神戸空港2022年度利用者数311万人まで回復するも、神戸市の人口は減少

2022年度に神戸空港(国内線のみ就航)を利用した人の数は、311万人で、2021年度よりも77%増加した。

これは、過去最高となった2019年度の329万人の95%に相当する。


関西3空港2022年度利用者数

神戸空港(国内線)311万人
伊丹空港(国内線)1,299万人
関西空港(国内国際合計)1,149万人
うち国際線(513万人)
うち国内線(636万人)


神戸空港の利用者数はコロナ前(2019年度)の95%まで回復する一方で、2023年4月1日現在の神戸市の人口は1,501,678人と前年比-7,318人の減少となった。


神戸空港に経済効果はあるのか?

神戸空港の勤務者数

神戸空港(従業員数)1,069人
事業所数34
事業所勤務者年間給料合計(推定)53億円
年間空港利用者数(2019年度)3,292,298人

出典 関西エアポート(2018年12月1日時点)


神戸空港の勤務者は約1,000人なので、神戸市の1年間の人口減少数7,300人を補うほどの経済効果はない。


まとめ

  • 神戸空港の雇用創出効果は1,086人

  • 神戸空港の直接経済効果(売上高ベース)は年間257億円

当ブログの試算では、神戸空港は「従業員1,000人、売上高250億円程度の中型ショッピングモール程度」の経済効果しかないと思われる。

「直接の経済効果」以外に神戸空港を利用する観光客などが神戸市内で支出する「波及効果」がある。

しかし、関東圏からの観光客も新幹線の方が便利なので「神戸空港」がなくても不便ではない。

また、神戸空港の利用者の半数以上は他府県民と予想される。

例えば大阪府民は神戸三宮を素通りして「神戸空港」に直行するので神戸市内への波及効果は限定的だ。

そもそも、神戸市の人口は150万人しかいないし、新幹線駅の「新神戸駅」があるので、航空需要は極めて少ない。

日本人は平均で飛行機を3年~5年に1回程度利用する。

したがって、神戸市民が1年間で飛行機に乗る人数は30万人~50万人と推定される。

往復利用するとして、神戸市民の飛行機の利用回数は年間60万回~100万回と予想される。

神戸市民が1年間に100万回利用するとしても、2019年の329万回の3分の1以下でしかない。

当然、神戸市民の利用だけでは、空港経営が成り立たない。

大阪府民や徳島県民が航空運賃の安い神戸空港を利用しているから、神戸空港が運営できているにに過ぎない。


空港利用者数予測

神戸市の試算では2030年の空港全体の利用者数は700万人で、国内線は510万人、国際線は190万人となっている。

神戸市の人口は150万人だが、年間利用者数予測では180万人となっている。

神戸市民と神戸を目的地とする他府県民90万人が毎年1往復する試算だと思う。


今後の予想

神戸空港の利用者が311万人になっても、神戸市の人口減少を食い止めることできなかった。

神戸空港の利用者が増加するとなんとなく「神戸経済」が上向くという「ふんわりとした期待感」がある。

しかし、実際には神戸空港利用者は神戸三宮を素通りしているので「経済効果」は少ない。


神戸市の負担

神戸市は、神戸空港国際化のために253億円~283億円の税金と投入する。

さらに、三宮=神戸空港の地下鉄延伸も検討されているが、1km当たり400億円で試算すると路線長8kmで3,200億円の建設費がかかる。

神戸市の最重要問題は人口減少なので、神戸空港よりも人口減少対策を優先した方が、神戸市の発展に寄与するのではないか?

少なくとも神戸市は、神戸空港国際化のために253億円~283億円の税金と投入して、神戸市の人口が何人増加するかという予測値を公表すべきではないか?


神戸空港国際化費用(神戸市試算)

項目費用駐機スペースの舗装、航空灯火など143億円駐車場や構内道路などの付帯工事費50億円新たなターミナル整備費60億円~90億円既存ターミナル整備費未定・関西エアポート神戸(株)と調整中合計253億円~283億円


関西全体が発展する方法

10年前までは、国際空港と言えば、日本人が海外に出国するための空港であったが、2023年現在、海外のインバウンド客が日本に入国する空港と位置付けるべきだ。

2019年現在、大阪のインバウンド消費は年間1兆3248億円に上る。

海外客には、大阪が人気の観光地であるため、関空を強化することが関西全体の発展に寄与するのは明らかだ。

神戸はインバウンド客が少なく、神戸空港を国際化しても、結局、インバウンド客は大阪や京都に行くので、インバウンド客にとっては不便な空港となる。

神戸空港の国際化はインバウンド客にとっては大阪や京都への移動が不便であり、また国際線の便数も少なく搭乗待ち時間が多くなる。

そのため、関西での滞在時間が短くなり、インバウンド消費額が関空利用者よりも少なくなると予想される。

関空からは大阪や京都に電車1本で行ける。

神戸空港からは有料特急もないし、富裕層の取り込みも期待できない。

結局、神戸空港を国際化しただけでは、経済効果は期待できない。

神戸空港を国際化し、関西全体に寄与するためには、大阪や京都への直通列車を運行する必要がある。

また、神戸空港のアクセス手段であるポートライナーは朝夕は混雑して乗れない。また、車両が小さく、大きなスーツケースを持つ外国人には不便。

神戸空港を国際化するとポートライナーは大混雑で通勤地獄となる。そのため、ポートアイランドの企業も大阪・梅田にオフィスを移転するかもしれない。


神戸空港サブターミナル

神戸空港国際線は、今後建設される「サブターミナル」を利用する。

このサブターミナルは現在のポートライナー神戸空港駅からバス移動で、2階建で、ボーディグブリッジなし、国内線と国際線が就航する。

関空T2と似ており、LCCのピーチが就航する可能性があると思う。

その結果、運賃の安いピーチの利用者が増加すると、スカイマークの利用者が減少する可能性もる。

一時期、関空にスカイマークも就航していたが、ピーチとの価格競争に敗れ関空から撤退している。

もしかすると、神戸空港でも同じことが起こるかもしれない。


インバウンド消費額(大阪)

神戸市は神戸空港を国際化すると、インバウンド消費額がいくら増加するか具体的数字を示すべきではないか?

もし、神戸のインバウンド消費額が大阪を上回るのであれば、神戸空港の国際線を強化すべきだと思う。

しかし、神戸のインバウンド消費額が少ない場合、神戸空港の国際化は関西全体のインバウンド消費額を極大化することはできない。

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