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小さなカミナリ

概要

還元剤と酸化剤の電子の交換によって発生する熱がメタノールを引火させて光(雷)を発生させる。
本当の天気で見る雷の原理とは少し異なる。


試薬

実験: 濃硫酸(H2SO4 95%)、メタノール(CH3OH)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)
処理: 過酸化水素(H2O2 30%)、水酸化ナトリウム(NaOH)


使用器具

試験管、2mlピペット, 5mlピペット, 10mlピペット、 薬さじ(×2)
スタンド、水槽、試験管立て


実験手順

(実験)

0.ゴーグルと手袋をつけて水槽の中に水を入れ、スタンドに試験管をセットする。
1.硫酸を3ml試験管の中に注ぐ
2.ゆっくりとメタノールを6ml試験管の中に注ぐ
3.試験管に少量の過マンガン酸カリウムを加える緑の七酸化二マンガンが
4.しばらくすると上下の2つの層の間にパチッという音とともに光が発生する

(処理)

1.    試験管の中に過酸化水素2ml注ぐ。この時に小さな煙が発生する。
2.    二粒ほど水酸化ナトリウムを加える。このときも同様に煙が発生し、


原理説明

※noteの仕様上、イオンの正負符号などを小文字で表記できていません。
 気になる方は、PDF版をご覧ください。

過マンガン酸カリウム(KMnO4)を試験管の中に入れると、過マンガン酸カリウムと濃硫酸(H2SO4)が反応して、緑色の七酸化二マンガン(Mn2O7)が生成される
 
KMnO4+ 3H2SO4→ K++ MnO3+ + H3O+ +3HSO4-
KMnO4→ K+ + MnO4-
MnO3+ + MnO4- → Mn2O7
 
七酸化二マンガンは酸化剤(他の物質から電子を奪う)でメタノール(CH3OH)は還元剤(他の物質に電子を与える)ので、この2物質の間で電子のやり取りが行われる。
 
Mn2O7 + CH3OH → 2MnO2 + CO2 + 2H2O
この電子のやり取りによって発生した熱によって、気化したメタノールが発火し、小さな爆発が起きる(雷)。
 

補足

ちなみにこの小さな雷の実験が本当の雷とは異なる。実験では電子の交換によって発生した熱がメタノールを引火させて、爆発が起きた事によるものである。
 
よく見る雲の雷の方は…
1.    湿った空気が上昇して上空で大きい水滴の塊(雲)となる
2.    雲の中に氷ができ、上昇し大きくなってゆく
3.    上昇気流が重力に負けて氷の粒が下降を始める
4.    3より下降する氷の粒と上昇する粒が衝突し、帯電する
5.    4より地面にプラス電荷が貯まる
6.    雲が大きくなりプラス電荷とマイナス電荷が大きくなり、空気が耐えられなくなったときに放電が起きるのが雷
 

Step 3&4


Step 5
Step 6


図の出典: 「雷が発生する仕組み」https://www.otowadenki.co.jp/knowledge_mechanism/
 

このように電子が作用しているは同じだが、光の発生の仕方が異なる。


参考文献

・化学部部誌No.23
・「雷が発生する仕組み」https://www.otowadenki.co.jp/knowledge_mechanism/


KCC Quiz 小さな雷反応編

Q1.七酸化二マンガンを加熱したらどうなるでしょう?
①    爆発+その他 ② 何も起きない ③ 緑色が濃くなる ④蒸発する

Q2.硫酸の雨が降るところはどの惑星でしょう
①    地球 ② 金星 ③水星 ④デス・スター

Q3.雷のエネルギーを使用したら何日分の電気代になるでしょう
①    30日 ② 45年 ③ 1.73年 ④ 50日



答え Q1.① Q2.① Q3.④

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