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ディメンションリストを作る

 人材アセスメントを実施する時、運営に当たる人事担当者は、まず「ディメンションリスト」というものを作ります。

 これは人材アセスメントの中で評価しようとする「能力」の一覧表のようなもので、それぞれの会社の中にある「職能要件書」や「役割定義書」あるいは「ジョブディスクリプション」などというものを、評価用に置き換えたものがほとんどですが、こういう仕事を請負う業者(ぼくらみたいな連中)は、だいたい自前でオリジナル的なものを用意していたりします。

 「ディメンション」と言う言葉は、次元とか面積とか区分とか、そんな意味らしいのですが、人材アセスメントでは「能力要件」という日本語に置き換わります。

 判断力とか、指導力とか、問題発見能力とか、リーダーシップとか、まあ表現の仕方も分類のしかたも様々。企業の数だけ分類方法がある、と言ってもいいように思います。

 とにかく、まず最初にこれを作ります。人材をアセスメントしようとするわけですから、その評価基準がなければ始まらない、というわけです。

 人事の人と話をして、決めていくわけですが「本当に人事は大変だ」と思うことが多いのもこの段階。ぼくら外部のアセッサーと話をしながら、ディメンションの原案を作り、社内に帰って上司に報告をし、場合によっては上層部の会議に上程をし、意見をもらい、決定をし・・といくつかの段階を踏んで決まっていくのですが、まあ~決まらない。

 「船頭多くして舟山に登る」というたとえ話がありますが、人は必ず人の子であり親なので、育成や教育には誰もが一家言を持っています。

 だから言う!だから決まらない!

 そうですか。大変ですね。では再検討しましょう。と話を引き受け、続けますが、だんだん顔色の悪くなる担当者を見ているのはツライ時があります。何度も何度も行ったり来たりを繰り返し、結局、最初の人事案に戻ってくるということは、そんなに珍しいことではありません。

 昔、先輩が「サラリーマンは坊主といっしょ。日々是修行。理不尽の中に真理を見出す。悟りは定年とともにやってくる」と花束を抱き、後輩の拍手と涙と笑顔とお辞儀の中、満面の笑顔を浮かべ何も言わずに職場を去っていかれたことを思い出します。

 とにかく最初に「ディメンションリスト」を作る。あ~大変。

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