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2023年8月

2023年8月の読書メーター
読んだ本の数:8冊

■アメリカ怪談集
荒俣宏編/河出文庫
びっくりするほど読み進まなくてびっくりした。文章と噛み合わないというか米国文学ってこういうかんじだったかね?もってまわったというか、修飾がはげしい?
作品の傾向としては、自然から生まれるホラー、信仰から生まれるホラーあたりに特徴がありそうな。
『古衣裳のロマンス(ヘンリー・ジェームス)』に突然「出雲の神様」という単語が出てきて面食らった。原文丸ごと乗せてるサイトがあったので唸りながら該当箇所をさがしたらHymenとあった。ギリシア神話の縁結びの神様らしい。ううむ。
収録作中ではブラッドベリが最高。
読了日:08月07日
https://bookmeter.com/books/14465251


■裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち
上間陽子/太田出版
公共放送の特番でみた、著者の、やわらかいのに毅然とした語り口と佇まいにひきつけられた。つよい。どうして。なにが。わたしはここにいていいのか。本人の努力が足りないなんて本当に嘘。これは私たちのいる世界の構造の問題。
読了日:08月15日
https://bookmeter.com/books/11463597


■イギリス怪談集
由良君美編/河出文庫
恐怖は屋敷に巣食う。
クィア文学として読めそうな作品が多いのがおもしろい。クラスの違いが織り込まれているのも。米⇒英と読んでみて、ずいぶん雰囲気がちがうものだ。
読了日:08月15日
https://bookmeter.com/books/13666451


■海をあげる 
上間陽子/筑摩書房
こんなにも、今生きている人間に犠牲を強いて踏みにじっているのに、なお、「ヤマト」のなかが安泰で憂いなくいられるわけでもない。この国はいったいなにをやっているのだ。学者で、母で、著者にも著者の生活があるひとりの人。わたしも。悲しいことはある。苦しいことはある。嬉しいことはある。すべてそれはそれであり繋がってもいる。そして、もらった海をどうすればいいのか。
読了日:08月16日 
https://bookmeter.com/books/16754780


■われらはすでに共にある: 反トランス差別ブックレット
現代書館
ひとりひとりにひとりひとりの語ることが当たり前にある。ただそれだけのことがそれだけにならない。それをわたしは理不尽だと思う。わかることもわからないこともあるがいずれも、ただわたしの今の状態を言い表すことにすぎず、それ以外の判断は含まれない。
読了日:08月17日
https://bookmeter.com/books/21412024


■ちくま日本文学001 内田百閒
ちくま文庫
このひとはいったい、真面目なのかふざけているのか。煙に巻かれながら妙に切ない、もの悲しい気持ちがひたひたと迫ってくる。夢の中の風景かと合点して済ませればそれまでだけれど、それはなんとなくはばかられる。軽く扱いすぎる気がする。いいかげんに聞いていたのをあとで後悔する予感のようなものがある。
読了日:08月21日
https://bookmeter.com/books/567845


■トランスジェンダー入門
周司あきら、高井ゆと里/集英社新書
特例法のこと全然知らなかったなあというのがいちばん。114頁『トランスたちの雑多でカラフルで、苦痛に満ちたリアルな声』『あなたのもとに届いている「トランスの声」には、すでに偏りがあります。』凝縮されたなにかが鋭くぶつかってくる言葉だ。
極端をいうと、「男」「女」「人間」もアンブレラタームとして機能している語なわけで、その中に当然あらゆる要素を持ったひとたちがいるわけで、その中からなにか特定の概念を抽出してやり玉にあげるばからしさ。つまり、差別することの筋の通らなさに憤るのだけど、この極端は全く逆の立場の主張にも使えてしまうだろう。ぞっとする。
読了日:08月26日
https://bookmeter.com/books/21373878


■理想の色に巡り会える 青の図鑑
青が好きだ。そしたら、みんなが好きな色らしい。青。
読了日:08月27日
https://bookmeter.com/books/21364314


アンソロジーと翻訳は、編者と訳者を信じるしかない。まずは信じて読んでる。

知ることは苦しいことが多いけど、でも知らないでいるのはもっといやだ。

今日も『LGBT考 問われる「多様性尊重」 ジェンダーレストイレに不安の声も』などと題する産経新聞の記事が耳目を集めていたようだ。読んだけど。また、まだそのレベルで話してるのかよと心底うんざりした。
問題のありかをわかってない・人の話を聞かない、インフラを企画・実施する(すでに力を持っている)者が、ものの見事に失敗しただけだと思います。多様性を尊重するとかマイノリティに配慮するとか以前の問題だと思います。
女性トイレが廃止されたことを非難するなら、マイノリティに対してじゃなく、インフラを整備する側に対してだと思います。そのひとたちがGOを出したのだから。
ついでに言うと、トイレだの風呂だのの話では、女性用スペースに「女性でない存在」が入ってくることばかり騒がれて、逆パターンをみた記憶がない。これが話題に上らないことがどうも嘘くさく、目くらましなのではないかと感じる。感じていることの裏打ちと織り込みがまだできていないけど。