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「血液検査の結果がオールAだったから健康!」は間違い。基準値は正常値ではない。【7分解説】

「血液検査の結果がオールAだったから大丈夫!」

あなたがもしこういう風に考えているのであれば、単刀直入に言って恐縮だが、間違っている。

あなたの血液検査の結果が、検査会社が決めた「基準値」の範囲内に入っていたから「A」という判断になっただけなのである。

実は、「基準値」と「正常値」はまったく違う意味だ。

ここでは「基準値」と言われているものが一体何を指しているのかについてや、基準値の賢い捉え方について、たった7分で解説する。

基準値とは何か


簡単にいうと、健康と考えられる100人のうち上下2.5人ずつを除いた中間の95人が含まれる範囲。

『花粉症は1週間で治る!』
溝口徹

私たちが「基準値」と呼んでいるものは、「たまたま多くの人の値が収まっている範囲」という意味だということが分かる。

更に、知っておいた方が得な点が2つある。

1)血液検査の検査会社の母集団の少なさ

日本にはいくつかの検査会社がある。これらの検査会社は自社が持っている検査機器ごとに「基準値」を設定する。

この時、より参考になる基準値を設定するために、なるべく多くの人間の血液検査データを調べる必要がある。極端なたとえ話をすると、100人からデータを取った方が10人からデータを取った方より「基準値」として参考になりそうだと想像できると思う。

ただ、実際のところ、それぞれの検査会社が多くのボランティアを募ることは難しい。

基本的に、その検査会社の社員のデータを取り基準値を設定することが多い

例えば20人の平均値から叩き出された「基準値」が基準として参考になるのか?あるいは「正常値」とみなせるのか?

あるいは、もし閉経前の女性社員が多い検査会社だったらどうか。毎月、生理で鉄を失っているので、平均的に鉄分の値が低く出るだろう。

このように実際には「基準値」は検査会社の社員の年齢や性別によって変わるので、とても曖昧なのだ。

2)参考にしている基準値自体が、あなたの理想の状態と合致していない可能性

ちょっと遠回りに思えるかもしれないが、この話を先にした方が理解が早いと思うので、1つ例え話をさせて欲しい。

例えばあなたがフルマラソンに挑戦するとしよう。この際、目的を「完走する事」に置くのか、それとも「〇〇大会で10位以内に入る事」に置くのかで、目標タイムが変わるのは当然の事だ。

前者はフルマラソンを遊び的に捉えているのに対し、後者は競技で勝とうとしている。もちろん目的そのものに優劣は無いので、自分が理想とする方を目的として練習に取り組めばよいのだ。

さて、血液検査の「基準値」も同じ事が言える。

ビタミンDの血中濃度を例にして説明する。日本人のビタミンDの血中濃度は、通常10~30ng/ml付近だ。※1

それに対し、日本の検査会社であるH.U.フロンティア株式会社が示している基準値は下記の通りだ。※2
ビタミンD欠乏 20.0ng/mL未満
ビタミンD不足 20.0~29.9ng/mL

この時点で、何も対策していない平均的な日本人の多くは、1つの検査会社の基準だと「ビタミンD不足」という判断になる。

ちなみに、補完代替医療の権威であるACAM※3によると、ビタミンDの血中濃度の推奨範囲は50~80ng/mlである。

つまり、ビタミンDの血中濃度についてまとめるとこうなる。

ビタミンDの欠乏や不足状態にならないようにしたい→29.9ng/mL以上必要
花粉症やがんなどの病気の予防・対策をしたい→50~80ng/mlが必要

いかがだろうか?

1つの検査会社が設定した「基準値」は、ちょっと参考にする程度のもの。必ずしも自分のデータが基準値の範囲内でA判定だったから「正常」とは言い切れないのだ。

検査会社の基準値判定ではなく、主観を参考にするのがおすすめ

血液検査の結果がオールAだったからと言って「自分は健康なんだ!」と思うのはあまりにも早計。

あなたの主観で、どこか体調が万全ではない所があるのなら、それはあなたにとってオールAの状態ではない、ということだ。生活習慣を変える等して、不調を改善していくことをおすすめする。

血液検査の結果自体は、オーソモレキュラー医学を学んだ医師に見てもらえれば役に立つ。血液検査の数値も良くしたい方は、ぜひ専門医にかかってみてはいかがだろうか。

参考

このnoteは主に下記の本の104~105ページを参考にしました。
『花粉症は1週間で治る!』溝口徹
https://amzn.to/3FBsUB7

なお、複製・翻案とならないように自分の言葉で解説することに努めています。著者の権利を侵害する意図はございませんが、もし目が行き届かない点があり削除依頼等をご希望の場合は、コメント欄よりお知らせ頂けますと幸いです。ご面倒をおかけして申し訳ございませんが宜しくお願い致します。

※1
日本人のビタミンD不足・欠乏の実態骨および種々の疾患リスクとの関連、津川 尚子
大阪樟蔭女子大学健康栄養学部健康栄養学科
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=1505

※2
25OHビタミンD (骨粗鬆症)、SRL総合検査案内
https://test-guide.srl.info/hachioji/test/detail/001520902

※3
Advances in Complementary & Alternative Medicine
https://crimsonpublishers.com/acam/

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