雨といえば

雨の音を聴くと思い出す、この曲
DJ OKAWARIの「Bluebird Story」。

彼がそのように言うまでは、むしろわたしはこの曲を、すこし湿度のある夜の密林、葉の間から見えるすこし欠けた黄色い月と想像していた。だいぶ野生的な想像だった。
しかし当時付き合っていた恋人にこの曲を聴かせたところ、彼は言った。
「あなたと、雨の降る暗い昼間に、網戸を開けて生暖かい空気が行き来するこの部屋で、布団の上で、この曲を聴きながら、あなたに殴られた頬をその手で撫でられていたい」

彼の手がこの旋律を奏でるのを聴くことなく私たちは恋人ではなくなってしまったが、彼は思い出してくれたりするのだろうか。

ちゃんと、もう好きではない。
でもあの頃好きだったのは本当のこと。
この曲をきくと、口の中が青く苦くなるのも本当のことだ。

雨の音をきいて、思い出してくれたら良いなと思う。そして2日ばかり、思い出に囚われてくれてもいいように思う。

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