古畑任三郎・個人的オススメ回

中学生の頃、毎晩レンタルの古畑を二、三話ずつ見て、最近改めてチョコチョコ見直した感覚から、個人的なオススメ回を12話選びました。敢えて順番通りにせず、オススメの順番にしました。

死者からの伝言(中森明菜)[第一シーズン・第1回]
全てはここから始まった。実は時系列的には一番最初の事件ではないのだけれども、その後もしばしば言及される、古畑自身にとって非常に思い入れのある犯人。謎解き要素も文句なく楽しめる。敢えてなのか、間に合わなかったのか、サントラを使わない演出も鮮やか。
殺しのファックス(笑福亭鶴瓶)[第一シーズン・第4回]
今泉君のキャラクターが少しずつ固まりつつあり、且つ、崩壊する前。「トリックに穴がある」という指摘もあるけど、それが気にならないレベルでの味わいがある。古畑のしつこさ、犯人の顔芸、大胆なカメラワーク、鮮やかな結末。グイグイ引き込まれる名作。
汚れた王将(坂東八十助)[第一シーズン・第5回]
これも「実際の封じ手と様式が違う」という決定的な穴があるにはあるんだけど、キャラクターの味わいでそれがカバーされている。古畑の元ネタであるコロンボの二代目声優としてお馴染みの石田太郎さんも出演するという隠し味も。古畑史上最も印象深い「物証」。
殺人特急(鹿賀丈史)[第一シーズン・第8回]
細かい細かい所から手掛りを拾って、スピード解決。「顔も態度も強気なのにやり込まれる」人物を演じさせたら、鹿賀さんの右に出る人はいないと思う。梶原善さんなどの脇役も活躍。締めくくりは、古畑が仕掛けたトラップの中でも最上級の鮮やかさ。
赤か、青か(木村拓哉)[第二シーズン・第17回]
ジャニーズ絡みなので、テレビで再放送出来ないのが惜しいくらいの名作。今泉君の受難度がかなり高め。キムタクの演技力については判断しかねるけど、キャラクターに本当に合ってる。古畑さんと今泉君の絆を実感できる回でもある。終末も特異にして圧巻。
しゃべりすぎた男(明石家さんま)[第二シーズン・第14回]
今泉君の人生が終わりかける回。古畑さんが「私は貴方が犯人だと思っています」と真っ向勝負を挑むという点でも珍しい。犯人が出すボロは、ほとんどの人が気付かないであろう盲点。さんまさんが無理にコミカルさに寄せていない所も良い。
動く死体(堺正章)[第一シーズン・第2回]
個人的には、最も嫌らしい古畑さんが見られる回。堺さんのリアクションがその嫌らしさを増幅させる。犯人との、信頼関係という程ではないけれども、冷たくもない距離感が味わえる。第一シーズンは古畑さんのインナーの色が毎回違ってオシャレなのも堪らない。
ニューヨークでの出来事(鈴木保奈美) [第二シーズン・第23回]
いわゆる「アームチェア・ディテクティブ」の様式を採った唯一の作品。細かい所から矛盾を見つけて、真相を暴き出すという点では、或る意味で王道。ただの謎解きでは終わらず、殺した者と殺された者との関係、消えることの無い罪の重さまでも描いた名作。今泉君も大活躍。
絶対音感殺人事件(市村正親)[第三シーズン・第33回]
個人的には、第三シーズンは、トリックが雑だったり、道徳的な訓話じみたりしていて、余り好きではない。そんな中で、この回は、犯人との距離感などの雰囲気においても、トリックとその解き方においても、初期の良さを引き継いでいる。全体を通して心地良い逸品。
黒岩博士の恐怖(緒形拳)[スペシャル4・第27回]
トリック自体はそこまで大したものでは無いし、古畑さんもすぐに見破っている。その代わり、最終的に犯人が犯行を認める所まで追い込む過程に時間が割かれ、そこでの田村正和と緒形拳との間の駆け引きが素晴らしい。八嶋智人初登場回でもあり、大活躍。
今、甦る死(藤原竜也・石坂浩二)[FINAL・第40回]
金田一俳優として知られる石坂浩二が出演、という段階で豪華なのに加え、随所に見られる金田一オマージュ、飽きさせない展開、大どんでん返しなど、「サスペンス」としての古畑の最終回とすら言える、圧巻の名作。とにかくクオリティが高過ぎる。
さよなら、DJ(桃井かおり)[第一シーズン・第11回]
とにかく、桃井かおりが素晴らしい。犯行の瞬間、DJというキャラクター、疑念に対するあしらい、全てにおいて完璧。古畑さんが仕掛ける罠も、コミカルにして脱力感のあるもの。トリックと人間味の融合が味わいである古畑の良さを、これ以上満喫させてくれる作品は、他には無いと思う。

以上、12作品でした。玉置浩二が犯人の「追いつめられて(雲の中の死)」はどうしようもない駄作、と我が家で見解が一致していますが、他の作品ならどれも楽しめるとは思います。

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