カメラと私 ②
写真がデジタル化して、地方のカメラ屋さんは一変した。
壊れたデジカメを修理に出そうと店を訪れると、ほとんどのお客さんは若い女性で、1人ひとり、昔のデスクトップのパソコンi-mac(2000年ごろのアップルコンピュータのパソコン)のようなモニター画面の前に座って操作(デジタル加工)をしているのには驚いた。
というのも、わたしの知っている昔のカメラ屋さんでは、お客さんの多数派はアマチュアカメラマンの中核をなすおじさんたちだった。
ニコンやキャノンの最新の高級一眼レフや各種交換レンズ、ポジもネガのフィルムを各種取り揃え、ニースにこたえていたものだ。買う場所から加工処理する場所に変わったみたいだ。
デジタルが市場を凌駕する直前まで、日本で製造されるカメラもフィルムの品質は最高の域に達していたような気がする。
特にフジの35ミリフィルムは、ポジ、ネガとも撮りたい対象に合わせて色合いとかに特徴が出るよう種類がとても豊富になっていた。ニコンやキャノンの高級一眼レフカメラも、レンズ別で20万円、30万円の最新機種が威容を誇っていた。
崩壊寸前のバブルのような風景だった。それらは、突如、市場から消え去った。
デジタル時代に入って、わたしも、カメラ屋さんに行かなくなっていた。
カメラもブログに掲載する写真を撮るために必要だったので一台持ったが、買ったのは電気屋さんだった。けれど、昔撮った写真のフィルムのデジタル化について相談するついでがあったので修理の依頼は写真屋さんだった。
店内を見回すと、昔と比べ、店頭にある一眼レフカメラの品数は少なかったが、フィルム時代に使っていた機種がキャノンなのでおのずとこのメーカーのカメラに目が行った。その中の1点に店頭展示品限り99,900円という値段がついてた。eos-kissではないし、かなり高級な雰囲気がする。eos-7D Mark Ⅱとある。カタログを見ると動きを一瞬に切り取った迫力あるシーンが満載だ。
「店頭展示品限りということは、モデルチェンジ前ということ? もとはいくらぐらいしたのですか?」と、店の人に聞いてみた。
20万円ぐらいしたそうだ。発売後、それなりに日がたっているということだ。しかし、これで99,900円ならお買い得じゃないかなあ?と思う。
ついでに前から知りたいと思っていたことを尋ねてみた。
「eos-1Dは、フィルム時代のeos-1の後継機?」「いくらぐらい?」。「新聞記者はeos-5を使っているようだけど、7とはどう違うの?」。
すると、店の人は、「ファインダー機は、いろいろと複雑になりまして・・・」とA4の紙に書いて説明してくれた。
まず、eos-1は、70万円から80万円ぐらいすると聞いて、驚いた。これは論外。
系統として「1」と「5」と「6」は写る画像がフルサイズといって、従来のカメラの系譜にあるが、「7」はeos-kissやeos-90ともに「APS-C」という従来型の3分の2ほどのサイズのスペースに写りこむため、従来の28ミリの広角レンズの域を撮るには18ミリのレンズの領域になることなど、いろいろ違いを書いてくれた。もう一つ、別系統に、ミラーレスというタイプもあるということだ。
ということは、元は20万円の99,900円のeos-7D Mark Ⅱは、APS-Cということになる。わたしが昔なじんだカメラとは異なるカテゴリーということになる。わたしがなじんだフルサイズの世界は「5D」に近いのだろう。
修理に出したカメラは、メーカーの修理対応期限は切れているということでまだ修理が可能か返事はこない。修理ができないとなればどうするか。
eos-7Dには値段からいって興味がひかれる。
しかし、「走るもの・動くもの・飛ぶもの」(レーシングカー・新幹線・動物・鳥・飛行機等々)に強いようだ。しかし、わたしはいままでそのような写真は撮ったことがない。まあ、わたしが撮るような動きのない世界(風景、人物、街などのスナップ)とは大きく異なる。だが、わたしの腕で撮れる写真なら、どんなカメラでも対応可能だろう。
久々にカメラに興味を持ってしまった。
そしてなにより、カメラのことを語れる店員さんがいたことがうれしかった。
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