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そわそわ

 さて、どんなそわそわについて書こうか。

 人気舞台のチケット抽選結果を待つそわそわ。いいところで「次号へ」となった漫画の続きが気になるそわそわ。早く帰りたい日に限って残業せざるを得なくなったそわそわ――せっかく時間指定配達を頼んだのに!

 性分なのか、日常的にそわそわしてばかりいるように思う。どっしり構えて成り行きに任せることが苦手だから、待つほかない未来のことをあれこれ考えてしまう。今回駄目ならまた次回、とすっきり切り替えるのも苦手だから、やるべきこととできることを探していつまでも落ち着かない。結果が出るまで、この気持ちは続くのだ。そして、この気持ちを生み出すのは、自分の満足いく結果を手にしたいという欲求だろうと思う。

 こんな私の日常に、もう一つそわそわする事態が加わった。この講座に関するそわそわである。

 課題に合うエピソードを記憶から掘り起こし、検討し、大まかな筋を考える。書き出すと、意外なほどに少ない文字数だ。もう一つ例を付け足そう。繰り返しすぎてくどいだろうか。この段落のつながりは不自然ではないか。言葉づかいがなんだか気に入らない。提出期限も迫ってくる。穏やかさからは程遠い心で、なんとか書き上げたものを投函した。

 その後、最大のそわそわは、作品の返却と共にやってきた。添削と講評が楽しみであると同時に恐ろしくもあり、すぐには開封できなかったのだ。自分なりにしっかり書いた文章ではあるけれど、酷評だったら……。

 結果、不安がっていた自分を笑い飛ばしたくなった。きっと、いい文章を書くことは文章の正解を探すことではない。より伝わる文章を探すことなのだと思う。『お互い、肩の力を抜いて楽しくやりましょう。』のメッセージの意味を、改めて考えた。

 とはいえ私は、今回の作品の返却も、そわそわ待つだろう。


(文章教室 2022年2月提出分)

添削なるほどポイント
・第五段落目をすべて現在形に統一してはどうか
⇒段落の〆として過去形を選んだようにおもうが、たしかに、全部現在形のほうがスッととおるみたい
・第五段落目『穏やかさからは程遠い心』は、より具体的な表現にしてはどうか
⇒『』はふわっとしすぎか。この心ゆえの具体的な行為を文にすることを提案されて、それもなるほど