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有名アニメ制作会社の親会社IG Portの通期決算を分析

 頻繁に決算説明資料とかを読むのですが、「アニメ制作会社で上場しているところはあるのだろうか」と思い、調べてみました。

 すると、プロダクション・アイジーとウィットスタジオはIG Portの子会社として経営されており、上場もしていました。

 彼らのビジネスを見ていきたいと思います。

IG Portには6グループ会社がある

 グループ会社は6つで、うち3つがアニメ制作会社でした。

株式会社プロダクション・アイジー
株式会社マッグガーデン
株式会社ウィットスタジオ
株式会社シグナル・エムディ
株式会社リンガ・フランカ
Production I.G.,LLC(米国法人)

 株式会社プロダクション・アイジーはアニメ制作を行なっており、最近だと海賊王女や憂国のモリアーティの2期をやっていましたね。
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 株式会社ウィットスタジオもアニメ制作会社で、2012年に買収。進撃の巨人、鋼鉄のカバネリ、終わりのセラフ、魔法使いの嫁など個人的に好きな作品をいっぱい手がけている制作会社。そして何よりも今クール(2022年冬クール)で一番推しの王様ランキングも制作。
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株式会社シグナル・エムディもアニメ制作会社で、2014年に買収。最近ではプラチナエンド、ドラゴン、家を買う。、MARS REDのアニメ制作。
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2021年5月期の売上:99億、営業利益:6.9億

 最新の決算は、2021年5月期の通気決算で、2021年7月9日に出されています。

 事業セグメントと売上・営業利益の内訳は以下の通り。

映像制作事業:53.49億 / ▲1.27億
出版事業:21.60億 / 4.1億
版権事業:21.31億 / 4.95億
その他事業:2.91億 / 0.35億

 映像制作事業がアニメ制作事業で、2022年3月期においては赤字で、その原因は「一部作品で、制作期間の超過」と書いてありました。そして、ウィットスタジオとシグナル・エムディに関しては債務超過の状態であるとのこと。踏ん張ってほしい。

 出版事業に関しては、電子書籍が好調とのことで、市場の流れになっているなという感じです。

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 ※出典:2021年5月期 IG Port通期決算資料

 そして、版権事業に関しては、引き続き好調のようで、中でもGREAT PRETENDERが大きく貢献。同作品はWIT STUDIOのオリジナルアニメで、フジテレビの深夜アニメ枠「+Ultra」で放映されており、Netflifで独占先行配信されていた模様。当たると強いですね。
 ちなみに、版権収入というのはここでは主に二次利用での儲けとのこと。

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 ※出典:2021年5月期 IG Port通期決算資料

 ちなみに、来期はいよいよ100億円の大台に到達するかどうかというところで業績予想は出されています。

映像・出版・版権でのグループシナジー

 映像事業が実質的にはマス向けのプロモーション、出版事業で販売部数を増やし、版権で着実に積み上げていく、というのがグループ全体のコンセプトなんじゃ無いかと思いました。
 なので、映像事業単体での利益率は低くても、全体として数字が出ていればOKという考えかなと。

 そして、グループ全体で原作から委員会組成、ビジネス展開までを一気通貫で行うモデルを「魔法使いの嫁」では採用しており、グループ合計での出資率は60%になるそう。

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 ※出典:『魔法使いの嫁』アニメ化戦略

 IG Port ONLINE STOREというグッズECも生まれていて、余すところなくマネタイズをしていこうというのが垣間見えます。シャフトもSHAFTENというグッズECを作っていて、そういう流れなのかな。

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