思い出の渚を歩く 箱根
第1章:「箱根、懐かしの道」前編
幸雄は、初めて箱根を訪れたのは
40年以上前のことだった。時は新婚の妻と一緒に、小さな旅館に泊まり、温泉に浸かり、新たな人生のスタートを祝った。今、一人で訪れる箱根は、昔と変わらずに美しく、しかし、どこか懐かしさを感じさせる場所だった。
箱根への道中、幸雄は車窓から流れる景色を眺めながら、心の中で期待と不安が交錯しているのを感じた。彼は、記憶が薄れゆく中で、かつての思い出をどれだけ取り戻せるのか、そして、妻との大切な時間をもう一度心に刻め