優秀な人とは

私は数多くの職種を経験してきましたし、現在も多くの中小企業の経営者や職場を見る機会が多くあります。そこで働くたくさんの大人を見てきましたが、その長い時間の中で「この人は優秀だな」と感じた人について書きます。

世の中、ほとんどの人は優秀ではありません。そして、立場が上の人が優秀かと言うとそれも違って、実際は優秀じゃない経営者ばかりです。

まず、どのような人物が優秀かを定義する必要があります。

私は、優秀な人とは『他者』に物事を教えれる人。大ざっぱに言うとこれに尽きると考えています。

人に自分の技術や、仕事で必要なやり方などを教えれない人がいかに多いか、勤め人なら思い当たる節が多くあるでしょう。

大体の上司は、「すいませんこれ教えて下さい。」に対する対応は、怒る機嫌悪く教えるか です。


中小企業でよく見られる傾向で、従業員の年齢が上と下にくっきり分かれているところがけっこうあります。例えば、40~50代の従業員数名と、新卒~20代数名といった感じで真ん中がいない感じです。

人は同年代には物事を教えやすいのです。歳が近いと価値観も近いし、コミュニケーションが取りやすいのです。しかし、優秀じゃないので、一回り下の後輩には当たりが強い。その後輩はしばらくは我慢してもちゃんと教えてもらえないから仕事への労力が増えてその会社を見限って辞めていく。なので真ん中の世代がいない中小企業が多いのです。

さらに教えるべき立場の彼らがイタイのは、辞めてった従業員は無能だから辞めていったと思い込んでいる所にあります。人はなかなか自分の能力を理解しようとしません。だから、「俺は経営者だから偉い」とか「俺はこの作業できるから偉い」といった勘違いをしてしまうのです。大抵の作業は教えれば誰でも出来ますし、大抵の経営者は能力が無くても務まります。辞めていった従業員が無能では無く、後輩に仕事を教えれない自分が無能なのです。

そして、無能は無能を生み出します。

よく「俺らの時代は教えてくれる人なんていなかった。自分で覚えろ」と言う場面がありますけど、まさにそれが無能が無能を生み出す様子です。自分で覚えて仕事が出来るようになったから、それを後輩にも同じ体験をさせるのは非効率だし、自分の成功体験を過信しすぎています。

まず自分が優秀では無いことを知ることが大事です。


前に働いていた雀荘に優秀な上司がいました。60歳手前のおじさんでしたが、物腰が柔らかく、人当たりもとても良い人でした。

その人は、通常の業務ができることはもちろんですが、何か聞いても怒る事無く誰にでも分かりやすく教えていました。20歳前後のアルバイトもみんな「あの人は凄い」と言っていました。彼のすごかった所は、分からない事は分からないといい、こちらに教えを請うことができたことです。 簡単な事ですが多くの人ができない部分です。特に歳をとるとできなくなります。

普段から威張っていて、他人のミスに怒り、「ほんとお前は仕事できねーな」「こんな簡単な事もできねーのかよ」が口癖の上司が、私達からしたらとっても簡単なPCの使い方や、アプリの情報を聞いてくることがよくあります。これなんか典型的な自分が無能だと気付いてない人ですよね。


優秀な人間になるのは難しいことです。

しかし、無能な人にならない方法は簡単です。

それは、怒らないこと

たったそれだけです。本当にたったそれだけのことです。

よく怒ると叱るは違うという人がいますが、あれも間違いです。今までの人生でとんでもない回数怒られてきた私が言うから、間違いありません!本人が叱っているつもりでも、言われているほうからしたら、怒られているのと何も違いはありません。むしろ『叱る=必要なこと、良い事』という思い込みがあるぶんたちが悪いです。叱ってるつもりなのは本人だけで客観的にみたら怒りをぶつけているのと違いはありません。

怒ることは個人的な感情なので、他者にぶつけるのはとても愚かです。私は高校生のときにそれに気付き、それ以来怒りを他人にぶつけないように生きてきましたので、怒ってる人をよく観察してきました。

怒ってる人が、怒ってスッキリしたところを見たことがありません。しかも怒っても相手には真意は伝わらないので、また同じ状況になり、怒ります。同じ迷路で毎回同じ所で引っかかってるようでバカだと思います。 怒らずに教えればほとんど解決することだと知っている私からすると、可哀相にすら思えてきます。

怒らずに教える。これは子育てなどでも当てはまります。ほとんどの子供は大人が思っているよりも利口です。怒らずに説明すればかなり小さい子でも理解します。

怒られて育った子と、教えられて育った子とではまったく物事の理解度が違ってきます。子供を怒って育ててる人は、怒らずに教えて育ててあげてください。それでもつい怒ってしまうときがあると思います。その時は、私が過去に出会った優秀な上司のように、正直に怒ってしまってゴメンと謝ることが大事だと思います。


幼児は、よく怒り、よく泣きます。それは他人にものごとを伝えられないからで、自分の感情のコントロールができないからです。人間としてまだ未熟なのです。大人になっても怒ってばかりの人はそれから成長できてないと言う事です。

そういう目線で世のなかの人を見たとき、その人物がどのレベルの人なのか図ることができます。

この人、仕事もできて人望もあるなって人がいたらぜひ観察してみてください。他人に怒りをぶつけず、他人に教えることが得意なはずです。 


優秀にならなくてもいい。

ただ、怒りを他人にぶつけるような低レベルな人間にはならないようにしましょう。とんでもない回数怒られてきた私からの提言でした。



ちなみに予断ですが、怒ることでも他人に良い影響を与える事例もあります。

例えばイチローが、後輩選手に怒って何かを伝えたとして、それを良い影響に捉えない野球選手はいないでしょう。凄く尊敬されていて実績もある優秀な人が怒った場合は聞く側も、これにはしっかりとした理由があると認識しようとするからです。

尊敬されていない、実績もない人に怒られても人には響かないのです。

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