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ロジック図解実践:重複するフレーズに注意

今回は「重複するフレーズに注意」というテーマです。ロジック図解をするときによく使うちょっとしたコツのひとつです。

エンジニアの仕事の中で、メリットとデメリットを比較する場面はよくあります。そこで、たとえばこんな表を作る機会もあることでしょう。(クラウドやオンプレミスという言葉を知らなくてもこの先の話はわかるので、専門用語は気にせず読んでください)

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うんうん、よくあるよねこういうの。それが何か?

と思ってしまったら要注意。実はこの書き方はあまり良くない、ということに気づいてください。何が問題なのかを知るために、重複するフレーズを色分けしてみましょう。


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サービス仕様、スケーラビリティなど、「2回以上出てくるフレーズ」がたくさんありますね。ロジック図解の中でこういう、何度も出てくる「重複フレーズ」があったら要注意。こういう書き方をしていると比較しにくいので、実は「メリット/デメリット」ではなく、項目ごとに分けた方がいいのです。つまり、たとえばスケーラビリティにだけ注目すると

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・・・と書くのではなく、


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・・・と、「スケーラビリティ」という項目を立ててしまう方が比較しやすいわけです。その際、「低い/高い」という言葉だけでなく、○×のような記号を使うこともよくあります。

全体をこの方法で整理すると、最初の表はこんな形で書き直せます。

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このほうが、どの項目についてどう評価しているかがわかりやすいですね。

こうして数が増えてくると○×のような記号を使う意味も理解しやすいことと思います。たとえば「導入しやすさ」であれば「高い/低い」の「高い」ほうが望ましいのに対して、「初期費用」なら「高価」なのは望ましくありません。つまり「高/低」といった文字だけではそれが良いのか悪いのかをひと目で読み取れないので、良否評価は共通の表現で表せるように記号化(例えば〇×を使う)したほうが良いわけです。

さらに別な効果もあります。

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たとえばオンプレミスの「WAN回線負荷」の欄は空白になっています。つまり元の資料では情報がモレていたわけです。「初期費用」という項目に目がいけば「あれ、ランニングコストは? 書いてないの?」とそっちも気になることでしょう。つまり項目を分けて書くと「情報モレ」に気づきやすいです。

さらに、〇×記号にたとえば◎や△も加えれば、多段階評価もわかりやすく書けますね(★★★のように星の数や「ABC」あるいは「1,2,3」という数値そのもので多段階評価をするケースもあります)。


ところで、「解説記事」のひとつの典型的パターンに、選択肢(オンプレミス、クラウド)ごとに「メリット/デメリット」を挙げていく下記のようなスタイルがあります。

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こういう、よくある解説記事スタイルの文章をそのままコピペすると、最初に挙げたような表が作れてしまいます。だからこの種の解説記事を元にして比較表を作る際はうっかりやってしまわないように注意しましょう。

というわけで今回の教訓は以下の3点です。

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おっと、2番目の「言い換え」の話を書いてませんでした。

たとえば文章の中で

初期費用が安い/初期費用が高い

のように同じ表現を使っていれば「重複フレーズ」を発見しやすいのですが、

初期費用が安い/イニシャルコストが高い

のように「言い換え」をしているとそれだけで重複フレーズを見つけにくくなります。そのため、ビジネス文書、技術文書ではこの種の言いかえは極力避けるべきなのですが、現実には言いかえのある文書が非常に多いので、読む側が注意して気づかなければいけないわけです。

以上、「重複するフレーズに注意」でした。

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