人生初1000円カットに行った
私は社会人になっても母に髪をカットしてもらっていたのだが、母は普通に上手かった。そしてなんといってもタダでありがたい。
社会人1年目の冬、美容院へも行ってみようかと足を運ぶと、それはそれでスペシャリティーな気分になれた。ルンルン。
そうしてしばらく母にカットしてもらわない期間が出来た。
最近になって母にカットを頼むと、空いた期間のうちに母はカットへの自信を失っていた。竜宮城から帰ってきた浦島太郎の気分だ。
どうしようかと考えて、興味あったので1000円カットに行くことに。
これが昨日の話。
電話予約をしたが、電話予約はヤボだった。そもそも予約の形式を取っていない。
フラッと寄って、並んで待つ。吉野家に予約の電話をしないのと同じことだ。
結構迷って店に着くと、3人がけのソファ席は男の人で全部埋まっていた。
どうしよう。めっちゃ入りづらいわ。立ち飲み屋に入ろうとして5分ほどウロウロしたあの日を思い出す。2mの範囲で店の前をウロウロした。
ちょうど1人カット終了したっぽい声が聞こえる。よし行こう。
店内に入ると、男の脂臭!!がフォッ!と鼻に入った。
券売機でチケットを買う。ちなみにここの1000円カットは令和元年10月1日から1100円になったらしい。
「いつもので!」
という声が聞こえてくる。常連さん多いのかも。
受付があるわけではなく、次だなと思ったら立って向かう形式。順番を待って私の番が来た。
エプロンをかけてくれる、50代くらいの男性。
「どうしましょうか?」
「5cmくらい切ってほしいんですけど、あと前髪もちょっと切ってほしくて。」
「はい。ブローはなしでいいですよね?」
「はい。お願いします。」
一瞬ブローありがあるのか?と思ったが、たぶん勘違いしてここに来ていないかの確認だろう。なめてかかられちゃ困るよ、と。
粗めの霧吹きで髪を濡らしてカット。
下向いてください。と言われたが目線は下じゃなくてもいいかと思い、超上目遣いでカットの様子を見た。おー切られてるわー。
調子に乗ってもう2cm切ってもらうことに。
「仕事してますか?」と聞かれた。
あ、わたし無職っぽいんかな?まあ確かに今そこまで働いてないしなーと高速で考えて
「はいそうです。」と微妙な返答してしまった。深く聞いてこなかった。
顎に髪の毛をグイッと沿わし、長さに左右差がないか確認をしながらカット。
前髪を切った後に「前髪ジグザグにしますか?」と聞かれた。
ジグザグ?!シャレてる!けど勇気がなかったのでお願いしなかった。
担当してくれた男の人は1000円カットで2年働いているらしく、「この歳になったら普通の美容室は雇ってくれんよー。」とか、「コロナで客が3割減ってるからねー。」という話しをしてくれた。
カットを終えると、急に髪の毛をワッシャーーとされてチョイ笑った。髪の毛ふるい落とす工程だった。
ダンディな香水の香りブラシで、顔にのった毛を取り除いてくれ…ようとしていたが、さっき顔に無印のホホバオイルを塗ったところだったので取れなかった。
ゆるい掃除機で髪の毛を吸い取って、小さいホウキで首と肩の毛を落とし、終了。
横の台から「1番短い坊主にしてください!0.3ミリで!」と聞こえた。
仕上がりまっすぐ!と思ったけどたぶんブローで変わるはず。
いやなんやこれ。
担当してくれた男の人は、普段「いつもので!」「坊主で!」と言われるカットに変化球を加えるため、美容室で働いていた頃の腕試しに、ジグザグ前髪を提案してくれたのかもしれない。
1000円カットの雰囲気や香り、全行程のゆるさ、あれは家。
「よし!俺髪切れるから切ってあげるよ!」と言われて切ってもらうような、落ち着きすぎるくらい落ち着く場所だった。
母のカットを思い出す。当然丁寧な対応ではないけど、気を張ることなく落ち着いて、温かみを感じたカットを、もうしてもらえないかもしれないと思うと寂しくなった。
今まであんまり、ありがたみ感じてなくてごめん。
母のカットが恋しくなったら1000円カットへ行こう。あそこで家を感じよう。
※追記※
2日後違う美容室に行きました
サポートしてもらえたらうれしすぎてヒョーー!!ダンスダンス!!!🕺🕺🏻🕺🏼 そのあとはサポートしてもらった画面をスクショして何回もニヤニヤします。