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ELP〜クラシックとロックの正しい関係

昔はクラシック音楽は大嫌いだった。
なぜかというとリコーダーがうまく吹けなかった。
指と息遣いがうまくできなかったんだろうな。
そんな毛嫌いしていたクラシックを180度変えさせたのがこのエマーソン・レイク&パーマー。

ロシアの作曲家ムソルグスキーの作品をモチーフとした「展覧会の絵」、そのダイナミックなサウンドに圧倒された。
しかもこの作品がライブ録音とはさらに驚きであった。

キーボード、キースエマーソン 、ベース&ボーカル、グレッグレイク、ドラム、カールパーマー、このトリオだけでとてもやってるとは思えない音の秘密はキースエマーソンが弾きこなすムーグシンセサイザーにあった。

今やデジタルシンセが主流で、普通に誰でも使いこなせるものですが、初めて登場したムーグはアナログシンセ、アーティストには音響工学の知識がなければとても弾きこなせない難儀な楽器であった。

同時代のキースと並ぶキーボード奏者であったリックウェイクマンやジョンロードさえアナログシンセは使いづらい苦手の楽器で彼らはどちらかというとハモンドオルガンを主に使っていた。
しかしキースはムーグ博士と共同開発のもとに新しいシンセを導入し、確固たるELPの音楽を創り上げていく。

プログレッシブロックの旗手として彼らは人気と実力を見せたバンドであったが、クラシック界からは音楽の冒瀆といわれた。
なぜなら彼らのライブはアグレッシブなスタイルだったからだ。
特にキースのキーボードアクションは過激であった。

例えば展覧会の絵の中のキエフの大門でハモンドオルガンにナイフを突き刺して、倒して演奏するオーバーアクション。
なるほど一見派手に見えるが、実はこれは
大門が開いていく音を出すための擬音効果としての意味も持っていた。

そしてそれはクラシックの教育を受けていた少年少女たちにとっては衝撃的なバンドとして目に映ってた。
現在は彼らの展覧会の絵やタルカスといったアルバムを逆にクラシック化したりしてELPの音楽をトリビュートしてたりする。

リストやショパンがイケメンで女性ファンがコンサートでたくさん失神したエピソードが残ってるが、クラシックもその昔は流行した音楽であった。

さてELPだがキースがギランバレー症候群で、2016年3月キースエマーソン トリオで来日直前で自ら命を絶った。
病のため鍵盤を弾けなくなることは彼のプライドが許さなかったのだろう。
その後後を追うようにグレッグレイクも亡くなった。
残ったドラマーのカールパーマーは1人、ELPの意思をソロ活動により伝え続けている。

前述したとおり、彼らの音楽からクラシックに溶けこみ、バッハ、ドビュッシー、ラベル、チャイコフスキー、ストランビスキー、を聴くようになった。
昔の時代でも消え去った音楽はあり、有名な音楽家でもほとんど演奏されない曲もある。
結局誰かが伝承していくことが未来に残る一つの鍵である。

ELPもまた後の世ではクラシックになっているのかもしれない。



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