに僕自身も大学時代に日本文学を学び始めるが、新海監督と同じ分野を研究できる4年間が密かに嬉しかった。

新海作品が描く、男女のすれ違い、美しい背景、繊細な心理描写。
こんなことを言うと、とてもおこがましいことではあるが、僕もそんな世界観を創りたくて物を書いているんだと思う。

ゼロから物語を立ち上げる時、執筆につまずき虚空を眺める時。
そんな時にいつも励ましてくれる新海作品の数々。
新海作品に対する思いは憧れのようで、ひたすら追いかけていても追いつけない。
だからこそ、僕は僕なりの色をひたすら書き続けたい。

『君の名は。』でのラストシーン。
『秒速5センチメートル』ですれ違ってしまった男女を思い出さずにはいられなかった。
もしあの二人が再会していたら、どんな結末だったんだろう。
そんな風に思いを馳せるたび、世界中のファンと同じように、確かに僕の中にも新海作品が根づいているんだなと思うことができる。

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進藤海/六月雨音/ようじろう/小宮千明/モグ。4人のライターがそれぞれの担当曜日に、ジャンル問わずそれぞれの“書きたいこと”を発信。

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