2023年4月統一地方選、日本維新の会、東京都内で「都民ファースト」よりも多数当選した理由

2023年4月統一地方選で、日本維新の会は東京都内で「都民ファースト」よりも多数の議員が当選した。

維新は大阪だけというイメージだったので、東京都内の維新の躍進は意外だった。

その理由を考査してみます。


2023年4月統一地方選(東京都内)の結果

政党当選した地方議員数日本維新の会67人都民ファーストの会44人


維新が無党派層を獲得

自民党も嫌だが、立憲民主党も嫌という無党派層が受け皿として「日本維新の会」に投票したとされる。

しかし、それだけここまで「日本維新の会」が躍進するだろうか?

もう少し深堀してみます。


練馬区議選(定数50)公明4人落選

今回の統一地方選で特徴的だったのが、練馬区議選(定数50)で公明党の候補者11名のうち4名が落選したことだ。

公明党は、「票割り振り」を実施して、全員当選を目標としてきただけに、何からの異変があっと推定される。

「票割り振り」とは、例えば当選ラインが2,000票のときに、1名が1万票を獲得しても1名しか当選できない。しかし、5名がそれぞれ2,000票を獲得すれば1万票で5名が当選できる。

公明党から4名が落選したということは、当選ラインが予想よりも高くなったからだ。

実際、最低当選票は公明党「柳沢よしみ氏(50位)」の2,947票で、51位(2,917票)~54位(2,878票)と公明党の候補者が並んでいる。50位の当選者と54位の落選者の差は69票でしかない。

つまり、公明党の予想よりも当選ラインが数十票上がったと思われる。

これは、普段は投票に行かない無党派層が「日本維新の会」に投票した結果だと思う。


2023年4月練馬区議選(定数50)党派別議員数(当ブログまとめ)

党派名議員数得票数(当選者のみ)小数点以下切り捨て
自由民主党15名64,930票
公明党7名23,314票
立憲民主党6名23,613票
日本共産党5名19,649票
日本維新の会3名15,007票
都民ファーストの会3名12,794票
練馬・生活者ネットワーク2名8,430票
国民民主党1名9,573票
参政党1名3,547票
れいわ新選組1名4,344票
つながる市民・練馬1名6,522票
無所属5名29,432票

当選者の得票数の集計ではあるが、日本維新の会は15,007票、都民ファーストの会と「日本維新の会」の方が得票数が多い。


東京の生活は苦しい?

2023年は光熱費が2割~3割値上がりし、食料品価格も2割~3割上昇している。

生活費の上昇が、自民党に対する批判票となり、有効な政策を打ち出せない都民ファーストに対する期待外れ感から「日本維新の会」が得票数を伸ばしたのだと思う。

つまり、維新が東京都内で躍進したのは「期待感」だけであって、維新が東京都内で有効な政策を打ち出せないと「都民ファースト」のように見放されると思う。


時給1,100円で東京の生活費を試算

東京の最低賃金は1,072円(2023年)だが、1,100円で東京都内の生活費(単身世帯)を試算してみます。

月収(1日8時間×21日)184,800
厚生年金保険料20,000
健康保険12,000所得税・住民税8,000
(手取り給料)(144,800)

家賃70,000
食費30,000
衣料品10,000
光熱費10,000
日用品5,000
交通費5,000
スマホ・通信・家電5,000
小遣い10,000
収支-200円(赤字)

時給1,100円というと高いイメージあるが、具体的に試算してみると、ぎりぎりの生活しかできない。

そこに、光熱費や食料品や2割~3割値上がりすると、赤字幅が大きくなる可能性もある。

しかも、最近は大学へ行くのに奨学金を平均320万円借りており、その返済は平均毎月17,000円となっている。

自民党の岸田政権は今後大幅に増税をすると考えられており、東京都内の労働者の約34%の非正規労働者約232万人(令和3年)の生活はかなり厳しくなると予想される。

維新の会は大阪が中心であるが、東京都民はそんなことを気にしている余裕はなく、自分たちの生活を維持するために「日本維新の会」に投票すると思う。


初任給18万円?

時給1,100円の非正規労働者の月収として試算したが、地方の大卒なら初任給18万円、手取り14万円ってよくあることだと思う。


大阪自民の崩壊が自民党全体に及ぶか?

自民党長期間政権は、中小企業などの経営者を支持者にもっており、賃金を低く抑える政策をとってきたと思う。

中小企業というと儲かっていないイメージがあるが、特に地方など安い人件費で大きな利益をあげている中小企業も多い。

実際、国際線のファーストクラスに乗っているのは中小企業経営者が多い。

日本を代表するような巨大企業でも部長クラスならビジネスクラスを使うことが多い。

5年~10年のスパンで考えると、自民党政権の終わりは意外にも近いかもしれない。

大阪では、東京よりも先行して自民党の崩壊が始まっているに過ぎない。

自民党本部は、大阪自民を直轄にするのではなく、大阪自民の崩壊の原因を反省し、自民党自体を自ら改革しない限り、自民党に明日はない。

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