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「天才万博」の会場を作る chap.,1

2018.10.23 投稿


大事なことだから先にいうね

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空間デザインをするうえで心がけていること。
それは、

今の状態のいいところを活かすこと。

建築でもイベントでも庭でもなんでもそうなんだけど、
テーマやコンセプトがあったとして、
それらを空間に押し込んでいくというよりも、
まずその場のいいところを見つけてテーマを絡めていく手法。

天才万博は、会場が東京キネマ倶楽部なんだけど、
ここは2階席、3階席のテラス、
それとサブステージが中央のステージとホールを囲むような構成なんですね。円筒のような感じ。

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お客さんは2階で受付して、
螺旋状の階段をおりてホールに入ってくるんだけど、
ここまで会場の中の様子はわからず、
ホールにおりてステージのほうに視線を向けると低い天井の先に、
上のほうに吹抜けていく空間を感じるようなつくりになってます。

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狭い感じのところから広いところにでると
気持ちがオープンになりますよね?
しかもそれが思ってたより(2階くらいの高さより)も高いもんだから
余計にワーってなるんです。

これがキネマ倶楽部の一番のいいところ


もっというと2階の受付は建物上は6階にあたり、
2台のエレベーターしかないから、外でずいぶん待たされる。
天才万博は年の瀬だからスゲー寒い中スゲー待たされる。
そんな思いをしてようやく入ってくるから、気持ちも高ぶるんだよね。
あったかいし、うぉーはじまるぞーって。


そんなお客さんの気持ちとキネマ倶楽部の空間構成をどうしたらステキに絡められるか


というとこから、空間デザインをしていきます。

まず、天才万博はおとぎ町というコミュニティがベースにあるので、
そこのアイコンでもあるガーランドフラッグをかけるところからだよね。
ステージに装飾をかけたいからステージを向いた時に視界に入るようにしたい。


天才万博ではステージ背面の大きなスクリーンに映像を投射するので
それを邪魔しないようにということで、
ステージ上部から左右にそれぞれ逆アーチになるようにかけています。
それぞれのフラッグが中央から放射状に客席に向かうことで

お客さんの視線が中央に集まるような役割も
担っています。


それと3階席の高さのところで2本フラッグを渡しています。
これは高い吹抜けで開放的なのですが、
3階席の高さをフラッグで可視化したうえで
天井はさらに高いよと表現しつつ、視線はステージに向けたいので
空間にフタをするような


オープンなんだけど
心理的にはクローズドな空間になるようにしています。


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次にステージ脇にあるサブステージ。
ここはステージとして使うこともできますが、
VIP席として客席にしています。お客さんがお客さんを見ている関係。


野球場で大きなスクリーンに時々客席がうつると湧くじゃない?
盛り上がってるお客さんがうつると会場が湧くみたいな。
サブステージのお客さんが楽しんでいる様子は会場にも連鎖するので、
よりステキに楽しんでいるように見せるため、
雰囲気のあるアンティーク照明や植物など小物を置いています。


また、座る高さの違うソファとスツールで2列にして、
奥行きを作りつつ、たくさんの顔がホールから見えるようにしています。
一部は、植物ごしに見えるようにしたりして
より深く空間の陰翳をつくるような工夫もしています。
ここらへんは感覚的なとこだけど。

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キネマ倶楽部は装飾をしていない時点でステキなので
空間構成自体はこの程度でベースが作れます。
ガーランドフラッグやアンティークな小物はかわいいからといって置けばいいということではなく、

明確な意図をもって配置することが大事。


あとはテーマに合わせた装飾を、
この空間構成を崩さない部分でデザインします。

つづく
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リアルタイムで進行するプロジェクトにまつわるデザインの話や、
1年後にも公開しないここだけの話、
さらにコロナの様子を見つつ、対面でのゼミ講義なんかも行っています。

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