GAINはノイズを減らすためのものです【配信の声を大きくする方法 #3】
皆さんこんにちは!今日もVTuber様のオーディオトラブルを解決しまくり!怪傑姫(かいけつひめ)です。
今回は「配信の声を大きくする方法」の第3回です。
配信や通話で「声が小さい」と言われた時、あなたはどこを操作して音量を上げていますか?オーディオインターフェースのGAIN、DAW等やエフェクトのボリュームフェーダー、OBSのゲインなど何か所かありますよね?
DAWのボリュームやOBSのゲインで音量を稼ぐのはアリですが、
オーディオインターフェースのGAINはやめて下さい!
たしかにオーディオインターフェースのGAINを上げても音量は上がります。
実はココが初見殺しというか、オーディオ機器の扱いを難しくしている所なんだと思います。
そもそもGAINって何?
そもそもオーディオインターフェースやミキサーのGAINとは何なのでしょうか?機材を触りたてのミュージシャンでさえ、曖昧な解釈でここを適当に処理している人が多くいます。
ましてや、オーディオ機器の知見がないVTuberともなればなおさらですね。
チャンネル1のGAINでもフェーダーでも声の音量が上がるので、「ある程度音量が上がるまで」といった基準でなんとなく設定していませんか?GAINとフェーダーは役割も設定方法も明確に違うものです。その違いと設定方法をこの機会にしっかりと習得しましょう。
STREAMING OUTをINPUT MIXに設定したAG03mk2を例に説明します。AG03はミキサー内蔵なので少し特殊ですが、全てのオーディオインターフェースに通じるオーディオ機器操作の原則をお話しします。
GAINというのは音の歪み具合を決定するものです。「歪み(ひずみ)」というのはオーディオ業界の用語で、音割れの事を指しています。
余談ですが、ギター業界ではこの歪みを好意的に解釈し、積極的に取り入れています。
ギターアンプへの入力を上げ過ぎて、事故で音割れしてしまったのが起源と言われていますが、その音があまりにも魅力的だったため、今となっては「ロックは歪みサウンドありき」と言っても過言ではない状況になっています。
一方、声が音割れしてしまうのは完全にアウトです。ギターアンプで強烈に音割れさせたドライブサウンドと、オーディオインターフェースやソフトウェア上で音割れしてしまった歪みは完全に別物です。
後者の事故的な音割れは、聞く人を不快にさせてしまうので、なんとしても防がなければなりません。
GAINが付いているオーディオ機器には、PEAKやCLIPという名前の赤いランプがあります。このランプは、そのチャンネルに入った音が、音割れの臨界点を超えた瞬間に点灯します。
なので、GAINの正しい設定はこの赤いランプを目安に調整するという事を覚えておいて下さい。
PCに送られる音の種類
GAINを調整する前に、オーディオインターフェースがPCに送る音の種類を説明します。
1.声
本来PCに入力したい音そのものです。これが信号の100%を占めるのが理想ですね。
2.環境音
エアコン、扇風機、PCの作動音、マウスのクリック音、キーボードの打鍵音、壁の反響音、屋外の車両走行音や犬の鳴き声など、本来マイクに入って欲しくない音全てです。
3.残留ノイズ
実はオーディオ機器には、チャンネルにマイクなどを接続していなくても、機器自体が発しているノイズというものがあります。
本来であれば、何も接続していないチャンネルのGAINを上げても、無音のままのはずですが、実際には「サー」というノイズが大きくなっていきます。これは、オーディオ機器の構造上どうしようもないもので、これが0にならないのはあなたのせいではありません。
また、このノイズには接続機器や電気の宅内配線なども絡んでくるため、このオーディオインターフェースはこう、といった事が一概には言えず、対処が難しいものでもあります。
では、これらを踏まえてGAINの設定方法を説明していきますね。
GAINの設定方法
マイクを接続しているチャンネルのGAINが9時の時に声が10、環境音が10、残留ノイズが10だとします。そして、音の総量が100に達した時にPEAKが点灯するとします。
本当に何も分からず適当に設定してる場合は、信号自体も小さいし、ノイズの比率も高い。というどうしようもない音声が出来上がってしまいます。
PCには出来るだけ大きな音を入力したいので、PEAKが点灯するギリギリまでGAINを上げていきます。GAINを3時まで上げた時にPEAKが点灯するとします。すると大体、声が33、環境音が33、残留ノイズが33になります。
GAINが信号の66%を占めているというとんでもない音質の声になってしまいました。この状態でボリュームを下げてもノイズの比率は変わりません。PC内部での処理も、この状態の音声が大きくなったり小さくなったりするだけです。
いかに近年のノイズ抑制が優れていると言えども、これだけのノイズを綺麗に除去するのは不可能と言って良いでしょう。また、ノイズをある程度取り除けたとしても、残るのは小さな声なので、どこかで音量を稼ぐ処理を行う必要があります。
エフェクトのプラグインを追加すればするほど処理は重くなり、遅延の原因になりますし、音割れが発生した時に疑うべき箇所が増えてしまう事も考えると、良い事は一つもありません。
ノイズを減らす方法
それでは、どうやってこの状況を改善すべきかをお教えしましょう。
声を大きくする。
配信の声を大きくする方法の記事の中で、「声を大きくする」というのはトートロジーで、まるで小泉構文じゃないか!と思いますか?私が今言っているのは、配信に乗る声ではなく、マイクに入れる声の大きさの事です。
つまり、マイクに入れる声を10より大きくする事で、相対的にノイズを下げるという手法です。方法は2つあります。
・発声はそのままで、口をマイクに近づける。
→ASMRはこれに当たります。
・大きく発声する。
→第2回の動画でお伝えした「オンの声」ですね。
まず1つ目の対策を行ってみて、まだ音量が稼げなければ2つ目。という順番をおススメします。なぜなら、地声の大きさに関わらず、マイクと口の距離は近い状態が望ましいからです。
マイクと口が遠いと、環境音に負けないためにとても大きな声を出さなければならず、壁の反響が発生するリスクが高まるからです。また、マイクの種類にもよりますが、口との距離が離れれば離れるほど、声の低音域が収音しにくくなります。
声の帯域を扱うエフェクトはありますが、本来入っていない音を後から生み出す事は出来ません。
出ている帯域を一旦全てありのまま収音しておいて、不要な部分を後でカットするというのが音声処理の基本です。帯域の話は専門性が高くなりますし、私が何を言っているのか既に分からないという人もいると思うので、この記事ではこれぐらいにしておきます。
それでは、いよいよGAINの調整でノイズを減らす設定の説明に移りたいのですが、今の時点で記事が3,000字を超えているので、一旦ここまでにして、続きは次回の記事に回したいと思います。
今回のお話は以上です。Xでも日々配信環境にまつわる情報を発信しているので、是非フォローして下さい!
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