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2021年3月

読んだ本の数:8冊

■白い病 (岩波文庫)
すごいなー。人間て全然変わらないんだな。そう思うとちょっと絶望しちゃうよね。謎の疫病の下のあたふたする様子も、小汚い思惑も。
本来的にはこの作品、疫病は装飾で戦争と平和が主題なのかな。作者による解題中の一部分に深く頷いてマーカーつけた(だが罪の償いは、何かほんとうに希望が持てない悲観的なものなのだろうか?)。チャペックも、自虐史観なんてことばは嫌いそう。
翻訳から出版までの展開の速さ、フットワークの軽さにおどろいた。今まさに訳されてみつけられて求められて世に出てきた1冊なのね。
読了日:03月10日 著者:カレル・チャペック
https://bookmeter.com/books/16134908

■狂い咲け、フリーダム (ちくま文庫)
全く気にせず手に取ったけど、あの黒い岩波新書の人か!癖のある文体も、なれるとリズムよく気持ちいい。
新書の読了後は、わたしの生きる力のために他者を蹂躙してもいいのか?ということが非常にひっかかったのだけど(肯定しているように読めたから)、いややっぱりそれは違うだろうという流れもあるのだな。どうやら矛盾を感じながらもがきながらどっこい生きていくのがアナキズムでいいみたい。安心した。究極的にはなんでもありで、なんにもまとめられないのがアナキズムってことになるんじゃないのかなあ。
自分が女なのでつい女の肩をもってしまっているのかもしれないけど、女の言うことは改めて地に足がついている。生身で生きるその中から絞り出された言葉という感じ。一方男の言うことはいきなりロマンティックに走ったり桃源郷物語みたいになって、だいぶ面白い。大事なのはやはりこの両者のバランスですよね。
それから、変節してしまうことも、それ自体を非難することはできないよなあと。本人以外はびっくりするけど、それも本人の真実だものね。
読了日:03月12日 編者:栗原康
https://bookmeter.com/books/13000572

■身近な雑草のふしぎ 野原の薬草・毒草から道草まで、魅力あふれる不思議な世界にようこそ (サイエンス・アイ新書)
これまた独特な語り口の本。草花を称して「彼女たち」といってみたり、マンスプレイニング的なエピソードが挿まれたりしてイラっとしらッとしてしまう箇所が多いのではあるが。。。教科書を外れた生っぽい解説であるところは評価したい。外に出たくはなった(花粉が落ち着いたらね)。
読了日:03月16日 著者:森 昭彦
https://bookmeter.com/books/431036

■Discover Japan 2020年 5月号「日本人は何を食べてきたの?」
まずなにより、科博の『和食展』復活しないかな~~~!!!精魂込めて作られた山ほどの模型とか剥製とか展示パネルとかとかとかとか見たい見たい見たい見たい。あと、一関にもちを食べに行く。ぜったいだ。ところで、鰹節の頁で「煮熱」「煮熟」と両方出てきててたぶんここで使われるべきは後者っぽいのだけど。別の事象をさしているならわたしの調査不足。活字を拾ってるわけでなし、ミスだとしたらどういう過程で起こるのだ。
読了日:03月20日 著者:ディスカバー・ジャパン編集部
https://bookmeter.com/books/15741417

■BANANA FISH(20) (フラワーコミックス)
舞台化の報で近辺が盛り上がり、あまりに有名すぎてなんとなく知ってはいるけど…状態だったものをはじめてちゃんと読む。ううむ。そうか。そうか。アッシュなくしてこの世界ははじまらず、存在せず、であったんだなあ。中盤以降、「いやこれなんでこんなことになってるんだっけ??」というごっちゃり感を持ったものの、名作に間違いない。月龍がすきです。
読了日:03月24日 著者:吉田秋生
https://bookmeter.com/books/13402358

■3びきのかわいいオオカミ
これはまあ!なんということでしょう!わるいおおブタ!ほんとうにわるい!わらっちゃうほどわるい!げらりげらり。ほわり。
最終ページのオオカミたちの台詞は、原文ではどんなニュアンスなんだろう。この訳文だとちょっと不穏な空気も感じてしまう。考えすぎ?
読了日:03月26日 著者:ユージーン トリビザス
https://bookmeter.com/books/40396

■独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)
特別な悪意があるわけじゃなくて、透明な暴力性というか。ただひたすらにぼこぼこに、というかぐちゃぐちゃにされる。作中に登場する諸々もだけど、読んでいる間の自分の諸々も。
これはどういうふうに説明したらいいのかな、と解説を読んだらなるほど、『鬼畜系』というのね。ぴったりだわ。
電車に乗って、更にお腹すいてる時に読んだので、まさしく相乗効果。
『無垢の祈り』よみたかったの。ボーイ・ミーツ・ガール…ではないか。王子様が迎えに来るわ、か。いやどっちも違うんだけどそうなんだよ。
『卵男』の展開は新鮮だ。おや~、そっちか~。
直前の『オペラント~』は同グループにいれてもいい展開と思われるけど、こちらは予想がつく人物配置。似ているのに違っておもしろいね。
読了日:03月28日 著者:平山 夢明
https://bookmeter.com/books/548296

■近世の三大改革 (日本史リブレット)
悪政があって対抗策としての善政が敷かれるという理解は勝者の理論みたいなもの。幕政の転換点はいつ・どこなのか。そもそも幕藩制・江戸幕府の政治機構上陥りやすい問題とは。公儀の意味とは。
読了日:03月29日 著者:藤田 覚
https://bookmeter.com/books/232947

【今月のおすすめ】
おすすめとなると……。人にはすすめづらいラインナップだった今月。
日本史リブレットかしら。わかりやすいし、これをとっかかりにして次に進めるようになっているのね。